僕と妻の1778話 (集英社文庫)/眉村 卓
・いい話そう
・ショートショートで一話が3ページほど
・がん闘病中の妻へ書くお話だから、死・暗い・暴力的・ネガティブなど・・・の話はノー
これなら嫌な気持にならず全部読めるかも。
と思ったのですが・・・。
確かに不快感はなかったものの、お話の楽しみかたの要領が得ず、なんとなく退屈だった。ショートショートというと星新一くらいしか読んだことが無く(しかもどっぷりはまった)、なのでショートショートはああいうかんじなんだと思ってこのショートショート集を読んだので、もともとのスタンスを私は間違えていたようだ。
初め数ページ読んで「いいかも」と思って買ったのだけど、その後の話が退屈で、「なんで私はこの本を読んでいるんだろう・・・」「小説(ショートショート)ってなんなんだろう」と思ってしまうほどだったのだが、そのうちに、この作者の世界観に慣れてきて、ほんわか~~をたまに退屈と思いながらも、最後まで読むことができた。
この本のお話は、がん闘病中余命宣告された妻に毎日書いたもので、最後のほうは、妻の容態が悪くなり、そのときの作者の気持が伝わってくるようだった。最終話の空白と文章が心に染み入った。
星新一とこの本を比べると、圧倒的に星新一のほうが私は好きなのだが、この本も読んでみてよかったのではないかとおもう。ただ、この本は、がん闘病中余命宣告された妻にむけて書いた「平和なお話集」なので、最後のほう以外は作者のお話が好みでないとつまらないかも。最後のほうは、やはり思うところはあったのだが、それ以外はなんか、ヒマだった。「がんで余命宣告された妻に向けて毎日お話をかきました」出落ち・・・?人の命のからんだ事柄にそんな言葉を使っては不謹慎だが、私にとってはそんなかんじ・・・。
作者眉村卓さんの奥様のご冥福をお祈りいたします。