お正月休みの最終日、実家から東京のマンションに戻ると、家の中がきれいになっているのである。
例年のことであるが、たいした大掃除もせず、
「年明けの三連休で掃除するから!」
と宣言して、夫を残し、一人慌しく空港へ向かった年末。
休みの半ば、電話で話した際には、夫は可愛らしく、
「一緒に掃除しようね。手ぇつけないで待ってるから」
と言っていたので、彼の気合いの入った大掃除は完全に想定外。
キッチンもシンクもピカピカ。洗濯機を動かして、日ごろ見てみぬふりをしているような場所までも、しっかり掃除してくれていた。
うぅ~、感激。彼はなんていい人なんだろう。
優しいし、やればデキル男なのだ。彼のデスクまわりを見る限り、まったく気がつかなかったけれど、掃除の才能あるじゃんか。
基本的にこの家の掃除係は私である。毎週末、せっせと掃除機をかけ、トイレを磨き、目に見える範囲をそこそこ整えているのは、この私。
夫婦と言えど、フルタイムで働く大人ふたりの協同生活。昭和の時代のようにはいかない節も大いにあって、実を言うと、少々私のほうが家事の分担多くないか?と心の中で思っていた。が、彼は立派に一年の帳尻を合わせたね~。いろんな意味で気分爽快。きれいなおうちは気持ちいい。
そんなこんなで、新年早々、惚れ直しましたよ、だんなさま。
と、ノロケだけでは終わらない現実にも直面した。
私が帰省した日、彼は渋谷の美容室へ。
「どんなふうになったか、写メ送ってね」
携帯に送ってもらった新しいヘアスタイルを見て免疫はできていたけれど、実物に対面すると想像を超えてびっくり。もともと長かった髪の長さはさほど変わらず、ただ女の子みたいな前髪ができている。いうなれば、私の女友達と同じような髪型。やけにカワイイ頭。あまり否定はしたくない。しかし、モードの最先端というか、オタクというか、不思議君のオーラをあおるこの髪型、誰が思いついたんですかーーー?男のロン毛に前髪パツンは(と言っても、彼は斜めにパツンといきましたが)、巷じゃほとんど見かけない。
ここはひとつ、本音を言おう。
前の一般的な男らしい前髪も長いロン毛のほうが、私、断然好きだったー!!!
近々、夫と初詣に行く予定。私にとっては今年二度目となる初詣では、夫の前髪が早く伸びるようにお願いしよう。もっと他に祈るべきことがあるってことは、重々承知しているけれど。