■Diretta DDS化
Diretta ASIOアプリのチューニングを終えて、しばらくDirettaを使っていなかったが、たまたまのぞいたオリオスペックで重大なお知らせを目にした。
何でもDirettaが昨年の年末に大きなバージョンアップをしたというのだ。
その内容は、DirettaがDDS(Diretta Direct Stream)化したという。
技術的な詳細はよくわからないが、Diretta HostとDiretta Targetとの通信方式の変更という大きな変更で、今までのDirettaの通信方式とは互換性はないらしい。
Diretta HostとDiretta TargetともDDSに対応している必要があるとのこと。
DDS(Diretta Direct Stream)というのがよく分からないが、オリオスペックの解説によると、
実は基本的には他の制御系は変えおらずIPパケットと処理系等を分離してそれらの制御制限下から脱却するためIPヘッダを取っ払った(IPレス化)だけです。
EthernetでIPかどうかv4かv6かどうかもEtherTypeという識別子で判断されてEthernetFrameに乗っかるのでこのTypeを取得できればIP使わずに自前の通信を構築できます。
結局1:1でかつUDP(User Datagram Protocol)のようにパケット抜けの補正を持たない通信をローカルで使う場合IP自体に意味がありません。
ですからそこを取り払っても同じ通信を構築出来ます。
これにより様々な不要な処理が減りネットワーク通信における冗長な部分を削減出来ます。
とても限定した使い方しかしないDirettaの場合そこのオーバーヘッドや冗長な処理を削減した結果がIPを使わないという結論になりました。
DDS(Diretta Direct Stream)は新しくIPに変わるプロトコル作成することでこれら冗長な部分を無くし、直接EthernetFrameをDirettaで"Direat"に処理を行います。EthernetFrameを直接ハンドリングすることになるのでDiretta Direct なのです。
DDSによりネットワークパケットは純粋にAudio Streamで満たされることになります。
ということで、Diretta HostとDiretta Targetとの通信がIPレス化され、DirettaにおいてEthernet Frameを「直接」処理するということらしい。
Direttaのコンセプトとして機器にかかる負荷をなるべく減らそうというのがあるので、その結論として、限定的な使い方しかないDirettaにおいてIPヘッダーをも取り払い、ネットワークパケットをオーディオ用に純化したということになるのだろう。
■手持ちの機器のDDS化を検討する
まあ理屈はどうあれ、このDirettaの変化に自分はどう対応するかということになるのだが、自分の場合はDiretta HostとしてWindows PC(オリオスペックのcanarino)を、Diretta TargetとしてオリオスペックのDiretta Target PC2を使っている。
(インターネット)
↓
ルーター
↓(Wi-Fi)
AP(アクセスポイント)
↓(Ethernet)
Diretta Host:Windows PC(NET Card Femto)
↓(Ethernet)
Diretta Target:Diretta Target PC2
↓(USB)
USB-DAC(REM ADI-2 DAC)
Diretta Hostとして使っているWindows PCにNET Card Femtoというオーディオ用ネットワークカードを装着しており、これにLANポートが2つあるので、Diretta HostとDiretta Targetとの接続はルーターを介さず、LANケーブルで直結している。
Windows PCとDiretta Target PC2の組み合わせの場合、Windows PCのDiretta ASIO DriverとDiretta Target PC2のファームウェアを最新版にアップデートすればDDS対応となるらしい。
ただ、HostがWindowsPCの場合PCAPのインストールが必要とのこと。
DDSはWindowsではOS標準のSocketではなく、PCAPという仕組みでパケットを送るらしいが、PCAPがWindows標準では実装されていないので追加でインストールが必要ということらしい。
別にDDSに対応していなくともDirettaは使えているわけで、必ずしもDDS化する必要もないのだが、Diretta Host側の機器がDDS化に対応していないのならともかく、Host側、Target側ともDDS化に対応している、しかもドライバーとファームウェアのバージョンアップだけでそれが可能だということなら、別にDDS化を躊躇することもない。
現状では、QobuzをDiretta出力で再生させるとハイビットレートの曲でノイズが出るという問題があるので、DDS化でこれが解消すればという期待もある。
Diretta Target PC2については、今のところファームウェアの更新の対象となっているが、近々サポートの終了のアナウンスがなされている。
今のうちにDiretta Target PC2のアップデートをしておけば、DDS化した状態でハード自体はしばらく使えそうだ。
Diretta Target PC2など旧製品所有者を対象に、現行品のDiretta Target機器Raspberry Piの優遇販売もされているが、使えるうちのは手持ちのDiretta Target PC2を使うことにする。
■DDS化の作業
ということで、手持ち機器のDDSを行うことにした。
まずは、PCAPのインストールからだが、オリオスペックのホームページ記載されていたリンクからインストールファイルをダウンロードし、PCにインストールした。
次に、Host側のDiretta ASIO Driver(という名のアプリケーション)のアップデート。
このアプリでDiretta ASIO DriverのアップデートとTargetのファームウェアのアップデートができる。
しかし、現在インストールしてあるDiretta ASIO Driverアプリでは、Diretta ASIO Driverを最新版に更新することができなかったため、Diretta ASIO Driverアプリ自体を最新版にアップデートする必要があった。
これはオリオスペックで提供しているので、オリオスペックのホームページからダウンロードして最新版にアップデートした。
アップデートしたDiretta ASIO Driverアプリを立ち上げてみると、画面構成が変わっていた。
このアプリからDiretta ASIO Driverの最新版を確認した上で、最新版に更新をした。
最後にTarget側のファームウェアのアップデートだ。
これもDiretta ASIO Driverアプリ上から行う。
このアップデートもあっさりと終り、DDS化の作業は1時間もかからずに終了した。
■DDS化したDirettaの実力
アップデートは完了したので動作チェックにかかる。
まずは、ローカルファイルを再生してみる。
いつものようにHD-6XXによるヘッドフォン再生だ。
CDからリッピングしたFLAC音源(無圧縮)をTuneBroswerで再生する。
出力先が「Diretta ASIO」になっているのを確認してから再生すると、無事音が出た。
聴いた曲がいつも試聴に使っているアコースティックな音源だったので音色の違いはあまり感じなかったが、やはり静粛さというかフロアノイズがさらに少なくなっているのが感じられる。
微細音のニュアンスの違いがはっきり分かる。
これまでで最高レベルだ。
そして、問題のストリーミング再生を試す。
QobuzをQobuz のWindowsアプリを使って再生する。
こちらも出力先を「Diretta ASIO」に切り替えて再生する。
Qobuzのプレイリストの中でリファレンスにしているハイレゾ音源のプレイリストを再生する。
1曲目は「bad guy」。

この曲、低音ががっちり入っているのだが、イントロのキックドラム(風)の音圧がすごい。
量だけが多くて輪郭があいまいな低音ではなく、輪郭がはっきりした弾む低音だ。
その他の曲も聞いたが、これまで聴いたことないような音が出ている。
全体的には、音の彩が鮮やかになり、音の彩度が上がった印象を受ける。
もともと暗めの音色と古臭い音のバランスと言われているHD-6XXだが、このHD-6XXからこんな色彩感あふれる音が出てくるとは驚きだ。
各楽器の分離もよくなっている。
音色としては、低音の変化が大きいと感じるが、これは再生機器の特性がよりはっきり出てきているのかもしれない。
低音が強化されたことに事によって、音楽がダイナミックに感じる。
クラッシック系よりもポップス系の曲の方が、DDS化の変化を大きく感じられる。
これだけ音が変わったと感じられるのに、聴いていて嫌な音は全く出てこない。
いやいや、通信方式が変わっただけですよねと言いたいくらいの変貌ぶりである。
そして、以前のDirettaではノイズが出ていた192kHz/24bitの音源を試す。
プレイリストにあるノラ・ジョーンズ「Don't No Why」。

ノイズは出ない。
Direttaの音でしっかりと192kHz/24bitの音源がストリーミング再生されている。
現在のDiretta ASIO Driverのセッティングは、安定性重視の保守的なセッティングにしてある。
それで、この音が出てくる。
Diretta Target PC2のサポート終了前に、DirettaのDDS化を知ることができてよかった。
しかし、である。
ストリーミング再生をしている状態で、WEBブラウザを操作すると、ノイズが入り音が止まる。
曲のスライダーは動いたままなので、PC側の処理に問題があるということになる。
いったん曲を止め、もう一度再生ボタンを押すと、また再生が始まる。
DDS化以前の状態より、DirettaとQobuzのリソースの競合の度合いは少なくなっているが、Diretta経由でQobuzを聴きながらブラウザを使うことはできないようだ。
PCでネットサーフィン(死語)をしながらQobuzを聴こうと思ったら、これまで通りDirettaを介さず、DDC経由で再生するようになる。
がっちり最高音質でQobuzを聴きたければ、Diretta経由で再生し、ネットサーフィン(死語)は別にタブレットで行えばいいだろう。
■今後のデスクトップオーディオ
Qobuzのサービスが始まり、Diretta出力でハイレゾ再生ができるところまできた。
来年くらいにWindows PCの更新を予定しているが、今のところまたオリオスペックのオーディオPCにするつもりではあるものの、拡張カードを取り付けられる数で悩んでいた。
NET Card Femtoを中古で入手したときに持っていたUSB Card Femtoを売ってしまった。
Direttaで192kHz/24bitの音源がストリーミング再生できなかったので、USB Card Femtoを売ってしまったのをとても後悔した。
その理由は、オーディオ用のUSBカードは、単品では中古でも入手困難になっており、オリオスペックのオーディオPCのオプションとして入手するのが現在唯一の確実な入手方法であるものの、価格が異常に高騰しているからである。
しかし、DirettaのDDS化により、Direttaで192kHz/24bitの音源がストリーミング再生できれば、もうオーディオ用のUSBカードはいらない。
Diretta Target PC2が使えなくなったら、Diretta Targetの現行機種に更新してDirettaでの再生を続けるつもりだ。
NET Card Femtoが壊れたときが問題だ。
NET Card Femtoの上位機種であるNET Card XEは単体で入手可能なのだが、PCが1台買えてしまうほどの高額になっており、とても手が出ない。
汎用のLANカードで外部電源が使えるものを知らないので、いよいよとなったら外部電源なしで汎用のLANカードを使うしかないのだろうが、かなり音に影響があるのは間違いない。
NET Card FemtoにせよDiretta Target PC2にせよ、可動部があるものではないので、それなりに長く使えると思うが、どこまでいけるだろうか。
現状Direttaから出てくる音は、これ以上のオーディオへの投資をためらわせるのに十分なので、使用に支障がなければこのままの状態で使っていきたい。
あと考えられるとすれば、オーディオ用のハブとWi-Fiアクセスポイントぐらいだろうか。