先週観てきました!

評判がすごくよかったので期待しすぎちゃってたかなー。

手放しで絶賛、とまではいかなかったんですが、映画館で観て損なし!の良作でした。

 

(途中ネタバレあります)

何が良いってまずキャスティング。神!

子役の子は素直で感受性の強いひさちゃん、ちょっと陰のあるタケちゃん。

あと弟くん。ほんとに令和の子?!ってくらい時代背景になじんでる。演技とは思えないくらい、自然なやりとりに引き込まれてしまいました。

ひさちゃん役の番家一路くんて、もう実写版でトトロやったらカンタ役で即合格!って感じの少年です。

タケちゃんの原田琥之佑くんはちょっと目つきの悪い一重男子なのがよいですね。将来は眞島秀和さんみたいになりそう。(しかしふたりとも良いお名前だ。パンフ観て原田くんが原田芳雄さんのお孫さんと知ってまたびっくり)

 

大人組も途中で出てくるひとたちも含め、みんな配役がぴったりすぎる。

安定の尾野真千子さんと竹原ピストルさんのにぎやか夫婦。

貫地谷しほりさんのしっとりお母さん。

ちょっとの出番で全部持っていく!すごい存在感の岩松了さん。

 

そしてあの昭和の空気感の再現。

舞台である1986年頃は私もちょうど小学5年生でした。

キン消しとかン十年ぶりに聞いた単語が懐かしすぎる!

80年代半ば、夏で、声変わり前の小学校高学年で、かつ男の子だけのあの世界。

ものすごくピンポイントで切り取った、リアルな情景がそこにありました。

小学生男子、アホかわええw

 

あの時代はほんとにボロ家に住んでた子とかいましたね......

ちょっと異質な子がはやしたてられちゃうあの感じとか。

家の中でビシバシはたきあったり。

我が家は父親が絶対で、女児ばかりの家庭だったのでああいうのは心臓に悪い💦

ちっちゃい弟くんがケロッとしてるのでよかったですけど。

友達の前で親にあだ名で呼ばれるのがものすごく恥ずかしかったり。

同世代には描写の数々がたまらないと思うけど、他の世代にはどう映るのかな。

 

イルカを見つけるためのブーメラン島への冒険。たしかにスタンド・バイ・ミーっぽい。

自分の貧しい家を笑わなかったから誘った、という観察眼鋭いタケちゃん。

頼れるかと思いきや、冒険の装備は甘いし行きあたりばったりだし、やっぱり子どもだw

 

坂のスケールが映像でもハンパなくてすごかった。大人でもきつそう!

 

チンピラにからまれたとき、素直なひさちゃんが本当にパンツ脱いじゃうんじゃないかと思って、ハラハラしてしまったw

そこに登場するお兄さん(絶対元ヤン!)がかっこいい。

 

ユカさんがちゃんと神秘的な美少女、という図式で成り立つくらいに本当にきれいで雰囲気のある女優さんでよかったです。茅島みずきさん、覚えたぞ。

おっぱいガン見してるのバレてて笑ったw

こういうのも中学生じゃもう生々しいけど、斉藤由貴ファンの小学生ってところが絶妙でおかしい。

 

長崎の小学生はみんなそんなに泳げるの?見えてる島めっちゃ遠くない?!と心配してしまった。

行きで足をつったのに、同じだけ泳いで帰るとかすごすぎるw

こんな良いことなしの冒険でひさちゃんよく文句も言わず...と思っていたけど、サザエはめちゃくちゃ美味しそうでした。お兄さんとユカさんは兄妹?カップル?すごく大人っぽくて素敵に描かれてました。

 

そこからひと夏ずっと一緒で仲良くなるのもものすごい”あるある”で、記憶の蓋がぶわっと開く感じがたまらん。

急転直下、ちょっとしたきっかけで気まずくなってしまうのも含めて。

 

そこから悲しい事件があって、別れがやってくる。

このシーンが一番心に残りました。

お父さんが最高に包容力のある微笑みで近づいてきたとき、圧倒的な大人と子どもの差を感じました。

それがもう切なくて。ここぞという場面で(だけ)めちゃくちゃ頼りになるお父さんに自分がホッとしてしまった。

こんなんぜったい泣きますわ〜!なんかもう自分と重ねて泣ける。

この場面のためにサバカン観て、と言いたい!(きっとこの映画観た人みんな思ってる)

 

ピストルくんがこんないい役者さんになるなんて。

20年くらい前に野狐禅としてオーキャンのサブステージで歌ってるときから観てたよ!
鼻歌でも、やっぱり歌がうますぎる(笑)

 

最後は大人ひさちゃんが再登場で、よい感じの終わり方でした。

でも、現実だったらぜったいあの場面で別れて終わりだよなーって思って。

SNSもネットもない時代に何年も離れていて連絡取り続けるとか、それこそ中学に上がる前の関係では無理でしょう。

 

......って観終わってつらつら考えていたとき、気づきました。

あ、そういえばこれはひさちゃんが書いた物語なんだよなって。

 

自分のにぎやかなおうちの情景がやけにリアルなのも、冒険の数々がちょっと幻想的なのも、

軽トラのお兄さんやユカさんがちょっと年上のかっこいい人たちなのも、

タケちゃんのお母さんが夫亡くして子だくさんで昼も夜も働いて、なのに疲れきった様子もなく素敵な女性なのも、

「大人になったひさちゃん」の目を通しているからなのかな?って。こうだったらよかった、という願いもこめて。

 

たぶんいろいろ本当だけど、ちょっぴりおとぎ話でもある。

私としてはそんな解釈に落ち着きました。

きっと現実は厳しくて、ひさちゃんはこの先も作家としての芽は出なさそうだけど。
でもイルカは〇〇していないと死んじゃう(ほんと?!)ってこと、娘さんはきっといつまでも覚えてる。

 

不満だったところも一応書いておく〜

冒頭の大人ひさちゃん=草彅剛さんの場面を含め、前半はスカッとする場面があまりなくて、すんなり入り込めなかった。そこからぐんぐん面白くなっていったのでよかったですけど。

肝心のサバカンのお寿司があんまり美味しそうに見えなかったこと。(あくまで自分的には)

タケちゃんのお母さんが死んじゃうのは、物語の都合って感じでちょっと乱暴な感じがしてかわいそうだったな。

私だったら4人も子どもたち残して、死んでも死にきれん。

あと北の国からっぽいな、と最初思った音楽とか、いちいち〇〇風なのが(パクリとかではなく)監督さんがこういうふうに作りたい、と思った結果なんだと思うけど、ちょっと予定調和に過ぎてしまったところはあるかもしれない。

 

でもちゃんと伏線も回収して、大人のおとぎ話で、子どもさんでもきっと楽しめて、よい夏休み映画なのではないでしょうか。(何様)トトロの他にも、夏のおすすめ映画に加えようっと。

 

ラジオドラマ版も全部通して聴いてみたい!

 

監督:金沢智樹