↑こちら、シャーロック・ホームズシリーズで知られるコナン・ドイルのボクシングをテーマにした小説集なのですが1960年に出版されたものなので既に絶版になっているんですよね。
Kindleでは読めるんですけど、Kindleがあまり好きではないので、何とか古本で読めないものかとオークションなどで探してみたんですけど、
やっと探し当てたものは1600円位で高くはなかったんですけど、手に取って開いたらそのままボロボロと崩れ落ちるのではないかと思われるコンディションで…
仕方なくKindleで購入して読む事にしたんですけど、なかなか面白いのです✨
シャーロック・ホームズの作者がボクシング小説??とお思いになるかもしれないんですけど、(以前にもちょこっとブログに書いた事がありますが)
ドイルは大学でアマボクシングをやっており、180センチ以上の身長で体格にも恵まれていたので結構強かったみたいなんですよね。
そして彼はボクシングを「武器を使わないもっともフェアで男らしいスポーツ」と評していてボクシング好きでもあったようです。
そんなドイルが書いた「クロクスリの王者」は、
炭鉱町の診療所でお医者様の助手をしながら医学を学ぶ医学生のロバート・モンゴメリーが主人公。
いつものように院長先生が往診に行っている間、薬を処方している時に、妻の薬を取りに来た居丈高な炭坑夫と喧嘩になってしまうんですけど、
喧嘩っ早い炭坑夫は激昂してモンゴメリーに「猛烈なスゥイング」をお見舞いするんだけど、大学で元チャンピオンの教えを受けてアマボクをやっていたモンゴメリーは右カウンターを炭坑夫の顎に命中させ、ノックアウトしてしまうんですよ。
その後、炭鉱のオーナーの息子や街の居酒屋の親爺なんかがモンゴメリーのもとを訪れ、ボクシングの試合に出るように懇願するんだけど、
どうやらモンゴメリーがノックアウトした炭坑夫は炭鉱対抗のボクシング大会で大きな期待を背負っていた炭鉱のチャンピオンで、そのチャンピオンを一発で倒したモンゴメリーなら怪我をして試合に出られない炭鉱チャンピオンの代わりが十分務まる…って事らしいんですね。
最初は渋っているモンゴメリーなんですけど、その賞金が100ポンドと聞き、出場を承諾。
実は彼、大学の最終学年分の授業料60ポンドがどうしても用意出来ず困っていたところだったんですよね。
しかし、更に話を聞くと相手は元プロボクサー、しかもチャンピオンで、とある試合の判定を不服としてその意思表示で引退し、現在は今回のような懸賞ボクシングを生業にしている40歳のボクサー
一方のモンゴメリーはアマボク経験はあっても、大学以外でリングに上がったのは、お祭りの賭けボクシングで3ラウンド戦った経験があるだけ。
しかも試合は1週間後!
この勝負の行方は?…って話なんですよね。
実際、ドイルはエディンバラ大学の医学部を出てるんだけど、生家は父親がアル中で病院行きになったりして貧しい少年期、青年期を送ったらしいので、
主人公が学費に困るというエピソードは自身の経験が元になっていると思われるし、「大学でアマボクをやっていた医学生」は完全にご本人がモデルになっているんでしょうね。
ご自身が本当にボクシングをやっていたとあって、この作品のファイトシーンはかなりリアルで、
現在ではあり得ないなーと思うようなものもあるんですけど、実際に競技の実践者だった人が書いた感じがありありと感じられます。
試合中の精神的な葛藤や駆け引きなどがモンゴメリーの目を通して描かれていて、引き込まれるんですよね。
おそらくボクシングファンであれば、ありありとこの試合の映像が脳内再生できるでしょう。
ただ、このお話、正確にはいつ書かれたものかはわからないんだけど作中に、この試合が「クイーンズベリルール(1868年にクイーンズベリが制定)で行われる」などの記述があったり、ドイルの執筆活動期間からして1800年代が舞台になっていると思われるんですよね。
そのせいか、この試合が20ラウンド(!!)、2オンスのグローブ(!!!)で行われたり、試合中に気付代わりにブランデーを飲ませたり、会場に紫煙が立ち込めていたり、今では考えられない事がいっぱい出てきて、その辺りもなかなか興味深く読みました。
興味のある方はぜひ読んでみてください✨
↑かぼちゃの「バターナッツ」が知らぬ間に大きくなっていました…が初栽培で採り時がわかりません
ヘタのシマシマがなくなった頃…とどこかで読んだ気がするんだけど、これはまだ縞、あるかなぁ…