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🍺 ④和泉川暗渠脇の鉄塔下の煉瓦擁壁と波板物件 

 

 

 

 

 

代田橋付近の甲州街道(国道20号線)の沿道は、首都圏の幹線道路なだけに、ビルばかりが連なる面白味のない風景ばかりだと思っていたら、真っ赤に錆びついた擬煉瓦模様のブリキ板の看板建築と入母屋屋根の古民家が2棟並んで残っていた

 

それだけでも個人的には感動的な風景であったが、その2棟の建物の隙間の奥には……

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の記事の最後に掲載したなんとも言いがたい雰囲気の廃墟が隠されていた

 

廃墟の周囲を見てもこの場所にアプローチするには、建物の隙間を入るしかなく、おそらく隙間の入り口にわざわざ階段が設えられていたのは、そのためであろう

 

 

もしかしたら別の方向にも廃墟の建物の出入り口があるのではないかと思って、これらの物件を発見するきっかけとなった歩道橋の上から見つけた戦後型看板建築の横の路地に回ってみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

白い戦後型看板建築の後方には隙間なく隣の新しい建物が建てられてしまっており、廃墟にアプローチするような余地はまったくなかった

 

タイトルバック写真で宅急便の配達人が手押し車を押しているのが、その路地を甲州街道側から撮影した写真である

 

 

パッと見、新しい建て売り住宅やマンションが並ぶとくに見るべきようなものは何もない、どこにでもありそうなツマラナイ風景であったが、ふと路地の横に視線を送ると

 

 

 

 

 

 

 

 

明らかに暗渠だとわかる隙間があったので、なんとなく足を踏み入れた

 

暗渠といっても暗渠マニアが喜ぶような湿気を帯びて苔蒸した雰囲気のあるものではなく、両側に新しい建物が並んだ面白味の欠片もない無味乾燥とした都会の隙間である

 

 

唯一、僕の目を惹いたのは、まるで魔除けの札のような小さな紙が、アスファルト舗装の上にばらまいたように貼られていたことぐらいだ

 

何かしら呪術的なものかと思って札を見ると「この場所は禁煙」という、じつに日常的でくだらない紙に過ぎずオカルト的な展開を期待していたのに、ガッカリさせられた

 

 

しかし、その暗渠を少しすすむと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前方に大好きな鉄塔が聳えていて嬉しくなり思わずシャッターを切った

 

ーーが、その大好物の鉄塔よりも気になったのが、鉄塔の土台の下にかつて暗渠がまだ川(あるいは水路)として流れていた頃の護岸らしき段差が見えたことだ

 

 

これは何かある……と、直感が告げたので逸る気持ちを抑えようとするが、思わず速足になって段差まで向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

それまでの無味乾燥とした「都会の隙間」から、湿り気を帯びた擁壁、川が流れていた名残の配水管、路傍の雑草にマンホールとグレーチング……絵に描いたような見事な暗渠である

 

手前のほうにある擁壁は都内の暗渠でよく見かける古いコンクリート護岸のようだが、奥のほうに見えている赤茶けた部分はもしかして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思ったとおり関東大震災で倒壊した建造物の煉瓦の瓦礫を積み上げたものであった

 

この壊れた煉瓦をランダムに積み上げた擁壁はガンタ積みと呼ばれ、下北沢や祐天寺にもあり以前、取り上げたことがあるが、まさかこんな場所で出合うとは思ってもみなかったので、思わぬ邂逅にテンションが上がった

 

 

このあたりには、初回で触れた和田堀給水所や玉川上水など「水」に関連した物件が目についたが、調べてみるとこちらの暗渠は和泉川に関連した護岸のようだ

 

 

ところで今回の散策のメインは、あくまでも「沖縄タウン」という予定であったが、いきなりこんな展開になるとは想定外の出来事で、白い看板建築を発見して気まぐれにコースを外れたのは正解だったようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煉瓦の擁壁を見つけてテンションが上がってしまい沖縄タウンのことなどは、すっかり脳裏から消え失せ、そのまま暗渠をすすむ

 

が……よい雰囲気だったのは煉瓦の擁壁の周囲だけで再びツマラナイ都会の隙間になってしまった

 

 

面白味のない風景に辟易しつつも沖縄タウンの方角に向かったのは、一抹の理性は残っていたからだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし新建材の建物ばかりが並んだ都会の隙間をしばらくゆくと前方の左手に、やけに2階の部分がオーバーハングした奇妙なモルタル外壁の物件があり、そのあたりから唐突に雰囲気が変わった

 

前述したように沖縄タウンの方角だけは外していなかったので、おそらくこの下町的な風景は沖縄タウンの裏側と見て間違いないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その先に見えてきたのは面白味の欠片もない都会の隙間から、いきなり昭和テイスト全開のブリキ波板とタキロン波板が織り成す下町的な風景であった

 

エアコンの室外機の上に無造作に置かれたパレットやポリ製のゴミ箱、点々と並んだ小さなマンホールやグレーチングが暗渠の雰囲気を盛り上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやらこのモルタル外壁物件の内部は飲み屋のようで、内部へと続く怪しい開口部の脇にあった粗末なトイレの入り口の上に、オリオンビールの提灯がぶら下がっている

 

オリオンビール、すなわち沖縄タウンで間違いないだろう

 

 

やけに細い内部への入り口の前にはタキロン波板の簡素な屋根が設えられており放置されたビニール傘が、そこはかとない生活感を醸し出していた

 

 

ということで、ようやく沖縄タウンに到着したところで……

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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