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💈 ⑬ソフトアイパーのヘアーサロン・ヨコタ
板橋駅の北西で国道17号線から右方向に分岐している道が、中山道の旧道の部分である
旧中山道は、マンションの侵略が激しい平尾宿を過ぎると賑やかな商店街の仲宿を通過して、石神井川、環状七号線を越えると上宿では平尾宿と似たような寂れた雰囲気に変わり、マンションの進出具合もまた同様であった
それでも一応、商店街の体裁は保っていたが、前回の記事に写真を掲載した上の写真のタワーマンションから先は、都内というよりも埼玉県の宿場町の外れのような寂れた雰囲気の町並みに変わった
タイトルバック写真は、進行方向に向かって撮影した構図で右手には昭和な雰囲気をとどめた「ヘアーサロン ヨコタ」という床屋があり、左手を見ると、またしても町並みを根こそぎ破壊した更地があり憂鬱な気分にさせられる
2017年に散策したときは、前回の記事に写真を掲載した元は旧中山道の主要な業種であった種苗商の末裔と思われる園芸店があるが、その斜め向かい側には……
狭い間口に鰻の寝床のような街道の土地割を残した渋い平屋建ての看板建築が残っており、この店の自販機で缶コーヒーを購入して一服した記憶が残っているが、跡形もなく消し去られていた
そして「ヘアーサロン ヨコタ」の向かい側の更地にも看板建築などが並んでいたが、なにぶん夜だったので、上手く撮影できなかったから、ストリートビューからキャプチャした画像を貼る
これは僕が前回散策したよりも以前、2009年の映像だが商店街が続いていたことがわかる
「ヘアーサロン ヨコタ」のウィンドウに記されているソフトアイパーの意味がわかる方は、僕と同じようなジェネレーションであろう
２階の窓を見上げるとピンク色の花を咲かせた鉢植えが並べられており、更地を見て荒れた気持ちが少し癒されたような気がした
前述したように前回の散策は、夜でしかも小雨が降っていたため、この床屋から先は店舗があまりなく真っ暗だったため、ここで引き返して大山駅に向かってしまった
したがって、ここから先の旧中山道は今回初めて足を踏み入れるわけであるが、この先にはあまり店舗がないことは知っていたので、あとは消化試合のようなやる気の無さで先にすすんだ
すると、やはり2017年に下した判断は間違いではなく、若干店舗がないことはないが、商店街といった雰囲気などもはや微塵も感じられない町並みに変わった
この最後のゾーンを抜けると地下鉄都営三田線の本蓮沼駅の手前で、旧中山道は巣鴨駅で分岐した国道17号線に再び合流している
上の写真は進行方向に向かって撮影したもの、そして下の写真は逆に歩いてきた旧中山道を振り返って撮影したものである
これで都内に残った旧中山道のもっとも長い部分は完全に踏破したことになるので散策を終了しようと思ったが、歩いて来た道を延々と戻るのはカッタルイ
かといって、近くにある地下鉄都営三田線の板橋本町駅に向かうのもあまり芸がないので、生まれてこの方一度も降りたことがない本蓮沼の駅に向かうことにして、国道17号線を西にすすむと……
いきなり古い建物が取り壊されたものと思われる更地と、その隣にある建物全体がグレーというより「ネズミ色」に塗装された木造二階建て平入切妻の看板建築に目が惹き寄せられた
近くまで行ってよく観察すると「ネズミ色」に見えたのは、排気ガスなどによりシルバーの塗装が黒ずんだ結果であることがわかった
ファサードには「小沢モータース」という看板と大きな赤い文字で「SUZUKI」とあり、パラペット部分を見ると「YAMAHA」という文字が抜け落ちてしまった形跡が認められる
以上のことから、とくに考えなくてもこの看板建築が昔ながらの町のバイク屋だったことがわかった
入り口は木製の引戸のままで、この造りからして1000ccの大型バイクなどではなく、おそらく自転車や原チャリをメインに扱っていたものと類推できる
ここで気になるのは隣にある出来立てホヤホヤに見える更地で、どのような建物があったのか例によって過去のビューを見てみると
驚いたことに両隣にモルタル外壁の看板建築があるという、町並みを形成していたことが判明した
「小沢モータース」の店先には自転車が停められており、想像どおり自転車や原チャリをメインで扱う町のバイク屋だったことがわかる
ーーと、ここで３枚前に貼った写真の画面左側に注目してほしい
「小沢モータース」の隣にはキャプチャ画像にある「新井精肉店」の建物が、そのまま残っているが、ファサードの金文字が「新井精肉店」ではなく「新井」だけなっている
ということは、精肉店のほうは商売をやめてしまい現在は単なる「新井」さんの住居になっているのだろう
「新井精肉店」とは路地を挟んだ並びに「洋品タツミ」という店があったけれど、こちらの店もなんとなく煤けたような雰囲気が漂っていて、廃業してしまっているものと考えられる
こちらも現役で営業していた姿を見たかったので、ビューで過去に遡ってみると
廃業してしまったのは「新井精肉店」だけではなく、「洋品タツミ」とのあいだには、ファミコンショップ、作業服店、ラーメン屋、そして1000円カットの美容室があったことがわかった
こうして見ると旧中山道が国道と合流している手前は、板橋駅から続く商圏の尽きるところで、合流した先は本蓮沼の商圏の外れに該当するのではないだろうか
いずれにせよ国道に面した商店街的なものが、このあたりからはじまっており、通りのこちら側はほぼ壊滅しているが、国道を挟んだ向こう側にはまだ生き残っているので、次回はその町並みを紹介する
続く
†PIAS†
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