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🐮 ⑪おもちゃピノキオ牛豚鳥・肉のウチヤマ 

 

 

 

 

 

「広い道路は町を分断して結果として滅ぼす」僕が唱えるこの法則は、渋谷とか新宿のような繁華街でなければたいてい合致する

 

たとえば東急線の旗の台から大井町まで続いている一本道は、国道1号線に分断されてしまわなければ日本一長い商店街に発展した可能性があるが、国道にぶった切られた先は、やはりいきなり寂れてしまう

 

 

その近隣にある東京でも賑やかな商店街の筆頭に挙げられる戸越銀座の商店街も同様である

 

 

ところが、今回のシリーズで散策している旧中山道は、環状7号線にぶった切られた先も商店街として繁栄していた。「いた」と過去形なのは、残念ながらこのあたりもマンション攻撃によって壊滅に向かっているからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧中山道と環七の交差点には、いきなり気になる物件が並んでいた

 

まず交差点に面しているビルの1階に、かなり大型の店舗が廃業した形跡が見られることが気になる。この店構えからレンタルビデオ屋さんかしらん……

 

 

などと思って過去のストリートビューを見てみると

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと「デイリーヤマザキ」があったことが判明した

 

こういったコンビニエンスストアというものは、ほとんどが個人経営のフランチャイズなので、少しでも業績が上がらないとすぐに店を閉めて、よさそうな場所に移転する傾向が強い

 

 

うちの近所にある某セブンなどは、駐車場がないというロケーションのため二度も失敗して店を閉め三度目の正直で、街道沿いの広い道路に面した場所をようやく確保して、経営が安定したようで今もその場所にある

 

何故そんな裏事情を知っているのかというと、経営者が弟の知り合いの知り合いだからだ

 

 

という、どうでもいい話はともかく「デイリーヤマザキ」の隣に見えているやけに間口の狭い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの店も非常に気になる存在である

 

ヨレヨレになった軒先クレハロンテントには「ピ○キオ」という文字がうっすらと残っていて、スナックか喫茶店だったような雰囲気であるが、この物件も

 

 

 

 

 

 

 

 

7年前の散策のときに撮影しており、その当時はまだうっすらと文字が残っていたので「おもちゃ ピノキオ」だったことがわかっている

 

元店舗の前に置かれた整然としたプランターから住居としては現役であることがわかるが、もっとも古い2009年のビューの段階ですでに廃業してしまっているような雰囲気であった

 

 

その2軒隣にも気になる物件が残っている

 

 

 

 

 

 

 

 

それがこのえらく錆びついたファサードを持つ青梅スタイルの看板建築「肉のウチヤマ」である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錆びついたファサードには、どうやら「牛 豚 」と記されていたことが、かろうじて読み取れるがほとんどの塗料が剥落して錆びついているところに味わいがある

 

軒先のオレンジ色の庇も日に焼けて色褪せており、前回の散策のときから僕はてっきり廃業しているとばかり思いこんでいた

 

 

 

ところが、Googleマップを開いてみると

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら僕は二度にわたり定休日を引いてしまったようで、マップにはしっかり現役であると明記されていた

 

とはいえ、こちらの物件を縦の構図で撮影してみると

 

 

 

 

 

 

 

 

環七沿いに都心部から病原菌のように勢力を伸ばしてきたマンションが背後に迫っている

 

旧中山道は、すぐ横を新道である国道17号線が平行しているため、都心部からほど近いということもあり激しいマンション攻撃にさらされ、古い町並みは壊滅寸前に追い込まれていた

 

 

「肉のウチヤマ」のすぐ先には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すでに廃業している戦後型の看板建築があった

 

向かって左側の店舗はファサードに掲げられていた看板の部分が取り去られているが、ショーケースはそのままでガラスの奥には商品ではなくガラクタが積まれている

 

右側の店舗は軒先に黄色いクレハロンテントこそ残っていたが、そこに記されていたであろう文字はすべて消されていて、どんな業態だったのか見当がつかない

 

 

そこで例によって過去のストリートビューを見てみると

 

 

 

 

 

 

 

 

2009年の段階で、すでに営業しているようには見えなかったけれど、「クリーニング」と記された大きな袖看板が確認できるので、クリーニング店で間違いないだろう

 

驚いたのは現在はマンションになっている場所に「果物と野菜 山田商店」という青果店があったことで、こちらの物件は以前散策した2017年にはすでに跡形もなかったから、初めて知った事実である

 

 

この場所に建造されたマンションは、かなり大きな建物だったので、まず間違いなく他にも“取り壊されてしまった古い建物”があったことは明らかだ

 

そこでマンションの場所の2009年の映像をたしかめると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奇しくも素晴らしく芸術的な平屋建て看板建築が取り壊されている瞬間の映像が残っていた

 

 

やはり旧中山道は繁栄している仲宿を例外として板橋駅と反対側の本蓮沼駅の双方向から、国道17号線を疫病のように伝わるマンションに激しく侵食されているようで、少し嫌な気分になった

 

ーーが、この先で更に嫌な気分を味わうことになるなどとは、このときの僕は思ってもみなかったのである

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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