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🍊 ⑦消えた古橋青果店と残った五十嵐酒店 

 

 

 

 

 

中山道板橋宿は江戸方面から平尾宿、仲宿、上宿の3つに分かれていた

 

川越街道が分岐している平尾宿は、板橋駅に近いゆえなのか激しくマンション攻撃を受けてしまっていて、「宮歯科医院」「阿部耳鼻咽喉科」が残っているぐらいで宿場町の面影といった風情を、ほとんど感じることができなかった

 

 

現在も賑やかな商店街として繁栄している仲宿は、繁栄しているがゆえに、多くの建物が建て替えられてしまっており、こちらも土蔵造りの素晴らしい「板五米店」を除くと宿場町の面影はほとんど残っていない

 

ところが石神井川をわたって、賑やかな商店街になっている仲宿から上宿に入ると、皮肉なことに寂れた雰囲気と引き換えに、宿場町といった雰囲気がわずかに残っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見るからに昭和から続いているような「アルファ」という看板建築の喫茶店があった

 

店先に無造作に自転車が停められていることから見て、おそらく地元民の憩いの場所になっているのではないだろうか?

 

 

ところで、タイトルバックと次の写真を見て、何か“引っ掛かる”箇所があると思った方は、町歩きの上級者にちがいない。そう、「アルファ」の隣には明らかに何軒もの建物を取り壊した……と、一目でわかる建設現場があるのだ

 

ちなみに、Googleのストリートビューは、まだ取り壊される以前の映像のままなので、この場所が無残な更地にされてしまったのは、ごく最近の出来事であることがわかる

 

 

この更地を見たとたんにムラムラと怒りがこみ上げる。7年前に旧中山道を散策したとき、この場所には

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和初期頃に建造されたこのような出桁造りのクリーニング店があったのだ。これは「現在」見られるストリートビューの映像である

 

この画像だと現役なのは隣にある看板建築のクリーニング店だけで、出桁造り商家のほうは廃業してしまっている雰囲気で、僕が見た2017年の段階でもこんな感じであった

 

 

そこで、いつ頃まで営業していたのか過去のビューを遡ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

出桁造りの「古橋青果店」は、どうやら2014年まではこのように元気に営業していたようだ

 

前回の散策は日没後に行ったため、建物の細かいディテールが撮影出来なかったので、今回そのリベンジを果たそうと思っていただけに、建物の消失に大きなショックを受けた

 

 

参考として、2017年に撮影した写真を貼っておく

 

 

 

 

 

 

 

 

この建物は永遠に地上から失われ、おそらくその跡地には、クソみたいなマンションが建ってしまうものと思われるファッキン!

 

 

 

 

 

 

 

 

などと殺伐とした気分になっていると、一気に脱力感を覚えるような「力士料理 くらち」という店があった

 

ファサードに設えられた、ちゃんこ鍋の前でビールを持った立体化された力士の看板がインパクト抜群だが、インパクトがありすぎて逆に入りにくい空気を作っている

 

 

ちなみに、こう見えてわりと老舗のちゃんこ屋のようで創業は30年以上前のことだと口コミに書かれていた

 

 

撮影しようと思っていた出桁造り商家は跡形もなく取り壊されてしまっていたが、ガッカリするにはまだ早い。並びにはまだ見所のある古民家が建っている

 

 

 

 

……はずだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よかった。こちらの物件は取り壊されたりせず無事に残っていた

 

「たばこ」とだけ記された真っ赤なクレハロンテントに抜群のインパクトがあるが、閉ざされた埃っぽいシャッターから見て廃業しているような印象を受ける

 

 

当然、Googleマップにも記載はなく、ということは、やはり廃業しているのだろう

 

しかし、住居としては現役のようで中庭的な部分には、真新しいママチャリが2台停められていた

 

 

 

 

 

 

 

 

建物の正面は見るからに戦後に建てられたような雰囲気であったが横から見ると、じつはかなり古い建物なのではないかと見受けられる

 

この写真を撮影してしまうと、この建物に対する興味は薄れてしまい、よく観察しなかったのだが、帰宅後にストリートビューで復習していると、それは僕の大きな失策であることに気付き愕然とした

 

 

この建物、近くで見ると多少古そうなだけで、とくに見るべきところなどなさそうなのに、少し離れて全体像を見ると

 

 

 

 

 

 

 

 

驚いたことに方形屋根を模した「房総スタイル」の建物だったのだ。現地でこれを見落とすとは、なんたる不注意と忸怩たる思いがこみ上げた

 

 

しかし、言い訳をさせてもらえれば、それはやむを得ないことだったと納得していただけるだろう

 

というのも、この房総スタイルの廃業したタバコ屋の隣には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の好みを凝縮したような出桁造りの商家に、モルタルで造られた看板建築状の立派なファサードを備え、なおかつ横から見ると錆び錆びのブリキ波板……

 

という、もう役満みたいな物件があったのだから、こちらに注意力のすべてを持っていかれたのも、当然といってよいだろう

 

 

そしてこの物件、上の写真を見ればわかるように驚いたことに現役で営業を続けているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが店内を見ると商品の棚はスカスカで、店先の台には午後の紅茶が2本置かれているだけ。なのであまり熱心に営業しているようには見えなかった

 

何より7年前に散策したときには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店舗の入り口の上には緑色と白のポリカーボネート製だと思われる庇が設えられていたのに、現在は跡形もなく取り払われてしまっている

 

ということは、新たに商品を仕入れようとは考えておらず、在庫がなくなったら閉店してしまう予定なのではないかと思われた

 

 

わずか7年のうちに何軒もの店舗が廃業し、昭和初期に建造され戦災や高度経済成長期、バブルなど、数々の荒波をくぐり抜けてきた貴重な建物は、ここ近年になって板橋にかぎらず、どうでもいいマンションに建て替えられる例が多発している

 

そんなものが発展ではないことなどは、少し思考力がある者ならばとっくに気がついていることなのに、相変わらずゴミのような汚職政治家が跋扈するアメリカに魂を売り渡した保守政党に無思考で投票する国民……

 

 

かつてのアジアの盟主は、見る影もなく凋落し崖から転げ落ちているのに、そのことにすら気がつかない脳天気なアホばかりのこんな国に、明るい未来など決して訪れることはないだろう

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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