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🚪 final 孤高の存在・長谷川燃料店+その他オマケ 

 

 

 

 

 

 

 

平間駅からガス橋に続く駅前通りをすすんで南部沿線道路を越えると、セブンイレブンの先で古市場方面に向かう細い路地がある

 

路地の途中にある芸術的と言っても過言ではない、錆び錆びブリキ波板アパートの無事を確認したが、その路地をさらにすすむとガス橋から古市場に向かう通りに出る

 

 

通りとの交差点を入ってすぐのところの住宅街に……

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突に「長谷川燃料店」という激シブの平屋建て看板建築が残っている。建物はおそらく昭和30年代頃の建造だと思われるが、その佇まいが素晴らしい

 

周囲は完全に住宅街で、このような商家はあまり見あたらないような立地なのにも関わらず建物の建築様式から見て、おそらくまだ周囲が住宅街になる以前、あたりが田圃や畑ばかりの頃からこの場所にあるような孤高の存在である

 

 

 

 

 

 

 

 

この物件に初めて気が付いたのは例によって高校生の頃、学校をサボって自転車でうろうろしていたときだ

 

僕は当時からヒネクレたガキだったようで、たとえば二子玉川から渋谷に向かう場合、最短距離である国道246号線は使わず多少遠回りになっても裏道を使って目的地に向かっていた

 

 

というのも最短距離の広い通りは、無理やり敷設したものか、あるいは古い道筋を拡幅したもので、したがって古い建物などはあまりなく面白味の欠片もない風景が続く場合がほとんどだからだ

 

この変な性癖はブログを開始して町歩きをはじめたときにも継承されており、いまだに最短距離を選ばず気の向くままフラフラと路地裏を彷徨っているのだから、これはもう性癖というより特性と言ってよいだろう

 

 

 

ーーという前おきのように高校生の頃、学校をサボって川崎駅方面に向かっていたとき最短ルートである府中街道や南部沿線道路、多摩川サイクリングコースは無視して、わけのわからない住宅街を走っているときに、この物件を発見した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平屋建ての看板建築の部分は単純にアルミのようなトタンのような金属板を張ったファサードであるが左横に、石板によってデザインされている部分がある

 

この凝った造りが当時はあまり古い建物に興味がなかった僕ですら、思わず瞠目して、しばらく眺めてしまったぐらいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

そして店の左側にあるタバコ売り場がまたよい味を出している

 

このように店舗の一部がタバコ売り場になっている物件は、現在のように喫煙者が迫害されるようになる以前は、ごく当たり前の造りであった

 

ところが喫煙の健康に対する害悪は科学的に証明されているわけでもないのに、タバコが悪いと喫煙者が一方的に悪者扱いされるようになって以来、すっかり少なくなってしまった

 

 

という話はともかく、なぜこのような往時は畑の真ん中だったような場所に店舗があるのかというと、この店を創業した人物が、この場所に古くから住んでいた者だったからだ。と、僕は推理した

 

というのも、通りから見るとポツリと店舗があるだけだが、この建物の奥にはかなりの広い敷地があり、多摩川から見ると屋敷林のようなものが確認できるからだ

 

 

その屋敷林を撮影しようと思っていたら、そのすぐ先に気になる建物があったので、思わずシャッターを切った

 

 

 

 

 

 

 

 

それがこちらの物件だ。ちなみに、この写真を僕は多摩川の土手にあるサイクリングコースから撮影している

 

 

半もじゃ化した町工場のような物件であるが、入り口の大きなシャッターの横には、何やら放置されているような雰囲気の中二階建てのプレハブ小屋があるところが、僕の興味を引いた

 

しかし、廃棄物が散乱するこの様子から見て、すでに廃業していることは間違いないだろう

 

 

これで中丸子の物件は、だいたい紹介し終えた

 

ーーと、ここで終わってしまうとブログの尺がやけに短くなってしまうため、「オマケ」として、メインの記事にするには枚数が足りず宙に浮いていた写真をテキトーに貼ってゆく

 

 

 

 

 

 

 

*オマケその1

 

最初は2017年の記事で紹介した解体されてしまった……

 

 

 

 

 

 

 

(2017年9月撮影)

 

こちらの5軒長屋の看板建築飲み屋街のすぐ先にも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レストバー まゆ」と「おふくろの味 はるみ」という、とても味わい深い2軒の飲み屋が現在も残っていた

 

僕は基本的にお酒は飲まないので縁がなかったが、どちらの店もなんとなく気になる佇まいだ。とくに「レストバー まゆ」のほうは、入り口のドアに小さな「♢」型の窓があるところがおもしろい

 

 

いずれの店もすでに廃業して久しいような荒廃した雰囲気が漂っており、おそらく取り壊されてしまった5軒長屋の看板建築飲み屋街と同様に、昭和中期頃が全盛期だったのだろう

 

 

 

*オマケその2

 

小ネタが続くが、塚越銀座から少し北寄りには川崎市の幸区役所がある

 

現在の区役所の周辺は、とくに店などは見あたらない住宅街であるが、僕が自転車で放浪していた高校生の頃は、国道1号線に続く方向に向かってちょっとした商店街になっていた

 

 

ところが例によって商店街の衰退という現象は、当然のように辺鄙な商店街にも押し寄せて、数軒の店を残してほとんど壊滅してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2階の住居部分に明かりが灯る「中華 大満」以外の店は、すでに廃業して久しいようで、屋号も出ていない

 

以前は文具店とか酒屋や食料雑貨の店もあったような記憶があるが、現役で残っているのは2軒の飲食店だけになってしまったようだ

 

 

ちょっと驚いたのは、もう何年も前から廃墟だとばかり思いこんでいた錆び錆びの看板建築の2階から、明かりが漏れていたことであろう

 

あまりにも写真が暗くてよくわからないけれど、この看板建築、ほんと見事なぐらい錆び錆びで、とても現役とは思えない姿なのだ

 

 

 

 

さらにもうひとつオマケ

 

今回のシリーズは「川崎市中部」というくくりなので、少しテーマから外れるがたまたま川崎駅の近くにある古着屋に行ったので、ついでに撮影しておいた

 

 

*オマケその3

 

何度も書いているが川崎市駅の周辺は、旧東海道を含めて戦災や開発によって古い町並みどころか古い建物も壊滅してしまっているが、先日の記事に掲載した解体が決まった近代建築のほか、わずか数棟の戦前物件が残っている

 

 

残っているのは、いずれも爆撃や区画整理が激しかった中心街から少し外れた場所で、具体的に例をあげると川崎大師付近の京急・東門前駅付近に出桁造り商家が1棟、川崎駅前から1キロほど鶴見駅方面に向かったところに出桁造り商家が1棟

 

 

そしてもう1棟が、最近大々的に再開発されたラゾーナ川崎側の駅前通りを、しばらくすすみ商業地区を外れたところにある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの出桁造り商家を住居仕様に改装したものと考えられる物件である

 

上記の3例のなかでは、こちらの物件がもっとも川崎駅から近く、ラゾーナ側の駅前通りを300メートルほど行った場所にある

 

 

何故そのような駅前から離れた場所に、戦前からの商家があったのかというと、おそらくこの建物のすぐ脇を市電が走っていたからだと思われる。つまり昭和初期頃には市電の電停があったのだろう

 

川崎市の南部には、なんでこんな辺鄙な場所に商店街があるんだ? という例をよく見かけるが、そのほとんどは、かつての市電の名残と言えるだろう

 

 

 

 

 

*オマケその4

 

 

 

 

 

こちらはJR南武線・武蔵新城駅の北口商店街の外れにあった看板建築の精米店である

 

昔からの精米店らしく「Rinnai」の看板からわかるように、灯油などの燃料も扱っていたようで、隣の敷地との境目にコンクリート製の頑丈な塀が設えられている

 

 

ちなみに、以前はこの精米店の百メートルほど先まで商店街は続いていたが、道路拡幅によって分断された先は滅びてしまった

 

 

 

 

 

 

*オマケその5

 

 

 

 

 

JR南武線で武蔵小杉と武蔵新城の真ん中にあるのが地味な駅の武蔵中原である

 

つい最近、駅と直結通路が設けられた通路がある富士通の広大な敷地内にある建物が、すべて解体されて瓦礫になった。その富士通の工場の裏側で見つけたのが、上に貼った典型的な「自殺ドア」トマソンだ

 

 

ここまで見事に謎がないトマソンもめったにないが、それは隣の建物が解体されたことによって、あいだにあった外階段も取り壊されてしまった……

 

という、誰でも見れば経緯がわかる出来立てホヤホヤのトマソンだからであろう

 

 

 

ということで、11回にわたり長々と川崎市中部のシリーズを上梓したが、散策や歴史系ブロガーがまったく取り上げない川崎市中部の記事を、ここまでしつこく書いているのは、インターネット界広しといえども僕ひとりしかいない

 

なので、川崎市中部のディープなネタでググると、たいてい僕のブログしかヒットせず、Google検索が役に立たずちょっと悲しい今日この頃だが、次回はこのシリーズの番外編をお届けしよう

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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