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🍧 ⑥都電荒川線を越えて庚申塚商栄会へ
「地蔵通り商店街」は高台寺の門前町であるが旧中山道でもあり、巣鴨のメイン商店街なので一種の観光地と言えるだろう
しかし高台寺を過ぎてしばらく行くと観光地の常として、あまり遠くまで足を伸ばす観光客はいないため、次第に地元民のための普通の商店街の雰囲気に変化する
そして前回の記事の最後のほうで紹介したビルの解体現場あたりまで来ると、もはや観光地といった雰囲気などは微塵もなく東京のどこにでもありそうな商店街に変わる
そして買い物客の数は明らかに減少し、シャッターを下ろした店も目に見えて増えてきた。それらの店舗は廃業しているようには見えないから、どうやら冒頭で直感した「定休日を引く男」の本領を発揮してしまったようだ
巣鴨駅の裏手にあった飲み屋街で見かけたのと同じような円筒型にクレハロンテントを並べた「やなぎ美容室」という店を見つけた
店内には明かりが灯っているので絶賛営業中のようだ。首都圏では床屋と美容室は組合の決めた定休日は月曜日なので、日曜日の散策が多い僕は逆に定休日を引くことは少ない
上の写真が「巣鴨地蔵通り商店街」の最後のアーチで、商店街は続いているがこの交差点から先は、その名称が変わる
「やなぎ美容室」のすぐ先の交差点で交わっている折戸通りは、前回のシリーズで訪れた西巣鴨のお岩通りに続いているが、交差点の角には江戸時代からこの場所に存在している庚申塚がある
邪魔くさいタワーマンションの方角(巣鴨駅のほうから見て右側)に曲がると都電荒川線の新庚申塚の電停があり、そこから先はお岩通り商店街であるが、そちらには行かず旧中山道を先にすすむと
今までの発展している商店街といった感じから、いきなり場末感たっぷりの雰囲気に変わった
一般的な観光客などは「ああ、ここで地蔵通り商店街は終わりか……」と、引き返してしまうかもしれないが、散策者としては、ここからがいよいよ本番ということになる
交差点の角にある庚申塚の斜め向かい側にある渋すぎる洋品店「カドヤ」のすぐ先で……
旧中山道は都電荒川線の線路を越えるが、線路際にある「お米の専門店 浅賀米店」の佇まいに惹かれて、無意識にシャッターを切っていた
ここでも、いい感じに人物が写りこんでいるがモニターなど見ずにテキトーにブラインドシャッターを切っただけなので、狙ったわけでは決してない
この庚申塚電停はホームの脇というか、ホームに店があることで知られている
早稲田方面の上りホームには何もないが三ノ輪橋に向かう下りのホームには甘味処の「いっぷく亭」と「御台屋」という居酒屋がある。ホームのなかに甘味処と居酒屋がある駅などは全国的に見ても稀有な例だろう
都電荒川線を越えても商店街は続いているが「地蔵通り商店街」とは雰囲気も商店街組織も別で、こちらは「庚申塚商栄会」という名前がついている
荒川線の踏切を過ぎて最初に目につくのは
錆び錆びのブリキ波板の主屋に平屋の看板建築がくっついた「青梅スタイル」の「加瀨ふとん店」という物件である
「青梅スタイル看板建築」とは、こちらの物件のように、二階建ての主屋に平屋建ての看板建築がくっついている様式のことを、僕が勝手に名付けたものだ
先ほど見かけた「地蔵通り商店街」で孤高の存在感を示していた布団屋と比べると、ひなびて枯れた佇まいが渋いが、しっかり現役で営業中のところが素晴らしい
その隣にあるRC構造のテーラーと路地を挟んだ先には、戦後型の古い看板建築をリニューアルしたインド料理屋がある
僕が初めて散策したときには、すでにインド料理屋だったので、けっこう老舗(というほどでもないが)の部類に入るだろう
ここから先は向かい側に「コモディイイダ」という大手スーパーチェーンがある他は、それまで歩いてきた「地蔵通り商店街」とは対極にあるような個人商店が主体のちょっと寂れた雰囲気に変わる
この“ちょっと寂れた”というのが重要な点で、寂れているがゆえに古い建物が残っており、それらの建物こそが今回の散策のクライマックスということになる
続く
†PIAS†
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