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📖 ②飲み屋街の2棟並んだ出桁造り商家 

 

 

 

 

 

 

中目黒駅を降りたところに「目黒銀座商店街」の一角をすべて潰して、タワーマンションを中心とした複合施設が出来たのは、もうずいぶん昔のような気がする。中目黒に古着屋が開店しはじめたのは、その後であった

 

僕がこの町を頻繁に訪れていたのは高校生の頃で、当時、よく学校をサボってママチャリで古書店巡りや名画座で昔の映画を見て時間を潰していた。その古書店巡りのコースで外せないのが中目黒であった

 

 

うちからの順路としては自由が丘→都立大学→学芸大学→祐天寺ときて、目黒川の河岸段丘を下って中目黒→三軒茶屋というのが定番コースで、半日かけて20軒ぐらいの古書店を回った

 

 

その当時、中目黒には何軒か古書店があった。まず山手通りの東横線ガード下のすぐ脇に新刊と古書を扱う小さな店があり、山手通りをそのままゆくと池尻大橋の手前の路地裏に1軒、「目黒銀座商店街」には、現在も目録営業を続けている「杉野書店」がある

 

そして、当時はまだなかった有名な古着屋「ジャンティーク」の向かい側のマンションの1階に「熊の木書店」という、マイナーな雑誌とサブカルチャー系に力を入れている古書店があった

 

その頃、僕は古武術や中国武術の書籍を収集していて、この店で雑誌「武術(うーしゅう)」をかなり購入した記憶がある。「武術」なんてマイナーな雑誌は、新刊本屋にも置いていないところがあるのに、その店のおかけで創刊号からほとんど揃えることができた

 

 

この古書店は、都内にグループ展開しており、祐天寺、学芸大学、西荻窪、駒込(記憶不確か)などに支店があり、一時期、蛇崩にも支店があった。ユニークなのは店名で「あるご書店」「あたた書店」「本売ります本当です」など、ひとを喰ったような屋号がつけられていたが、僕の知るかぎり西荻窪を除いて、みんななくなってしまった

 

という前おきはともかく、複合施設の横、「目黒銀座商店街」の入り口を左に曲がると、ごちゃごちゃとした雰囲気の飲食街が存在している

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の記事で取り上げた藤間流の踊りの稽古所の斜め向かい側を見ると、ダイヤ「♢」型の装飾が施された悪目立ちする居酒屋が見える

 

その隣には「地酒・失タン・肉おでん」という袖看板が出ている戦後型看板建築のような店がある。しかしこの物件、「♢」の上側、屋根庇の下をよく観察すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アバンギャルドな「♢」の上のほうの隙間から出桁造りの梁がチラリと見えている

 

そして真ん中の「地酒・失タン・肉おでん」は無視して左側の建物を見ると、コジャレた洋服屋が入居しているが、こちらは感心なことに「♢」の装飾や看板建築風の魔改造はされておらず、この建物が本来なら三軒長屋の出桁造り商家だったことがわかる

 

 

この三軒のなかでは、建物の本来の姿を活かしたコジャレた洋服屋が、やはりいちばんセンスがよい。できれば残りの2軒もこういったセンスで造り直してほしいものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらのコジャレた洋服屋を裏側から見たら、もう完全に台東区台東三丁目のような佇まい。タキロン波板の屋根つき物干し台が渋い

 

じつは、こちらの三軒長屋の出桁造り商家と路地を挟んだ隣にある建物も……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不自然に間口の狭い出桁造りの建物で、どのような理由なのか不明だが、おそらく半分にぶった切られてしまったものと考えられる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物は昭和初期頃のものであるが、入居しているのは昔ながらの商家ではなく、隣のコジャレた洋服屋と同様にスタイリッシュなギャラリーと本の店で、外側からチラリと覗いてみると本といっても写真集のようなグラフィック重視の品揃えのようだ

 

この路地を挟んで並んだ戦前物件のあいだの路地に入ってみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

ここが洒落た町の代表格の中目黒とはとても思えない、昔はどこの町にもあったような、くすんだグレーのモルタル外壁のボロいアパートがあって驚く

 

あまり生活感は感じられないが、窓の外には真新しい洗濯ハンガーが下がっているので、まだ住んでいるひとがいるようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は、さほど見るべきものはなさそうだったので、飲み屋街を戻り「目黒銀座商店街」に入ることにする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目黒銀座商店街」を端的に表現すると戦後型看板建築を中心とした昭和中期の雰囲気を強く残す町並みに、近年になってから建てられた1階が店舗になったマンションなどが並び、昔ながらの商家とコジャレた飲食店、古着屋が絶妙に混ざった商店街……

 

といった感じだろうか

 

 

僕が高校生の頃は、コジャレた店などはほとんどなく、いかにも昭和な商店街といった感じだったが、コジャレた店がたくさん増えてもその印象は、あまり変わっていない

 

中目黒のお洒落タウン化は、目黒川の両岸沿いのほうが早かった記憶があるが、この「目黒銀座商店街」に洒落た店が増えたのは、まず間違いなく古着屋「ジャンティーク」の影響が大きいと思う

 

 

ということで、次回は昭和な雰囲気を色濃く残したこの商店街を散策する

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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