▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 

▼ final 廃業してしまった片流れの不動産屋 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国道17号線(首都高速中央環状線)のところで「きつね塚通り商店街」は終わっていた

 

きつね塚の通りは当然、その先まで続いているが、常々僕が唱えている「広い道路は町を分断して結果として滅ばす」のとおり、その先には老舗っぽい酒屋が1軒残るだけで住宅街になってしまう

 

 

あとは板橋駅まで行って、どこかで夕食を摂って帰りは高円寺にでも立ち寄って古着屋を回ろう……という算段で旧中山道に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

板橋駅の付近にも戦後型看板建築の町並みはあるが、首都圏のどこにでもある商店街といった雰囲気で、さほど面白味は感じられない

 

このまま先まですすんで国道を越えて、かつての中山道板橋宿まで行けば出桁造り商家や戦前型看板建築などがあるが、今回は「滝野川」というくくりを設けたので板橋駅前で散策を終える

 

 

ーーが、そんな面白味のない板橋駅付近にも面白味のある場所は存在している。それはJR の線路に沿った一角で、そこにわずかに戦後の闇市っぽい雰囲気を残した飲み屋街があるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧中山道を板橋駅方面に向かうと踏切の直前に、こんなブリキ波板とモルタルの芸術のような極小の片流れの建物が残っている

 

この物件、前回の散策のときは現役で営業していたが、5年ぶりに訪れてみるとトタンの雨戸は閉ざされ廃業してしまっているようだ。個人的に板橋を象徴する建物だと思っていたので残念だ

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても廃業してしまっていても物凄い存在感を放っている

 

この建物の圧倒的なオーラと比べたら周囲にある新しいビルなどは「屁」のような存在感しかなく、あってもなくても町の「格」に何の影響も及ぼしていないことがよくわかる

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは7年前に撮影した在りし日の「東洋不動産」の姿である

 

どう見ても建物の敷地面積は畳六畳ほどしかなく、それが二階建てというのが凄いが、このスペースのどこにも階段が入る余地はなさそうに見える

 

 

よく見ると隣家、というより完全に一体化している隣の建物と屋根の部分がつながっているので、もしかしたら階段のスペースは隣家にあるのか? しかし、そのわりに2階の窓には段差があり、内部がどうなっているのかわからず気になるので見学会をしてほしいものだ

 

この素晴らしい「東洋不動産」の横には自転車もギリギリという極狭の通路があり、そこが飲み屋街になっていて、その隙間こそ板橋駅付近ではハイライトと言っても過言ではない風景を造り出している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この隙間にあるのは基本的に飲み屋なので、まだ陽が高いこの時間では店が1軒も営業しておらず、あまり雰囲気をお伝えできないのが残念だが、この日の強烈な陽射しのおかげでドラマチックな写真にはなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この2枚の写真を見れば、この隙間の狭さがよくわかると思う

 

「東洋不動産」がある旧中山道側の入り口付近は、自転車がすれ違える程度の広さがあるが出口の板橋駅付近では、ママチャリがギリギリ通れる道幅しかない

 

前述したように撮影した時間が早すぎて、まだ店がひとつも開いてなかったので、2017年に撮影した夕暮れどきの写真を貼っておく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはりこういった飲み屋街がイキイキとしてくるのは、そろそろ一杯という時間帯からだろうが、僕は酒は飲まないのでこういった町には馴染みがないため、あくまでも野次馬的な視点でしかなくリアリティに欠けるかもしれない

 

もっとも写真というものは、対象と深く関わっているという関係性よりも傍観者の視点のほうが、案外と物事の本質を突いていたりするが

 

 

 

 

 

 

 

 

などと屁理屈をこねながら線路際の看板建築群を撮影しながら駅前に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

板橋宿は流山で出頭した新選組の近藤勇が処刑された土地で、新政府によりすっかり悪者にされてしまった昔の仲間のために永倉新八が建てた碑が残っているので、新選組シンパの僕としては、この町に来たらこの場所に寄らないという選択はない

 

幕末を駆け抜けた武士(もののふ)たちにしばし想いを馳せたあと板橋駅に向かうと

 

 

 

 

 

 

 

 

いかにも田舎臭かった(だがそこがよかった)板橋駅は、僕の知らないうちに駅ビルになっていて、すっかりどこかの郊外の私鉄沿線のような無個性な風景に変わっていた

 

予定どおり早い時間に散策を終えたあとはJRを乗り継いで高円寺におもむき、古着屋を回ったが、これも予定どおり何も買わず馴染みの店員と雑談して帰宅した

 

 

これで滝野川シリーズは終了するが、近隣の巣鴨、板橋もしばらく訪れていなかったので、近いうちに散策するつもりである

 

 

 

 

《滝野川・旧中山道の町並み》おしまい

 

先日は現在僕が居住している川崎のディープな物件を紹介したので、次のシリーズは故郷の世田谷区を中心として、かつての生活圏だった品川、目黒の馴染みの場所を久しぶりに巡る

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼