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📖 ④オヤジ井戸端会議と怒鳴られる古書店 

 

 

 

 

 

 

王子駅を降りて北東方面にすすみ「八幡通り商店街」→「宮元商店街」→「御代の台仲通り商店街」→「旧中山道」→「滝野川市場通り商店街」ときて、登録有形文化財の銭湯「稲荷湯」も見たので再び「旧中山道」に戻る

 

このあとは旧中山道沿いを板橋駅に向かい、その直前で北の方角に伸びている「きつね塚通り商店街」へと移動する予定だ

 

 

旧中山道に戻ると最初に目を惹いたのは、こちらの「諸橋金物店」であった。というのは、建物の向かって左側が更地にされていて、建物の横には何やら足場のようなものが組まれていたから

 

「ムムッ、ここも古い建物が取り壊されてどうでもいいマンションでも建つのか?」と、思って7年前に撮影した同じ場所の写真をアーカイブから引っ張り出してみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてことはない、7年前の写真とまったく変わっておらず、隣が更地のように見えるのは奥に建っているマンションのエントランスのためだとわかり、とっくの昔にマンションは横にあったことが判明して

 

人騒がせな……と、肩の力が抜けた

 

 

それにしても、オバチャンたちの井戸端会議ならわかるが、7年前の写真では店の主人と近所のオッサンの井戸端会議の様子が写っていて、さらに脱力感を味わう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し先に無理やり感満点の錆びついた波板のパラペットに絶大なインパクトのある「山田屋酒店」が、変わらず残っていて、なんとも言えない懐かしい気分になった

 

こちらの物件のファサードには……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウヅ◯キ正宗」と、何やら清酒のブランド名らしきものが記されていたが、7年前の記事で結局なんなのか判然としないと書いたら、コメント欄に

 

《「ウツ〇キ正宗」は「渦巻(ウヅマキ)正宗」で埼玉県鴻巣市にあった「玉井酒造」の銘柄だったようです。》

 

 

というご指摘をいただき「ウヅ◯キ正宗」が、じつは「渦巻正宗」ということを知った。渦巻きの「ず」が「ズ」ではなく「ヅ」というあたりから、この酒造会社が古い歴史を持つことがわかる

 

「玉井酒造」でググってみたが、酒蔵一覧のようなものに名前は出ているが、その他の情報は一切なく、どうやらずいぶん昔に廃業してしまったようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

酒蔵ではなく「山田屋酒店」も2017年に撮影した写真を見ると、シャッターが開いて店内の様子が写っているが、現在は営業しているようには見えなかった

 

その隣にある変形「凸型看板建築」の店舗も7年前の写真の段階で、すでにホコリっぽい軒先クレハロンテントには何も記されておらず、現在も変わらずそのままなので、この風景も見納めかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その並びにある戦前物件の出桁造り商家を、戦後になってから無理やり看板建築に改装した物件は、現役で営業していたが、僕の記憶に残る姿とは合致せず現地で物凄い違和感を覚えた

 

こういった違和感というのは、たいてい何らかの部分が、脳内のどこかにある潜在意識に残る“表出しない記憶“と相違するため起こる感覚で、僕の場合、それを具体的な映像情報として引き出すことができないパターンが多い

 

 

そんなときは過去のストリートビューを見るのが早いが、そうするまでもなく、都合よく「渦巻正宗」のおかげで7年前に撮影した画像のページを表示していたので、一瞬にして解答を得ることができた

 

 

 

 

 

 

 

 

あー、はいはい。なるほどね。隣にあったのは僕の最寄駅の商店街にもある「丼丸」という、チェーン展開している寿司屋だったので、完全に覚えてはいなかったけれど、それが違和感として表出したわけだ

 

この元「丼丸」、現在は「よろず屋いちばん」という雑貨店になっている物件の横の隙間が気になったので、ちょっと入ってみると

 

 

 

 

 

 

 

 

隙間の突き当たりには「小林質店」という紺暖簾が渋い質屋があった

 

それにしても、こんな隙間の奥に質屋があるなんて、そう簡単には気づかないと思うのだが、こんなロケーションでも営業が成り立っているところがすごい

 

 

 

 

 

 

 

 

旧中山道に戻ると通りの反対側に2階の屋根庇が、カフェー建築を想起させるアールを描いた妻入のモルタル物件が……と、書こうと思ったら、またしてもこの日の激しい陽射しでハレーション現象が起こり、庇の部分が白飛びしてしまった

 

 

なので、ここはアングルを変えてハレーションが起こらないように撮影すると

 

 

 

 

 

 

 

 

モルタル物件の真後ろに、町を圧迫するような大きなマンションが聳えているという構図になってしまった

 

このような郊外に近い北区と板橋区の境界線に近い町にも、首都圏全域に蔓延るマンション病の病原菌が容赦なく押し寄せていることを実感する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのすぐ先に「坂本書店」という、7年前の散策のときにも廃業して放置されてから、すでに十年は経過しているのではないか? というぐらい廃墟な雰囲気を漂わせた古書店の成れの果てがある

 

この店は20年ぐらい前に入った記憶は残っているのだが、どんな店だったのかは、まったく覚えていない

 

 

そこで「板橋 古書店 坂本書店」でググってみると、古書店訪問ブログがヒットして、なんとこの店は、通りの反対側に移転して現在も営業していることが判明した

 

そのブログを読むと……

 

この古書店には、いつも苦虫を噛み潰したような表情をした店主が睨みを効かせていて、店に入っただけで怒鳴られると「本の雑誌」の記事にあり、恐る恐る買い物をした、というリポートが記されていた

 

 

しかし、20年前に入ったときは別に怒鳴られた記憶もなく、いたって普通の古書店だったことはわずかに覚えているので、おそらく僕が訪れた後に、人格にダメージを負うような何やら苦々しい経験を経て偏屈オヤジになったのかもしれない

 

 

と、話が盛大に本題からズレたが、次回はいよいよ最後の見所である「きつね塚通り商店街」に向かうが、そこでまたしてもダメージを喰らうことになる

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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