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😿 愚かな区画整理で消えた升幸酒店を偲ぶ
「お岩通り商店会」で猫と遊んでーーいや、遊んでくれなかったのだが、いずれにせよすっかり道草を食ってしまったので、北区滝野川の散策なのに豊島区西巣鴨に寄り道した目的の話に戻る
この「お岩通り商店会」の近くにある今回寄り道する目的の物件は、中山道および巣鴨界隈を散策していたときに、ちょっと気になる路地があったので、なんとなく曲がってみたら偶然見つけたものだ
そのときは「ああ、こんな場所にも戦前から続いていた店があったのか」と、えらく感動した記憶が残っている
なので今回寄り道してでも、その物件を見ておきたかった
それにしても、この「お岩通り商店会」、以前訪れたときよりさらに店舗の数が減っているような気がする
この黒ずんだモルタル外壁の廃業した商家は7年前に見たとき、すでにこんな状態であったが、隣にもう1棟似たような建物があったことを、はっきりと覚えているのに、現在は面白味の欠片もないマンションになっていた
僕の記憶に間違いはないか確認するため、過去のストリートビューにあたってみると、驚くべきことが判明した
僕が前回の散策をする2年ほど以前までは……
隣にあった似たような建物のさらに隣に、こんな古民家が残っていたのだ
玄関の明かり取りや屋根瓦の雰囲気から戦前物件、おそらく元は小料理屋のような商売をしていたのではないだろうか
さらに驚いたのは、路地を挟んだ向かい側には
大好物のこんな錆び錆び平屋建ての乾物屋の看板建築が! こちらの建物は2015年までは残っていたが……
ストリートビューに、今まさに解体されて無惨にも更地にされた場面が残されていた
これで何か町の発展に役立つような、あるいは後世に残るような意義のあるものに建て替えられるならば、まだ救いがあるけれど現在ここにあるのは、どうでもいいマンションで、商店街は寂れる一方なのだから救いようがない
以前散策した場所を再び散策してみると、心に残った百年近い昔に建造された素敵な古民家が、半世紀もすれば始末に負えない粗大資源ゴミと化す愚にもつかないマンションなどに建て替えられている光景は、すっかりお馴染みになってしまった
サスティナブルが叫ばれるこのご時世なのに、こと町並みに関しては、いまだに土建屋主体のバブル体質から一歩も抜け出せないようでは、今後ますますこの国は没落してゆくだろう
などと、なんとなくモヤモヤした気分で、7年前に発見した物件のある路地のほうに向かった
都電荒川線の踏切の脇には、錆び錆びのブリキ波板トンガリ物件という魅力的な廃墟があった
1階の部分がガランドウになっているので、おそらく倉庫とか物置小屋のたぐいだったのだろう。よく見ると側面の壁にトマソンなドアがあるが、全体的に錆びているためカモフラージュになっているのが可笑しい
錆び錆び波板物件を撮影していたら、遮断機が降りたので都電がやって来るのを待って、とくに必要性もないのに撮影するというのは、ブロガーの「性」としか言い様がない
この踏切をわたってすぐ左側に、明治時代に四谷から移転して来たお岩さんの菩提寺「妙行寺」がある
当ブログは、よほど内容に深く関係している場合は別にして、神社仏閣はスルーの方針なので外観だけ撮影する
何故ならば、このような古くからの町を散策するブログにおいて、訪れた町の神社仏閣などをいちいち巡っていたら、ちっとも前にすすまないからだ
ちなみに四谷怪談では、お岩さんは殺されて祟る設定だが、あれは鶴屋南北の創作で、お岩さんは実在していたそうだが殺されたという事実はなく、どうやら病死したようだ
この妙行寺からさほど行かないうちに、今回寄り道した理由の物件が残っているはずだ
このように「だ」と断言するのは、いつもなら事前の下調べはしないのだが、なくなっていとイヤなので、前日にストリートビューで無事な姿を確認していたからである
と、撮影する気満々で先にすすむと……
目当ての物件の隣にあった平屋建てのクリーニング店は残っていたが、肝心の物件は跡形もく取り壊されており、どうでもいいサイディングボード外壁のツマラナイ建物に建て替えられていたファッキンシット!
あまりのショックに、何かの間違いなんじゃないかと、何度もあたりを見回してみるが、若干印象は変わったとはいえクリーニング店には確かに見覚えがある
「現在の映像」という前提のビューには建物が残っているので、解体されてしまったのは、ごく最近のことだろう
散策をするときは、ある程度取り壊されていることは覚悟はしているが、さすがに前日「現在の」ストリートビューで無事な姿を見ているだけに、大きなショックを受けて、しばらく呆然としてしまった
それでは、ここで貴重な建物が失なわれてしまった際のいつものセレモニーとして、7年前に撮影した写真を掲載して鎮魂歌(レクイエム)を捧げたい
こうして東京から貴重な町並みが、またひとつ永遠に失なわれた
僕に感動を与えてくれた出桁造りの「升幸酒店」、そしてその後方に建っていた木造二階建て簓子下見板張りの住宅……この景色は、いつまでも僕の心に残っているだろう
「升幸酒店」の隣にあった住宅は、どうやら無事に残っていたが、古い町並みに、次々と異物が混入して、それはやがてこのような古い町並みを飲み込んで、無味乾燥としたクダラナイ風景に変えてゆく
そんな愚かな行為が発展だというならば、そんな発展はクソクラエだ
と、いささかメランコリックな気分になったけれど……
この細い路地から首都高速中央環状線を越えた先に、いよいよ今回のメインテーマである「迷宮のような滝野川」の核心部がある
滝野川の核心部に足を踏み入れるのは、5年ぶり3回目であるが、果たして以前、僕に感動を与えてくれた町並みは、無事に残っているだろうか
続く
†PIAS†
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