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🍜 続々・最近食べたものと着た服とか行った場所
徹底的な区画整理による再開発により、かつての津久井道の宿場町の面影を残した登戸から向ヶ丘遊園にかけての古い町並みは壊滅した
そんな荒廃を極めた町の路地裏の更地の奥に、ポツリと平屋建ての木造住宅が残されていたが、次に訪れる頃にはなくなっているだろう
ところで古着禁止令、およびラーメン自粛令が発動しているため、わりと頻繁に書いていたこのシリーズも久しぶりである
とくに、せっかく体重を4キロ落としたのに、リバウンドにより1キロほど揺り戻してしまった体重は油断すると増加する危険度が高く、したがって外食は最小限に抑えているため、大好物のラーメンは週に一度に制限している
そんなある日、乗り換えのため登戸駅を利用したので、ついでにブックオフの向ヶ丘遊園店を覗いたあと、向かい側にあるラーメン屋に入ろうと思ったら、なんと定休日!
「マジかよ、ファッキン!」せっかく週に一度のラーメン解禁日なのに、またしても定休日を引く男の本領発揮である
しかし慌てることはない。目当てのラーメン屋の数軒先には、第二候補の京都風ラーメンの店があるので、粛々とその店に移動する
どこが京都風なのか、いまいち不明だがここのラーメンの背脂入りのやつは、アッサリしたスープに背脂がコクを加えかなり食わせるのだ
あっ、そういえば店のこの格子を使ったデザインは京都風だな……などと思いながら店内へ入ると開店したばかりなのか客は僕ひとり
この店はやっぱり背脂入りだよな。……と、メニューを見ると「えっ、ちょっと待て。メニューにつけ麺しか出てないんだけど」
格子を使った渋い店構えは、そのままなのに、ラーメン屋からつけ麺屋に業態を変えたのか? もしかして新たな店が居抜きで借りて内装とかそのままなの?
あり得ない。この店はやめて他にしようかと思ったが、もう水も置かれてしまったし、今さら出るに出られない
でもまあ、つけ麺なら不味くて食えないということもないと思われるので、とりあえず基本的メニューを注文したが、つけ麺は麺が太いので、なかなか出てこない
そのうち何かを炙っているような焦げた臭いが漂ってきて、いっそう不安感を煽るが、ようやく着丼
うわー、自家製麺って書いてあったけど、やけに白い麺だな。まるで関西の「つるとんたん」のうどんのようだ
つけ汁には焦げ目をつけた長ネギのぶつ切りが浮いていて、先ほどの焦げ臭さは、どうやらネギを焼いていたことが判明。スープに浮いている白い粒は背脂ではなくニンニクのようで、かなりニンニク臭がする
ルックス的にはつるとんたんの麺に、武蔵野うどんのつけ汁のようだが……麺をつけ汁にくぐらせて啜ってみると
醤油が効いたつけ汁は、かなりパンチがあるが、とにかく甘くて驚く
ニンニクが効いた濃厚な醤油味のスープにべったりとした甘味は、お世辞にも麺にマッチしているとは言いがたい。それよりも、この味は以前どこかで食べたことがあるような気がする
いや、気がするではなく絶対に食べている
しかし、それはつけ麺ではなく、もっと日常的な食べ物の味のはずだ。濃厚な醤油、ニンニク風味、具材として入った肉の脂……この感覚は……
そのとき、唐突に解答が閃いた。濃厚な醤油、ニンニク風味、そして肉の風味。これは「エバラ焼き肉のタレ」で焼いた豚肉を食べたときの味わいだ!
答えが閃いたあとは、麺を口に運ぶたびに「エバっラ焼き肉のタっレ!」というCMソングが脳裏を駆け巡り、つけ麺を食べているという感覚が戻らず割りきれない想いのまま店をあとにした
居抜きのまま店が変わっているという、ほとんど詐欺じゃないの? という不測の事態により、せっかくの週イチのパラダイスがぶち壊しである
今回は不可抗力ということで、例外的にもう一度ラーメンを食べてもよいという救済措置を取ることにして、翌日向かったのは武蔵小杉駅だ
武蔵小杉駅のど真ん前には、以前から贔屓にしていた家系の武蔵家から分裂した武道家から、さらに分岐した「渡来武」の支店があるからだ
しかしこの店、開店当初は知名度もなくいつもフラッと入れたが、ここ最近はすっかり知れわたってしまったので、夕食どきは常に行列が出来ていて入れなくなってしまった
まあ、満席だったら東横線に乗って学芸大学まで移動して「渡来武」の本店に行くからいいや。と、店に向かうと珍しく行列がなかった
うーん、これこれ。やっぱり家系ラーメンだよね
ちなみに、僕の周囲の客の8割は「麺固めで」という注文をしていたが、今ではすっかり定着した「麺は固くなければならない」という、変な習慣がはじまったのは、1980年代頃、博多ラーメンがポピュラーになってからであろう
あの当時は、麺は固ければ固いほどえらい。という奇妙な流行があり、バリ固、粉落としなど、アホみたいな注文が流行した
これが、元々茹で時間の節約のため細くて固いのが前提の博多ラーメンの麺ならともかく、太い麺が固いというのは、どうにもいただけない。その後、讃岐うどんのチェーンが東京を席巻して、さらに「麺は固いほうがえらい」という志向が一般化した
だが、あえて言う。家系ラーメン、とくに酒井製麺の麺を「固め」などというのは、ドシロウトの注文である
僕が高校生の頃、白楽の六角家や横浜の本家・吉村家では「麺柔らかめ」というのが「わかってる」常連の注文であった。というのも、酒井製麺は元々うどんを製造していたので、固さを残すような茹で方ではその本領を発揮しないからだ
そんなのひのと好き好きだろ。もっともな意見だ。しかし、その好きは本当に自分で試行錯誤し導き出した解答なのか? 周囲がみなそう言っている空気に流されていないと断言できるのか?
なので僕はいつも「全部普通で」と、注文して着丼したらゆっくりと撮影などしながら、ほどよい柔らかさで食べている
ここは武蔵家系列からの分岐だけあって、ご飯は無料でつけられるが、ただでさえハイカロリーなラーメンに、さらに炭水化物をプラスするのは自殺行為なので、もちろんご飯はなしだ
ということで、不測の事態により週イチのラーメンが「2」になってしまった顛末を記した
ということで、後半は恒例のコーディネート記事を
こちらは1970~1980年代頃の裏ボアのリーのストームライダー・ランチジャケットである
ランチジャケットはウェスタン風味が強いため、コテコテのアメカジ路線でまとめるのが無難なコーディネートであろう。というかユーロ古着と合わせるには無理がある
下に着たのはエンジニアードガーメンツの分厚いパーカーで防寒性はバッチリ、さらにボトムには1960~1970年代頃のカーハートの裏がキルティングのパンツを合わせ、気温が5度くらいなら楽勝の重装備にした
ここでウェスタンブーツやワークブーツを合わせてしまうと、コテコテの上にベタベタになって恥ずかしいから、外しとしてハインリッヒディンケラッカーのbudaを合わせた
リーのストームライダーといえば、やはりGジャンタイプのこれ(101-LJ)がもっとも有名だろう
こちらは高校1年生のときにデッドストックで購入して以来、ん十年着ている所有しているデニムジャケットで、いちばん長年にわたり着ているアイテムだ。ボトムは1940年代のイギリス軍のジャングルトラウザーズを合わせた
たまたまであるが、靴はこちらもハインリッヒディンケラッカーである
こちらは2000年代初期に、まだこのファクトリーがビスポークを受け付けていた頃のビスポークで、注文主はリーダーさんという見知らぬ外国人である
ツォプナート(弁髪縫い)というチェーンステッチで底付けされたイカツイ靴は、本来ならレッド・ウィングなどのワークブーツがマストのアメカジスタイルにも似合う……
と、解釈しているのは、どうやら日本で僕だけのようで、いまだにアメカジスタイルにハインリッヒディンケラッカーを合わせているひとを見たことがない。だが、だからこそ他人と決してかぶらないという利点がある
それにしてもこの靴、履き心地がよいので、かなりヘビーローテーションで足を入れているため、もう1足欲しいけど高くてなかなか手が出ないのが難点だ
ついでに最後もデニムジャケットのスタイルを
こちらは言わずと知れたリーバイス507XX、通称セカンドである。僕は第一次ヴィンテージブームのバブルが弾けた2000年代のはじめに、バイトした金をつぎ込んで4万円ぐらいで購入したが、いまや30万円では買えない高額商品になってしまった
穿いているパンツは、上のストームライダーのコーデと同じジャングルトラウザーズだが、これも、まったく知名度がない頃に1万円ぐらいで購入したが、現在は10万円近い値段に高騰してしまい、おいそれと買えなくなったのが困りものである
あー、そこの君。悪いこと言わないから古着なんて買うのやめなさい。ホラ、何処の誰が着たのかわからないし、汚れてたり臭いがついてたり、もしかするとバイ菌で皮膚感染するかもよ。あっ、その汚れ血液じゃないの? 怖っ! だから素直にユニクロ買いなさい。ねっ、ブームなんてすぐに終わるんだし
合わせた靴はJ.M.ウェストンのゴルフ。こちらは現在のモデルではなく、いわゆる「旧ロゴ」と呼ばれている1990年代後半のものだ
現行モデルは当時より6万円も値上がりしているのに、革質が2ランクぐらい落ちていて、とてもではないが、あの値段で買おうという気にならない
本来のゴルフは、このように20年ぐらい履いてもほとんどシワの寄らない厚手なのに艶やかな革なのだ。革質の低下はウェストンにかぎらず世界的な傾向にあり、革フェチの僕が現行の靴を購入しないのは、それが大きな理由である
率直に言わせてもらうと昨今の革の品質低下はもはや絶望的なレベルで、たとえば1960年代頃のチーニー、トリッカーズなどの中堅どころの靴と現在のロブやグリーンのハイエンドを比較すると、残念ながら1960年代の中堅どころのほうが、明らかに革の品質が高い
これは1970年代頃のいわゆる二都市と言われている頃のチャーチのグラフトンであるが、革のキメ細かさはロブやグリーンより遥かに上で、ワックスなんてつけなくても爪先にはうっすら風景が映る
まあ、チャーチは当時のハイエンドだが、こんなカーフはロブのプレステージやグリーンのトップドロワーでも見たことがない
今後、これが逆転することは金輪際ないので、したがって僕はヴィンテージ靴にしか興味が向かないわけだ
†PIAS†
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