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🌿 ⑨出現した巨大アロエと解体される「おみよ」  

 

 

 

 

 

駒込駅の近くの本郷通りからはじまる谷田川を埋め立てた跡地にできた商店街「しもふり銀座」は、駒込銀座、西ヶ原銀座と名称を変えながら飛鳥山方面から伸びるゲーテの小路という通りに分断されていた

 

その先も商店街は続いているが、ここでも僕が常々唱えている「広い道路は町を分断して結果として滅ぼす」の法則どおり、寂れつつある雰囲気だった西ヶ原の商店街よりも、さらに悲惨な状況になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらが前回の記事の最後に掲載したゲーテの小路という道だが、どう見ても「小路」には見えずけっこう広い道路である。おそらく右手の細い路地がかつての古道であろう

 

この小路には見えない小路の右側には……

 

 

 

 

 

 

 

 

このような古民家が残っていたようだが、この映像を2010年に撮影したストリートビューの段階で、手前は更地にされており、この先どうなるのかは容易に想像できる

 

そして、想像どおり現在は手前の駐車場はセブンイレブンに、奥に見えているブリキ波板が渋い古民家と、その隣にある昭和中期といった雰囲気のビルは、跡形もなく取り壊されてマンションになっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

商店街の続きにすすむと、右手には昭和中期といった感じの建物と「居酒屋もりや」という平屋建ての物件があったが、こちらも地上から消え去っていた

 

その向かいには、かつて「新宿丸正」というチェーン店のスーパーがあったが、丸正が潰れマイナーなスーパーに替わっていた。この界隈では唯一、賑わいを見せる場所だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの平屋建ての商家は、軒先クレハロンテントに処方箋、薬局の文字が、かすかに残っているので薬局のようだが、プランターの鉢植えは枯れているし、どう見ても廃屋化しているように見える

 

営業してる姿を見ようと過去のストリートビューを見たが、この近辺だけデータが飛んでいて、真っ直ぐすすむことも出来ず空白になっていて役に立たなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

その先に建物の角の部分にもシャッターがある特徴的なモルタル外壁の渋い建物があり、これも7年前の散策で見たことをハッキリと覚えている物件であった……

 

が、インパクトのあった「洋品 YAMATO」と同様に、どこかしら僕の記憶との齟齬を感じる

 

 

とはいえ、建物に何らかの手が加えられて魔改造されたような様子はないし、何が記憶と違っているのかわからず過去のアーカイブから画像を引っ張り出してくると

 

 

 

 

 

 

 

 

あー、なるほど。以前の散策時にはガラス看板が残っていて、そこに「アトリエ・レインボー オーダーシャツ専門店」という文字が記されていたことがわかった

 

ところで、現在の姿を撮影した上の写真と7年前の写真を見ると大きく異なっている部分があるのがおわかりだろうか?

 

 

よく見ると7年前の写真では建物の横の部分に、いろいろな植物が植えられていたが、現在はそれがないため、えらくスッキリしてしまっているのだ

 

しかし、スッキリさせたおかげで7年前には植栽に埋もれて姿が隠れていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

不気味に巨大化したアロエが、こちらに襲いかかるかのような勢いでトグロを巻いているのがハッキリと写っていた

 

よく見ると7年前の写真にもこの巨大アロエは写っているのだが、植栽に埋もれて姿がよく見えなかったものが植栽を整理することによって、ことさら目立ってしまったようである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の植栽もわずかに残されていたが、アロエが目立ちすぎて、あるのかどうかわからない細やかな数に減っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

これが7年前に撮影した同じ場所である。真ん中のモジャモジャした植栽の後ろ側に、アロエの葉っぱが突き出ていることが確認できる

 

個人的には、妙にスッキリしてしまった現在の様子よりもなんとなく雑然としている7年前の姿のほうが好きだ

 

 

という、どうでもいい話はともかく、この「アトリエ・レインボー」の隣にあった建物が、いぶし銀の渋みを放っていて、思わず目が釘付けになってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここだけ見ると台東区小島か墨田区京島のような下町的な風景。僕の大好物である

 

 

思えばこうした風景にどうしようもなく惹かれてしまうのは、子どもの頃しょっちゅう訪れていた飾り職人をしていた祖父の仕事場兼住居と同じ匂いを感じるからであろう

 

余談だが、あまり見たくはなかったけれど、たまたま近くを通りかかることがあったので、かつて祖父の仕事場があった場所を見に行ってみたが、記憶に残る建物はひとつもなく、マンションが並んでいるだけの無機質で無個性なツマラナイ町並みがあるだけであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

などと、いささか感傷的な気分になっていたら、今まさに古い建物が取り壊されている現場に出くわしてしまった

 

どうも僕はこういった場面に偶然出くわしてしまうことが多く、埼玉県の杉戸宿の面影を撮影しようと東武動物公園まで行ったときも、目当てのひとつの出桁造り商家が、無惨に取り壊されている最中であった

 

 

ちなみに、この「味処 おみよ」がどのような店なのか、過去のビューを見ようとしたら、何故か2010年と2013の映像しかなく、その時点では廃業した居酒屋が写っているだけで、まだ「味処 おみよ」は存在していなかった

 

つまり、この店はストリートビューが空白になっている期間にのみ存在した幻のような存在だったのだ

 

 

そして、この存在自体が幻のような「味処 おみよ」の解体は、商店街が滅びようとしている姿を示す序曲にすぎなかったのである

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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