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🌼 ⑦更地と住宅に上書きされる商店街の町並み 

 

 

 

 

 

 

谷田川(藍染川)は、駒込駅からほど近い場所で本郷通りを横切っており、その場所に架かっていた橋が「霜降橋」である

 

暴れ川だった谷田川を埋め立てた跡地に出来たのが「しもふり銀座」商店街だ。しもふり銀座は車が入れないような狭い商店街としてはじまり途中から道幅が3倍ぐらいに拡がる

 

 

しばらくゆくと商店街の名称が「染井銀座」に変わるが、同じ道筋なので街灯にある看板をよく観察しなければ、どこで商店街の名前が変わったのかよくわからない

 

染井銀座に変わったあたりには、コンビニやスーパーなどがあり、そのあたりも買い物客の多い賑やかな場所であったが……

 

 

前回の記事の最後で紹介したあたりから、廃業してしまった店舗や更地、そして商店街には似つかわしくない真新しい建て売り住宅などの比率が高まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その先の交差点のあたりには店舗がけっこう固まっていた

 

ここでも洋品店は強いようで「モードミック」という店が現役で営業していたが、その向かい側にある「足立屋」という店は……

 

 

 

 

 

 

 

 

廃業してしまっているのか、あるいは定休日なのか判断がつかないような佇まいだったので、恒例になった過去のストリートビューでたしかめて見ると……

 

どうやら撮影しているのが早朝などの変な時間帯が多く、シャッターが半分開いた場面ばかり写っていて判然としなかった

 

 

しかし、2014年の映像で建物の横から見るとシャッターは半開きでも、窓のなかに白衣を着て何やら作業をしている人物が写っていたので、その頃までは営業していたようだ

 

しかし、どのような業態なのかを示すヒントがなく「足立屋」という屋号以外、何屋なのかサッパリわからなかった

 

 

ひとつ気になったのは、この「足立屋」の看板建築と建物が繋がっているように見える隣の建物であろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように横から見ると「足立屋」には、飲食店としか思えない大きな煙突状のものがあるので、僕は和菓子屋だったのではないかと推理した

 

そして、棟続きになっている隣の建物にも……

 

 

 

 

 

 

 

 

煙突のようなものと、ショーウィンドウをベニヤ板でふさいだような痕跡が認められることから、こちらも飲食店だったのだろうか?

 

かつての入り口の前には、廃業した商家や廃屋でよく見かける放置されて、傍若無人に繁茂したアロエという、定番化しているアイテムが置かれていた

 

 

と、思ってよく見るとアロエでなく何か別の植物のようだが、この手のやつは花でも咲いていないと何の種類なのかサッパリわからなくて困る

 

唯一、彼岸花だけは花の咲く場所に、開花の季節まではニラの出来損ないのような細い葉っぱが群生しているので、それとわかるが

 

 

という、どうでもいい話はともかく、こちらには「足立屋」のように屋号などを記した看板などは一切なく、困ったときの過去のビューを見てみると

 

 

 

 

 

 

 

 

もっとも古い2010年の映像にだけ緑色の軒先クレハロンテントが認められるが、肝心の店の前を通過する映像がここで切り替わってしまうため、屋号を確認できなかった

 

しかし、この雰囲気からして飲食店のように見えるが、そう見せかけてクリーニング店なんてオチがあるかもしれないけれど……

 

 

しかし、ここでついに恐れていた事態がついに浮上しはじめる

 

「モードミック」と「足立屋」の向かい合う十字路に立ち商店街の道筋にカメラを向けると、冒頭で感じた“嫌な予感”が、いよいよ現実のものとなってしまったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

廃業して住居仕様に改装された看板建築の周囲は、ほとんど更地にされており、焼け焦げていないだけで、まるで東京大空襲のあとの下町のような荒廃した風景が拡がっていた

 

上の写真の右手の看板建築の隣には、以前の散策でけっこう気に入っていた物件があったのに、そんな建物はどこにも存在しておらず駐車場という名目の更地があるだけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

以前訪れたときには、交差点の向かい側に看板建築の花屋があり、大きく「フジカラー キタザワカメラ」と記された古い看板が残っていた

 

おそらくこれは、かつてここにあった「フジカラー キタザワカメラ」という店が廃業した後、とくに改装もせずに花屋が居抜きで借りていたのだろう

 

 

奇しくもこれは、下北沢一番街にある「フジカラー 北沢フォトサービス」が、看板もそのまま残してカレー屋にリノベーションされているのと屋号まで一致していて興味深いが、いずれにせよこの建物は永遠に地上から失われてしまった

 

 

こちらの「フジカラー キタザワカメラ」をよく観察すると、ファサードの上部に「さくらカラー」「コニカ」など、デジタル化により消滅したブランドの日焼けして色褪せた看板が残っていた

 

 

ちなみに、現在のストリートビューを見ると、この建物はまだ残っているので、解体されてしまったのは、ごく最近の出来事のようだ

 

そして、住居仕様に改装された看板建築から先には、一面の更地とオレンジ色のネットが写っているが、その場所にはほんの数年前までは

 

 

 

 

 

 

 

 

いかにも下町的な戦後型看板建築が連なる、こんな町並みが続いていたが、今は何もかも取り壊されて跡形もなく更地にされていた

 

 

このように、それまで続いてきた歴史に対する謙虚な気持ちや尊敬の念などは欠片もなく、将来の展望など知ったことではない。ただ今だけ儲かればよい……

 

とばかりに、ファッキンなマンションでも建てるのだろうか。それが発展だと言うのなら、そんなものはクソクラエだ🖕🖕🖕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのすぐ並びにあった前回の散策で強く印象に残っていた「清水製麺所」という店は、どうやら現役で残っていて胸を撫でおろす

 

おそらく製麺所という業種からして、ラーメン屋、中華料理屋に卸したりするので、来客に頼らなくともやってゆけるのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その隣にある「日山蒲鉾店」という看板建築は、前回の散策のときにはすでに廃業してしまっている雰囲気で、それは今回も変わっていなかった

 

さらにその隣にある鶴のイラストが印象的な「総本店 つるや」という店は、シャッターがほとんど開いているので、廃業したのではなく定休日のようだ

 

 

じつは、この「総本店 つるや」も撮影したかった物件であったが、今回は徹底的にツイてないらしく、インパクトのある営業している風景をお見せできないのが残念である

 

しかたがないので、7年前に取材したとき撮影した写真を再掲しておく

 

 

 

 

 

 

 

 

ご覧のとおり「総本店 つるや」は、極めて珍しい和太鼓の専門店なのだ

 

楽器を売る店は日本全国どこにでもあるだろうが、このように和太鼓が積まれた光景というのは、ザラには見ることができないだろう

 

 

ちなみに、今回、あまりにも更地や建て替えが多く「この町はいったいどうなってしまったのだ」と、過去のビューを何度も見ていたら「清水製麺所」の隣にある「日山蒲鉾店」の意外な変転がわかった

 

 

 

 

 

 


 

上に貼ったキャプチャ画像をよく見てほしい。看板建築のファサードには、たしかに「日山蒲鉾店」とでかでかと記されているが……

 

肝心の売り場は、どう見ても惣菜店のもので、よく観察してみると煤けた軒先クレハロンテントには「㈲ アサカフーズ」と記されている

 

 

ということは、ずいぶん以前に「日山蒲鉾店」は廃業してしまい、その場所を「㈲ アサカフーズ」という惣菜店が借りて居抜きで開業したが、改装する費用を惜しんだのか「日山蒲鉾店」という文字を撤去する手間を惜しんだ……

 

という経緯がなんとなく見えてきて興味深いが、今となっては、その「㈲ アサカフーズ」も廃業してしまったというわけだ

 

 

しかし、これも深読みすると「日山蒲鉾店」というのは、あくまでも業態を示すための正式な会社名で、店舗販売のほうは「㈲ アサカフーズ」という違う屋号を使っていた可能性も捨てきれない

 

 

と、最後は結論の出ない、いささかマニアックなネタになってしまったが、散策はまだまだこれからだ。なんてといってもこの商店街は、2キロ以上にわたって続いているのだから

 

しかし一度立ち込めた暗雲が、さらに重くのし掛かってくるなどとは、このときの僕は思ってもみなかったのである

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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