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🍣 ③定休日の商店街と緋鯉が泳ぐ廃業寿司屋
この界隈は何度も散策しているので「しもふり銀座」にも何回もニアミスしていたが、通りに足を踏み入れたのはじつに6年ぶりのことだ
前回の訪問のときは真夏の暑い日であったが、まだ夕食の買い物には早い時間なのにも関わらず商店街は、相当な賑わいを見せていた
今回の訪問でも寂れた印象は、まったくなかったけれど冒頭からいきなり目当ての精肉店が定休日だったこともあり、なんとなく嫌な予感がしたが、その予感は現実のものとなり……
現役なのに閉まっている店が多く「半分ぐらいの店は定休日なのでは?」という状況で、定休日を引く男の本領を早くも発揮してしまった
とはいえ、ポジティブに考えると「半分の店は開いている」とも捉えることができるから、むしろ「人物が画面から捌けるまで待たなくとも建物が撮影できてラッキー」と、無理やり思い込むことにした
店先のディスプレイを見ただけで、どこかノスタルジーを感じさせる日用雑貨の店があった
建物はモルタル外壁の典型的な戦後型看板建築であるが、三階建てというところが珍しく建物全体の写真を撮影したかった
ところが商店街の道幅が狭すぎて、このとき使用していたRICOHのGRの28mmでは画面に収まりきらず、こりゃあ15mmのウルトラワイドヘリアーじゃないと無理だわ。と、諦めた
日用雑貨屋のすぐ先に、再び商店街のアーチがありイメージキャラクターの「しーちゃん」が真ん中に
アーチの下には、この商店街でいちばんレトロな雰囲気を漂わせる、破風付き玄関を備えた廃業してしまったものと思われる「瀧乃寿し」がある
シリーズの冒頭で記したように、この界隈は米軍の空襲により焼けているので戦後の建物なのは間違いないが、やはりこのような伝統建築の店があるのとないのとでは、商店街の雰囲気が変わってくる
戦後の建物とはいえ木製の高欄はちゃんと残っているし、いい感じに植栽が配置されているので、落ち着きのある佇まいだ
ショーケースが塞がれているから廃業していることは確実だと思われるが、荒れた気配は微塵もなく住居としては現役を保っているようだ
この物件で、もっとも目を惹いたのは……
店舗の入り口横に土地の形状に合わせた防火水槽のようなものが設えられており、水面にはホテイアオイが浮かび鮮やかな緋鯉が泳いでいたことだろう
前回の散策は前述したように真夏のことであったが、この水槽を見たとき「涼」を感じた。なんとも和む景色である
廃業したものと思われる寿司屋の向かいには「パリーシューズ」という靴屋があった。「パリ」ではなく「パリー」なあたりに、昭和の匂いを感じるが、やはり戦後、商店街組織が出来た直後の創業のようだ
こういった老舗には、常に後継者問題がつきまとうが、調べてみると「パリーシューズ」は、三代目のご子息がコム・デ・ギャルソンを辞めて跡を継いだそうで、是非ともエールを送りたい
もっとも読者諸賢ならぱご存知のように、僕は重度の靴ヲタでヴィンテージの英国靴以外にはほとんど興味がないので、買い物はできないから、あくまでも送るのはエールだけだが……
それにしても、前回の散策では買い物客が多数立ち寄っていた八百屋の前にもあまりひとがおらず、やはりこの日は商店街が定休日のため客数が少ないことは明らかであった
この写真を見ただけだと寂れた商店街と思われてしまうので誤解のないように、商店街の定休日ではないときに撮影した写真を貼ってみると
こんな風に活気のある町だということがわかるだろう
残念ながら今回は商店街自体が定休日のようで商店街の現況を伝える写真は披露できないが、並んでいる建物の様子は伝えることが出来るだろうと、考えていたのだが……
なかなかそうは問屋が卸してくれないことを、思い知ることになるのである
続く
†PIAS†
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