🏡🏡🐢🏡🏡🏡🏡🏡🏡🏡🏡

 

 

 

 

 

 

 

🐢 ⑦木造平屋建ての亀時間と材木座公会堂 

 

 

 

 

 

鶴岡八幡宮の東からはじまる小町大路をひたすら南下するのが今回の散策の趣旨である

 

途中、旧車大路や清水湯に寄り道したが、ひたすら真っ直ぐ歩くというのは、奇しくも鎌倉の町に興味を抱くきっかけとなった、最初に歩いた北鎌倉の散策と同じパターンになったわけだ

 

 

小町大路は、鎌倉に幕府があった頃からの東側のメインストリートで、大町四ツ角交差点のあたりが、その頃の鎌倉の中心街であった

 

千年近い月日が流れその頃から続くものは神社仏閣だけになってしまったが、ほとんど消滅してしまった車大路とは異なり、大町四ッ角のあたりは現在も商店街として町並みを形成していた

 

 

道は湘南新宿ラインの踏切を越えると再び住宅街のようになってしまうが、寄り道した清水湯のあたりから、再び商店街の雰囲気に変わった

 

ところが、そのあたりは飲食店以外は廃業してしまっている店が多く、薬局と洋品店が残っていたぐらいで、商店街とは言いがたいほど衰退していた

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の記事の最後に掲載したこちらの平入切妻の出桁造りの建物……

 

現在は周囲に塀が建て回され完全に住居仕様にされているが、果たしてこんな形態の住居ってあるのか? いや、ない。あったらかなり変わった趣味の持ち主が建てたとしか思えない

 

 

おそらくこの建物は、戦前には商家として営業していたが商売をやめて(それもかなり古い時期に)建物を通り沿いからセットバックしてスペースを作り、店舗部分を潰したものではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん、わからん。でも怪しい。横から見たシルエットなどは、東京や武州にある出桁造り商家そのもので、やはりどう見ても最初から住居として造ったとは思えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

いずれにせよ、この通りが古くから栄えていたという“あかし”にはなるが、こうした古い建物は次々と取り壊されているという現状を見ると、この小町大路から昔の面影が消え去るのは、あまり遠い未来の話ではないかもしれない

 

 

などと、町の行く末に想いを馳せるが、そんな気持ちを逆撫でするように、大して広い道でもないのに、次々と車がやって来て鬱陶しかった

 

2トントラックがやって来たので、道端に身を避けてやりすごそうとすると、目の前にこんな建物が姿をあらわした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おおっ、これは渋い。大町四ッ角付近で発見した「石川屋酒店」とそっくりな商家である

 

こちらの物件は酒屋とは異なり開口部が少なく正面は、ほとんど格子になっており、ショーケースのような窓が両側についているが、そこには何もディスプレイされていなかった

 

 

格子の上には屋号を記した看板が出ているが、崩し字の上に墨が落ちてしまっていて、何が書いてあるのか判読不能になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

建物は隅々まできれいに手入れされているので住居としては現役のようだが、この様子だと商売はとっくに廃業してしまっているようだ

 

 

ここで例によって過去のストリートビューを見るとどうやら「金物屋」だったことが判明したが、普通、金物屋といえば店先に雑然と商品が並び、なんとなく無骨なイメージがある

 

ところがこの物件は、雑然どころか高価な骨董や美術館を扱う店のような佇まいで、とうにも金物屋のイメージとは合致しなかったが、金物に高級品なんてあるのか?

(大工道具なら千代鶴是秀を筆頭に、いくらでもありそうだけど……)

 

 

 

 

 

 

 

 

その向かいには「勘」とだけ記された謎の建物があった

 

後方には妻入の主屋らしき屋根が見えているので、おそらくこのガレージにされている部分には、以前は店があったはずなのだが、完全にガランドウにされてしまっており、何のヒントも見当たらなかった

 

過去のビューを見ても2010年の段階で、すでにガランドウにされていて正体不明の物件だ

 

 

が、帰宅後にビューを見ていたら、この「勘」の隣の土地、といっても道路からかなり引っ込んだ場所に、登録有形文化財があることか判明して「えっ、そんな立派なものあったっけ?」と、驚いた

 

 

 

 

 

 

 

 

これがストリートビューからキャプチャした大正時代に建造された、その有形文化財の「材木座公会堂」なのだが、たしかに僕はこの建物を目にしている

 

ところがむくり屋根の破風付き玄関以外は、アルミサッシやスレート葺き風の屋根など、すべて新建材にされていて、とくに魅力は感じずチラッと見ただけでスルーしていた

 

 

こうしてあらためてビューからキャプチャした画像を見ても、玄関だけ凝った造りの最近開店した寿司屋(現地では小料理屋か寿司屋だろうと思っていた)のようで、やはり破風着き玄関以外に見所はまったくなく、これではせっかくの有形文化財も台無しである

 

せっかくの有形文化財なので、もう少し往時の姿を再現してもよいのではないかと思わざるを得ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他にもこのような明らかに廃業しているものと考えられる戦後型看板建築もあったが、飲食店以外に残っている店はなく、やはり商店街としては「すでに終わった」状態と見て間違いないだろう

 

埼玉県の宿場町のような郊外ではなく都心に近い比較的人口密度の高い歴史のある町ですら、商店街はこの体たらくなのだから、いつも僕が散策している埼玉や千葉の場末の町の商店街が滅びているのも宜なるかな、である

 

 

 

 

 

 

 

 

などと、ちょっとブルーな気分になっていたら、九品寺のバス停のところに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立派な破風付き玄関を備えた厨子二階建ての見事な古民家があった

 

こちらも心なしか房総スタイルを想起させるが、それよりも気になったのは、入り口の左側に看板が出ていることだ。ということは古民家リノベーションのカフェだろうか?

 

 

そう考えながら看板の文字を読むと「亀時間」とある。なんじゃそりゃ。と、さっそくググってみると……

 

どうやら古民家をリノベーションした宿泊施設で、土曜日はカフェとしても営業しているようだ。ヘンテコな屋号は、おそらく「亀のようにゆっくり過ごしてほしい」という意味合いであろう

 

 

 

 

 

 

 

 

そして「亀時間」の隣の看板建築の前にある交差点から先が、phase2において夕暮れ風景の反響の大きかった材木座の町の核心部になる

 

前回のシリーズでは夕暮れ時のため雰囲気だけで建物の詳細は、真っ黒につぶれていたが、いよいよその詳細が明らかになる。そして、ここからが今回のシリーズのクライマックスだ!

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

🏡🏡🏡🏡🏡🏡🏡🏡🐢🏡🏡