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🍣 ⑥暮れゆく材木座の町並みのノスタルジア 

 

 

 

 

 

僕の散策は基本的に、あまり下調べなどせず現地におもむき“行き当たりばったり”の無計画、気の向くままというパターンが多い

 

今回の場合は、とくにテキトーさが際立ち鎌倉駅から材木座に向かって、材木座の海岸近くに残る古い町並みを見よう……という、なんとなく決めていた予定は「貝殻堂」という物件に出合ってしまったため消し飛び正反対の内陸部に向かってしまった

 

 

だがそのおかげで、まったく知らなかった出桁造り商家などが残る古い商店街の痕跡を、怪我の巧妙で見つけることができた

 

そこから湘南新宿ラインの線路を越えると、材木座の次に訪れる予定だった大町に出たので、そのまま大町を散策して鎌倉駅に戻った

 

 

ちなみに、正反対の方角に向かった時点で、材木座の古い町並みのことなどは、きれいさっぱり頭から消え失せてしまい「しまった。海沿いの古い町並みを見るのを忘れていた!」

 

と、思い出したのは、大町の散策をあらかた終えて鎌倉駅に戻る途中であった

 

 

ここが千葉や埼玉であったなら、そのまま散策を諦めて柏とか大宮に出て古着屋でも回るところだが、ここは場末町ではなく神奈川県の、しかも全国区の観光地である鎌倉である

 

ということは、材木座までワープする手段が必ずあるはずだ

 

そこで、Googleマップを開いて材木座に最寄りのバス停をタップすると、たちまち鎌倉駅から逗子方面に向かうバスが、十数分後に発車することがわかり慌てて駅に向かい出発寸前のバスに飛び乗った

 

 

--というのが前回までの経緯だ。ところが材木座に到着したときには

 

 

 

 

 

 

 

 

無情にも釣瓶落としの冬の太陽は、海の彼方に沈もうかという瞬間であったオーマイガッ!

 

ところがどっこい、こんな事態は想定済みでカバンのなかから、リーサルウェポンのRICOHのGRを取り出し粛々と取材を続けた……が、ここで想定外の事態が2つ起こってしまった

 

 

ひとつはGRをお蔵入りにした理由であるレンズのコーティングが剥げていることによるハレーション。そして2つめの想定外は、長い間GRを使用していなかったことによる腕前の低下である

 

カメラというものは、より多くの光を取り込むため暗い場所では、シャッター速度を遅くする。つまりより多い時間レンズを解放しなければならない

 

 

もちろん、以前使っていたSONYのRX 100のようなハイテク機ならば、ISO感度を128000などフィルム時代ならあり得ない設定にして、何事もなかったかのように撮影できる。しかし、このGRはもう15年近く昔の古いカメラなのだ

 

ハイテクが備わっていない以上、スローシャッターは腕前で対処する以外の方策がない。ちなみに、このときの忸怩たる思いが12月31日に、谷根千の取材でスローシャッターに対する訓練を行った動機になっているが、腕前は鈍ったままである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着すると幸いなことに半分以上の店はまだ営業中であった。平屋建ての出桁造りの「進藤商店」という酒屋があったので、ここぞとばかりにシャッターを切った

 

しかし、コーティングが剥げているため、明るい部分と暗い部分の写りに落差があり、しかも剥げ方がヒドイ右側の照明部分は、光が流れたように滲んでいる

 

 

さらに剥げにより画面のコントラストも弱くなっているので、これはもうオールドレンズと古いカメラで撮影しているような前提で撮影するしかあるまい

 

ただひとつ良かったのは、限りなくシャープなGR本来の写りではなく、なんとなくノスタルジーを感じさせる絵になることで、これも一種の怪我の巧妙と開き直った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海沿いの商店街は賑わっているわけではないが、地元の住民が買い物をしていたり、犬の散歩や学校帰りの女子中学生が重そうなカバンを抱えて通りすぎたりしてゆく

 

観光客などひとりも歩いていない素顔の鎌倉の町の姿である

 

 

そんな光景がなんとも言えない風情を醸しだし、胸を締め付けるような激しいノスタルジーが押し寄せ「ああ、今日この時間に、この場所に来てよかった」と、心の底から感動する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

材木座の商店街は、海の寸前で曲尺手のように直角に曲がっており、その先は緩い坂道が国道134号線をくぐり砂浜まで続いている

 

曲尺手の外側の角の手前には立派な土蔵が残っているが、その向かい側、つまり曲尺手の内側には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔どこかで見たような懐かしい雰囲気の魚屋が明かりを灯していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲尺手を道沿いに曲がらず、そのまま真っ直ぐすすむとそこはもう材木座海岸である

 

正面に見える国道134号線の下には午前中に激しく降った雨が残したのか、砂浜の外れにある水溜まりが、夕陽を反射して白く光っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、曲尺手を逗子方面に曲がったところには、またしても戦前物件の平屋建ての出桁造りの酒屋があった

 

ということは、さほど繁盛しているわけではないこの戦前から続く商店街には、八百屋と酒屋がどちらも2軒残っていることになる

 

 

ということで、次回もこの素晴らしい材木座海岸の商店街を紹介する

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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