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🍜 《年間ベストショット2023年》7月・高円寺・下北沢 

 

 

下北沢

 

 

 

 

世間では明けましておめでとう……という言葉が乱舞している頃合いだと思われるが、これを編集しているのは12月30日の夜なので明けてもいないし、とくにめでたくもないので、そういった虚礼は無視する

 

というか、仮に今が元旦だったとしても僕は出勤しているので、まったくめでたくない

 

 

という新年の挨拶になっていない挨拶はともかく……

 

 

観光客とお洒落な人種が集まる町、下北沢と高円寺は古着屋の集まる町でもあり、数で言うなら下北沢、レベルで言うなら高円寺が世界最高と断言しても過言ではあるまい

 

僕も古着禁止令が出るまではほぼ確実に週2回から3回は通っていた

 

ところが何も買う予定がなかった古着フェスで、海外のディーラーも売ってくれない何年も探していたカナダ軍の幻の逸品X-51を購入してしまったので、もはや逆さにしても鼻血も出ない状況なので古着どころではない

 

誰か明日の夕食おごってくれないかしらん

 

 

 

話を戻す

 

だが、そのふたつの町が都内の繁華街では例外的に古民家が多いことはあまり知られていない。どちらの町も建造されて百年は経とうかという古民家が、普通に店舗として使用されているのに話題にもならない

 

よく築80年の住宅を古民家カフェに……なんてフレーズを目にするが、このふたつの町ではその程度の古民家は普通に現役なので、ことさら売りにしているのを見たことがない

 

 

タイトルバックの写真は下北沢の一番街商店街を撮影したものだが、お洒落な女性が闊歩する背景に見えているクリーニング店、反対側のアングルから見ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらく建造されてから軽く90年は経過しているであろう出桁造り商家を看板建築に改装したものだとわかる

 

 

 

 

 

 

 

 

その並びには灰色の脳細胞、名探偵エルキュール・ポワロが描かれた古い看板建築が。こちらは十年ぐらい前から放置されたままになっている

 

 

 

 

 

 

 

 

下北沢一番街は世田谷区でもっとも看板建築が残っている商店街で、昔ながらの商店と洒落た店に改装された店がよい塩梅で混在しており、独特の魅力を放っている

 

この建物の近くにある銭湯を居抜きで改装した古着屋の隣にも出桁造りの薬局があったが、取り壊されて更地のまま放置されている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フシカラーの文字が記された「北沢フォトスタジオ」は、店舗の外観をまったくいじらず、そのまま残しているが中身はスパイスカレーの店に変わっている

 

一番街には十字型看板建築が多数見られたことから、もしかしたら祐天寺の看板建築を建てていたのと同じ棟梁の仕事かもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下北沢の繁華街のど真ん中で異彩を放つ「北沢ビル」

 

おそらく昭和30年代初期の建物だと思われるが、各テナントが好き放題に飾りつけているので、古くて平凡なビルからエキセントリックな印象に激変している

 

このカオス的なエネルギーは、まるで東南アジアのスラムの一角のようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつての小田急線踏切の脇にあったもじゃ看板建築は、飲み屋のテナントでほとんど埋まっている

 

その踏切の先にあるのが町中華の名店、甲本ヒロトがバイトしていた「珉亭」で、ピンク色のチャーハンで知られている。最後に食べたのは学生時代なので、どんな味だったかまったく覚えていないが……

 

 

 

 

 

 

池ノ上

 

 

 

 

 

 

歩いて10分程度の隣駅池ノ上には銅板葺き看板建築が残っている。少し前まではモルタル外壁の戦前型看板建築も残っていたが、ビルに建て替えられてしまった

 

商店街には奇跡的に戦前の町並みが残っていたが、手前の2棟が取り壊されてしまい、どうでもいいマンションにされてしまった

 

 

この斜め向かい側にも戦前型の入母屋屋根の渋い鮮魚店があったが、いつの間にか取り壊されていて虚しい気分を味わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下北沢一番街商店街と交差している鎌倉街道を越えて代田方面に向かうと、わずかながらに古い建物が残っている

 

十数年前までは、もう少しまとまって残っていたのたが住宅街に次第に上書きされつつあるのは、世田谷区というロケーションを考えれば致し方あるまい

 

 

 

 

 

 

東北沢

 

 

 

 

 

下北沢のひとつ新宿寄り、東北沢の駅前通り商店街には、出桁造り商家や看板建築など貴重な古民家が残っていたが、都道420号線の無意味な拡幅工事によって跡形もなく消し去られようとしている

 

 

このような無意味どころか将来にわたり害悪しか与えない暴力以外の何物でもない土木工事は、諫早湾の干拓や長良川の河口堰で、もはやお馴染みの土木偏重日本政治のお家芸と化してしまった

 

それにしても、こんな愚策を繰り返し金持ちだけ得をするような増税を連発するような保守政党に、他に投票したい党がないからと投票する、思考停止した自主的奴隷ばかりの国に、明るい未来など金輪際やってこないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの「傘 履物 村田屋」も都道拡幅工事の予定地にあるので、いずれ消え去ってしまうであろう

 

 

 

 

 

高円寺

 

 

 

 

 

中央線カルチャーの中心地として知られる高円寺は西部古書会館もあり、かつては古書店の町であったが、現在は古着屋の集まる町として知られている

 

また銅板葺き看板建築をはじめとして多くの戦前物件が残っていることで、古民家や昭和レトロマニアのあいだでは、知らぬ者とてないほど良質な物件が残る町として認識されている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは繁華街の南口や純情通り商店街とは外れた方角にある「あずま通り商店街」である

 

こちらに戦前物件は残っていないが、そのかわり昭和レトロな雰囲気は存分に感じることができる

 

 

 

 

 

 

 

 

昔ながらの雰囲気を濃厚に残した「魚政」の風情が素晴らしい

 

僕が子どもの頃は、どの町にもこんな魚屋が1軒や2軒必ずあったが、徐々にその姿を減らしており、近い将来絶滅危惧種になること間違いないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あずま通りから早稲田通りに出る

 

この通りも戦前から続いており、戦前物件の看板建築などが残っているが、いかんせん都内の主要道路のひとつなので、例によって年々その数を減らしている

 

 

 

 

 

 

 

 

そのなかでも白眉といってよいのが昭和初期頃の建造だと思われる、現役の木造二階建て下見板張りの洋館の医院建築だ

 

 

こちらはとくに文化財などに指定されていないのが不思議なぐらい見事な洋館である

 

このすぐ横の細い道も、もういい加減にしてほしい無意味な道路拡幅工事により町並みが消し去られようとしているが、この建物はギリギリその区画から外れたようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

都内の幹線道路のひとつなので早稲田通りは、かなりビルなど新しい建物に建て替えられてしまっており、高円寺もその例外ではないが、阿佐ヶ谷寄りには、このような立派な出桁造り商家も残っている

 

この付近にもいくつかの見るべき看板建築などが建っていたが、久しぶりに歩いてみたら、ほとんどが跡形もなく取り壊されて反吐が出るようなマンションにされていた

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは早稲田通り沿いで発見した1970年代のまま冷凍保存されているような見事にレトロなコインランドリー

 

当時を舞台にした映画のセットとして、そのまま使用できそうな見事な古臭さで、よくぞ残っていたと感心してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは庚申商店街のもじゃ廃ビル

 

この商店街は純情通り商店街の続きなので常に賑わっているが、この建物とその並びだけ何故か廃業したまま放置されており、おそらく持ち主不明物件だと思われる

 

 

 

 

 

 

 

 

阿佐ヶ谷方面に続く中通商店街も飲食店で賑わっているが、しばらくすすむと戦前物件の平屋建て商家をアーナーキーに改装した「キタコレビル」がある

 

ビルでもなんでもなく戦前に造られたバラック的な木造古民家を堂々とビルと名乗るあたりに何かしら心意気を感じさせる

 

 

入っているテナントのほとんどは古着屋などのアパレル関係で、借りるとき所有者から、どうせ壊れる寸前の古い建物だから好きに改装してよい。との許可を得て、このような外観に進化したようだ。その意気やよし!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キタコレビル」の少し先にも出桁造りの四軒長屋が残っている

 

以前は右端に美容室が入っていたが、いつの間にか「まちのほんだな」と記された看板が出ていたので廃業してしまったようだ

 

 

以前は通りの向かい側にも出桁造りの中華料理屋があったが、つまらないマンションにされてしまった

 

ということで、高円寺はこの月には収まらず次回に続くが、そこから高円寺に隣接した中野区大和町を抜けて西武池袋線の野方を紹介する

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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