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🌼 ⑤土蔵造り+厨子二階建てと八百辰の行方 

 

 

 

 

 

県道413号線から日赤病院の前で旧津久井道に入った当初は、商家が疎らに並ぶだけであったが、津久井警察署を過ぎたあたりから、本格的な商店街の様相に変化した

 

かつては津久井郡でもっとも賑わっていた商店街だが、日曜日ということもあり、営業している店舗はほとんど見当たらなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい住宅や建物を取り壊した更地こそ目立っているが、雰囲気は東京近郊のどこにでもありそうな商店街そのもので、この家並みのすぐ左手には山並みが続き、右手約百メートルほどのところに津久井湖があるとは、とても思えない風景である

 

この脇を通る県道413号線や、ひとつ向こうの山筋にある宮ケ瀬湖のあたりは何度も車で通ったことがあるのに、わざわざ旧道に曲がることはなく、こんな商店街があったとは露知らなかった

 

 

きれいに整えられた生け垣を備えた屋敷の隣に、大きな看板建築が見えてきたが、この店もやはりシャッターが閉ざされていた

 

 

 

 

 

 

 

 

建物は戦後型の看板建築だが、屋号はどこにも記されておらず、この店も廃業してしまっているのか……と、思ったが、よく見ると「ALBION」という文字が記された袖看板が出ていた

 

 

アルビオン……どこかで耳にしたことがある単語なのだが、それが何を表しているのか思い出せない

 

「うーん、何の商標だったけなあ」考えてみたが一向に思い出せな い。やむを得ずまたしてもGoogleのストリートビューを利用するカンニング行為におよぶと

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬にして解答が得られた。この佇まいはどう見ても化粧品店である。マップにも「コマツヤ化粧品店」とあるので、こちらは現役で営業していることがわかった

 

それにしても、ここまで来るあいだに、かなりの数の店舗を目にしたが、現役を続けている商家に出合ったのは4軒めぐらいか?

 

 

やはり、こういった駅に依存しない商店街が寂れてしまっているのは、もはや全国的な傾向のようで、商店街好きとしては忸怩たる思いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

その向かい側にも都内の標準より大きな看板建築があった

 

こちらもシャッターが閉ざされており、軒先のクレハロンテントは、黒い雨垂れのような汚れがこびりついていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軒先のクレハロンテントには「相久チェーン加盟店 フードストア八百辰」とある。東京の下町なら三軒長屋に相当する間口の広い建物からして、以前はかなり繁盛している八百屋だったのだろう

 

念のためGoogleマップを開いてみるが店舗名の記載はなく、やはり廃業してしまっていると思ったが、マップをよく見るとこの旧道の少し脇を通る県道沿いに「八百辰」「みやび亭 やお辰」という、2軒の店を発見した

 

 

ムムム、これはどうしたわけだ?

 

と、思って画面をビューに切り替えると「八百辰」のほうは閉まっている画像だったが、そのすぐ横にある「みやび亭 やお辰」という高級そうな和食料理屋は、現役で営業していた

 

調べてみるとこの店は寿司、割烹などの和食料理屋で料理長は道場六三郎の弟子。Googleの口コミもかなり高評価の店であった

 

 

おそらく車も通らず集客の望めない旧道は見かぎって、業態を変えて新しいバイパス沿いに移転して成功したのだろう

 

なるほど商店街が寂れているのは、そういった理由だったか。と納得

 

 

そういえば千葉県の茂原も旧市街は廃業して放置されている商家ばかりで、何軒もの店がバイパス沿いに移転していたことを思い出した

 

 

しかし、本当に注目すべき物件は、その八百辰の並びにあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うおっ、マジか! シャッターが閉まり、こちらも廃業しているようだが、驚いたことに土蔵造りの立派な商家である

 

建物はきれいに整備されているが、どの年代のストリートビューを見ても開いている映像は一切なく、こちらもやはり商売はやめてしまっているようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その隣には厨子二階建ての、これまた立派な造りの出桁造り商家が連結されていた

 

2つの建物の接している部分を見ると屋根が互い違いに配されており、2つの建物が一体化していることがわかる。つまり、土蔵造り商家と厨子二階建ての商家は同じ店のようだ

 

 

土蔵は鰻の寝床状の土地割りの後方に建てられていることがほとんどだが、こちらは土蔵ではなく店舗兼用なので、くっつけて建てられたものだと思われる

 

それにしても広い間口を持つ、これだけ立派な建物なのだから、往時はよほど繁盛していて、なおかつ繁盛をもたらす客もいたということになる

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、現状は多くの客は徒歩やバスでこの町に来るのではなく自動車を利用するため、わざわざ旧道に入っては来なくなり、ご覧のように、ひとも車もほとんど通らずゴーストタウンの様相を呈していた

 

 

そういえば、この町に入ってからどこの町にも必ずある飲食店、飲み屋のたぐいは、廃業していた讃岐うどん屋しか見ていない

 

一方、Googleマップを開くと中華料理屋、ファミレス、ドラッグストア、スーパーといった店はすべて県道沿いに集中しており(なぜか居酒屋も)、つまりこの旧道沿いの商店街は、見捨てられた状態にあると言えるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

などと悲観的になっていたら、やはり都内ではあまり見られない、やたらと間口の広い花屋というより園芸店のような「花つくい IWASAWA」という店が日曜日なのに営業していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その先、すぐ向かい側にも大きな看板建築の瀬戸物屋が店を開いていた

 

このふたつの店は飲食店やスーパーとは競合せず、独自の客を掴んでいるためこうして生き残ることができたのだろう

 

 

瀬戸物屋の並びには現役と思われる床屋と農協の大きなビルが建っていて、やはり津久井警察署の周辺が、かつての津久井郡の中心地だったことを示唆していた

 

ということで、次回も中野商店街の核心部の続きを

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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