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⛪ ⑭洋品店と教会の消えた広大な更地 

 

 

 

 

 

埼玉県の散策をしていて驚くのは、忘れ去られた町が各地にあることである

 

前回の加須もそうであったが、関東圏でも有数の面積を持つ県だけに、かつては街道の宿場町や水運の河岸として、あるいは物資が集散する市場として栄えた町が各所に点在している

 

 

ところが、交通や物流のシステムが徒歩や舟から鉄道、そして自動車に変わったことによって、繁栄は他の土地に移り緩やかに衰退し、やがてその痕跡も消滅してゆく……

 

こちらの菖蒲もその典型的な例で、他に例をあげると……物資が集散する市場として近隣の大宮や浦和より栄えていたのに、わずかな面影が残るだけの原市

 

荒川の水運で昭和初期頃までは近隣の中山道上尾宿より栄えた平方……いずれの町も今は兵どもの夢の跡といった残滓が残るだけである

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの菖蒲も2棟の銅板葺き看板建築、そしてこちらのモルタル外壁の看板建築の時計舗などが、往時の賑わいを想起させはするが、今となっては静かな商店街の一角に過ぎなくなっている

 

それでも、かつては見沼代用水の河岸があったこの通りは更地が目につくとはいえ、かろうじて商店街としての体裁が残されていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和初期頃の建造物と思われる看板建築の時計舗と更地を挟んだ隣には洋品店だったような出桁造りの廃業した商家があった

 

驚いたのは、そのすぐ斜め向かい側にも現役で営業している「レディースファッション 宮田呉服店」という店があったことであろう

 

 

 

 

 

 

 

 

ショーウィンドウを覗くといちばん目立つところには呉服ではなく洋品が飾られていることから、どちらかというと洋品店のような雰囲気であった

 

埼玉県の古くからの宿場町には洋品店がやたらと多いが、この菖蒲もその例外ではないようだ

 

 

「宮田呉服店」のすぐ先で不思議な建物を見つけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋根の造りから戦前のものではないかと思われる倉庫のような建物である

 

現在も倉庫として使用されているのかは微妙なところだが、驚いたのは建物ではなく、そこから路地裏に続く……

 

 

 

 

 

 

 

このやたらと長い板塀のほうだ

 

屋根のついた板塀は武州ではよく見かけるが、これほど長く続くからには、敷地内にはさぞやスゴい豪邸があるのではないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--と、思って最後まで見に行ったけれど、豪邸どころか敷地内には、わずかな植栽があるだけで、何にもない

 

こんな立派な板塀があるのに、文字通りなんにもない更地なのだ

 

 

果たして以前はどのような豪邸があったのか気になったので、過去のストリートビューを見てみたが

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年までは敷地内のいちばん奥のほうに、2棟の土蔵が確認できるが、やはり主屋のような建物は、どこにも見当たらなかった

 

そして、この屋敷跡と思われる物件に隣接する土地は、物凄く不自然な更地(駐車場)で、こんな無駄な土地の使い方をするのは不合理なので、以前は何らかの建物があったにちがいない

 

 

 

 

 

 

 

 

道路を挟んでさらに隣の土地も現在は広大な更地にされているが、2012年までは戦前物件ではないかと思われる立派な教会があったようだ

 

建物からして伝統ある教会だと思われるのに、それが取り壊されて跡形もないとは、この土地にいったい何が起こったのだろうか?

 

 

ネットで検索しても菖蒲の情報などほとんどなく地元を盛り上げるための記事、歴史の概要や観光スポット紹介などがヒットするだけで、町の変遷について詳しく記されたものは皆無であった

 

散策記事にいたっては自転車ツーリングで通過した記事と、軽く散策した記事のふたつがヒットするだけで、またしてもマイナースポットの検索ではお馴染みになってしまった感のある、僕のブログが上位に来る始末である

 

 

そして、この長い板塀の向かい側にも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つい最近、建物が取り壊されたような不自然な更地があった

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは思ったとおり更地にされたのはつい最近のことらしく、過去のビューを見るまでもなく、現在の映像にも渋い門構えの住宅があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、メインストリートに面した通り沿いを見ると戦前物件ではないかと思われる平屋の商家が建っていたことが判明した

 

平屋商家のウィンドウには「視力測定器完備」と記されているので眼鏡屋だったようだが、2012年から2023年の映像はまるで時間が止まったかのように、まったく同じだったので、おそらく十年以上前に廃業しているものと思われる

 

 

そういえば、路地裏に曲がるきっかけになった紅殻風の米屋も、どの時代のビューを見ても同じ映像にしか見えないほど変化がなく、現役と判断したのは誤りだったようだ

 

 

 

ということで……続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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