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🚜 ③まるで白日夢のような町外れの風景 

 

 

 

 

 

かつての菖蒲の町の範囲はおそらく僕がバスを降りた付近の十字路を中心に「┼┼」のように、二つの十字路で構成されていたものと考えられる

 

僕が現在向かっているのは「┼┼」の左側の端の方向であるが、こちらの町並みは、すでに大部分が新しい住宅に建て替えられていたり、あるいは更地にされてしまっていた

 

 

それにしても、誰ひとり通行人を見かけない。というか通る車すら見かけず無人の荒野をゆくが如し。である

 

まるでアンドロメダ病原体によって、住民が滅びてしまった町を歩いているような気分にさせられる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋根が凸凹に歪んでしまっている豪華な平屋建ての住宅があった

 

門柱の奥はすべて開口部になっている造りなので、もしかしたら以前は商家だった可能性もあるが、いずれにせよこの晴天にすべての雨戸が閉ざされていることから、無住になっているものと思われる

 

 

隣にある「ファッションハウスかとう」という化粧品店は現役で営業しており、通りを挟んだ向かい側には同じく現役の薬局があったが定休日なのかシャッターが閉まっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの古い街道筋の商家の形態をよくとどめている「中澤商店」は、マップを見ると現役で営業している和菓子屋ということになっている

 

しかし建物はクォーターもじゃ化している上に、奥に見えている土蔵というか倉庫のような建物は、ほぼ崩壊しかけていた。本当に現役なのか?

 

 

疑問を感じて過去のストリートビューを順に見てみると……

 

 

 

 

 

 

 

営業している姿は一度も写っていなかった

 

よく見ると僕が撮影した写真を含めて、常に同じ位置に車が停めれており、この店の周りだけまるで時間が止まっているかのようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの店舗は精肉店だったようで、2019年まではシャッターが開いている映像が残っていたが、現在も営業を続けているかどうかは微妙なところだ

 

並びの石材店は現役のようだが、そういえば千葉県茂原の商店街を外れた何もない場所でも現役の石材店を見かけたことから、商売柄、あまり場所は関係ないようである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マメトラ」の袖看板がやけに目立っている、こちらも郊外ではよく見かける農機具の店だ

 

町並みから離れてしまうと田圃や畑ばかりの風景が広がっている場所柄なので、生き残っていて当然なのかもしれない

 

 

撮影していたら店のなかから店主のような人物が出てきて、トラクターを積んだトラックで出発していった。新車には見えないので、おそらく修理を終えたトラクターを顧客に届けるのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

製造直売の店「作業用品専門店 やざわ」は、通りから見ると平凡な看板建築にしか見えないが、主屋は立派な造りの戦前物件のようだ

 

袖看板の脇の部分には「㈲ 矢沢メリヤス小売部」と記されているので製造直売の文字通り、どこかに工場があるのだろう。ちなみにストリートビューには営業している姿が写っている

 

 

ビューを見ると十年ほど前までは、向かい側にも看板建築の洋品店、その隣にも戦後型の看板建築が残っていたが、現在は跡形もなく取り壊されて建て売り住宅になっていた

 

菖蒲の市街地は、矢沢洋品店の次の信号で唐突に終わる。これが都内ならば並んでいる建物の種類が店舗から次第にフェードアウトして、いつの間にか住宅やマンションに変わるだけだ

 

 

しかし、初回記事の冒頭で記したように、昔は田圃や畑しかなかった場所に出来た町のため、文字通り建物の並びがスカスカになって“終わる”のだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その交差点に町並み最後の商家が建っていた。戦後型の看板建築といっても昭和中期の雰囲気ではなく、おそらく終戦直後あたりの建造物だと思われる建物だ

 

スクエアな店舗(もしくは仕事場)の部分は、1階が戦前物件でよく見かける長方形のブリキ板を組み合わせたもので、2階は定番のブリキ波板、その店舗の看板建築に平屋の住居部分がくっついている

 

 

 

 

 

 

 

 

建物の2階部分のほとんどが窓になっており、採光は最高(ダジャレではない)だと思われるけれど、そのすべてはトタン板の雨戸で閉ざされている

 

よく見ると通りに面している部分には、2間の入り口しかないので、店舗ではなく職人の仕事場、もしくは広い店舗を必要としない注文主体の、たとえば洋裁店のような店だったのだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

通りの反対側からその看板建築を見ると、かつては窓があったものと思われる部分が傍若無人に繁茂した植栽によって完全に塞がれていた

 

 

ところで勘の鋭い、あるいは観察力のある者ならば手前左側に見えている錆びついたブリキ波板に気がついたと思う

 

そう、今回は構成上、わざとこの左側にある建物をフレームから外した写真を並べた。ということで次回は、この気になるブリキ波板の塀のある建物を紹介しよう

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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