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🍵 final 寂れてしまった門前町の情景
長々と続いた加須の散策もいよいよ最終回である--が、このあと埼玉県の知られざる古民家の宝庫である菖蒲と、ついでに久喜の散策をしているので、まだ未編集の写真が500枚ほど残っている
今後は、さらにディープな埼玉県の町を散策する予定なので当分ネタには困らない。というか、ありすぎるぐらいだ
と、予告編的な前置きをしたところで……
散策はついにクライマックスの加須の最奥にして、かつての加須最大の観光地でもあった不動ケ岡不動尊の門前町まで到達した
門前には文久二年というから清河八郎に集められた浪士隊が、京都に向けて旅立つ前年に創業された加須名物“五家宝”の元祖を謳う「武蔵屋」で五家宝を購入したあと、裏参道から不動尊に入った
もっともこの元祖には、例によってつきものの“元祖争い”があり熊谷も元祖を主張している
話を戻して……メインストリートの表参道、というか先ほどまで歩いていた商店街のその部分は見ていないので、復路は商店街をすすんだ
武蔵屋の隣にも入母屋屋根の五家宝屋の老舗「清見屋」があったが……
向かい側に旧店舗とおぼしき厨子二階建ての渋い建物があり、こちらの物件に気持ちを完全に持っていかれてしまったため撮影し損ねてしまった
だって、こんな御多福窓のガラス戸があったら、誰だってこっち見ちゃうでしょ
こちらがストリートビューからキャプチャした、撮影し損ねたその清見屋の店舗である。こちらにはとくに創業年などは記されていないが、明治時代の創業だそうで十分老舗である
清見屋の旧店舗の並びにも、いかにも戦前物件といった渋い建物が並んでいた
どちらの物件も無住になって久しいような煤けた空気感が漂っている。手前の建物は旅館だったような雰囲気で、入り口の横に袖看板が出ているが文字が剥落しているのでよくわからない
この並びには、以前はこんな
素敵な戦前物件が残されていたが、現在は更地にされてそのまま何もない土地が放置されている
その斜め向かい側には現役と思われる材木屋の倉庫があったけれど、それにくっついている店舗か事務所のような建物は、どう見ても廃墟なのが謎だ
ファサードには……( ┐吉 )そして、おそらく「沢」がひっくり返った文字が確認できる。気になったのでGoogleマップを開くと、どうやら現役のようで「吉沢材木店」と記されていた
えっ、てことは、この廃墟にしか見えない事務所が現役なのか?
いやいや、いくらなんでもそれはないだろう。おそらく事務所は近くを通るバイパス沿いなどに移転して、倉庫だけ現役で使っているのにちがいない
その次の角地には、土蔵造りを模した出桁造りの建物が残っていたが、こちらの物件もどう見ても廃屋化しているようで、生活感というのがまるで感じられなかった
いったいどんな商売を……と、考えている間もなく街灯には「斉藤ピアノ教室」という看板が下がっていた。出桁造りとは、なんと渋いピアノ教室だろう
まあ、先にオチを言ってしまうと、たぶん廃業した商家を居抜きで借りていたのだろうけれど
あまりにも煤けていたので、遠目に廃墟だとばかり思った錆びたブリキ波板の看板建築があったので、近くまで行ってみたら現役のクリーニング店で驚いた
もし定休日でシャッターが閉まっているときに、この軒先のクレハロンテントを見たら現役だと思う者は皆無であろう
その先も廃業しているのか、単純に定休日なのか一見しただけではわからない建物が連なっていた
下の写真の派手な、しかし色褪せてしまった店のファサードには「フレッシュ と」と、まるで謎かけのような文字だけが残っていて想像を掻き立てられた
そこで、いつものように過去のストリートビューを見てみると
「フレッシュ ごとう」という青果店、あるいはそれに類するスーパーだった。劣化して「ご」と「う」が抜け落ちていたのだ
しかし、キャプチャした2012年のストリートビューの段階で、店内は荒れ果てたような雰囲気だったので、少なくとも十年以上前に廃業してしまっているようであった
こちらの「新山崎」という茶舗も定休日で閉まっているのか、あるいは廃業してしまっているのか判然としない雰囲気だが、ストリートビューを見ると映像では営業していた
ところが、Googleマップを見ると店名の記載などは一切なく、廃業している扱いで混乱する。どっちなんだよGoogle!
僕らは、この茶舗のすぐ先から裏参道に入ったので、この散策はこれでおしまい。僕は北千住でいつもの古着屋に、みぽぽんさんは東武動物公園にある銭湯にゆくことにして駅に向かった
往路と同じルートをたどっても面白味に欠けるので、何もなさそうな住宅街を抜けて戻ることにした
階段のような段々に並んだ物件を発見して、思わずシャッターを切った
まるで狙ったように奥から順に、相当古そうなRC構造の三階建てのビル、二階建ての看板建築、平屋の看板建築と並んでいるのが興味深い
途中で脇道に入ると「マツモト繊維 ㈱」という、平屋の町工場みたいな建物があった。散策の初期に感じたように加須は、やはり近隣の行田のような繊維の町だったようである
駅前商店街の寸前に、風神、雷神(たぶん)を窓で囲った長屋門を構えた寺院があり驚いた
鼠小僧の墓石を、博打の縁担ぎのため削って持って帰るバカが多すぎて金網で囲った……という話は聞いたことがあるが、こちらの像は、いかなる理由で囲われているのだろうか?
などとクダラナイことを考えていたら、いつの間にか加須駅に到着した
《埼玉県の宿場町22加須》おしまい
†PIAS†
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