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🍶 ⑫ブリキ波板錆び物件と空っぽの商家
かつての加須の中心街的な役割を果たした大正新道は、加須の駅前通りと交差した先から、区画整理に伴う道路拡幅により大幅に道が拡げられていた
駅前通り付近には、移築された銅板葺き看板建築のほか古民家は点在しているだけであったが、しばらくすすむと昭和中期頃の面影を濃厚に残した町並みに変わる
しかし、多くの店はすでに廃業してしまっているような雰囲気を漂わせ、ほとんどシャッター街と化していた
大正新道はその先も真っ直ぐ続いていたが、町並みは前回の最後に掲載した「のとや酒店」のところで直角に曲がっており、その酒屋の向かい側には
建物を取り壊した広大な更地が。過去のストリートビューを見ると、最後に残っていたのは戦後型の平屋看板建築だったが、今は跡形もなくなっている
しかし気になるのは、その更地の奥に見えているバラックじみた平屋の建物であろう
近くまで行ってよく見ると木製の枠にブリキの波板を張った塀が錆び錆びになっているところが渋い
回りこんで建物の正面にゆくと……
こっちも錆び錆びな色合いな予感が!
ところで大正新道の続きに注目
僕が「唐突に町並みが途切れる」と書いた意味がわかると思う。そう、ここから先は文字通り「町並み」といった感じの風景ではなくなるのだ
話を建物に戻す。見事に錆びついた平屋看板建築である
こういった建物を看板建築と呼ぶのは、本来の意味合いから外れるような気がしないでもないが、他に適当な呼称がないので看板建築と呼ぶ……
が、その看板があまりにもカッコいい。元々は青い枠組みに白色で、真ん中に文字があったようだが、塗装は剥げ落ちはや一文字たりとも判読できなくなっていた
この造りだと商家というより、畳屋とか塗装屋とかの職人の事務所兼仕事場のように見えるが、その答えはいつものように
街灯の看板に残されていた。どうやら「松本農機具店」という、トラクターなどを扱う特殊な業態だったようだ
それにしても、緑色に塗られた街灯の支柱が、なぜかカクッと曲がっているのが不可解である
こういう風に街灯が曲がっている場合は、たいてい何か障害物を避けるためにするものだと思うのだが、別に避けなければならない障害物などはどこにもない
うーん、単純にデザインのためとは思えないし、まったく不可解な支柱だ
そして、この「松本農機具店」の向かい側、つまり前回の記事で紹介した「のとや酒店」の隣には
こんな立派な出桁造り商家があって、この建物が事実上、かつての加須宿の端っこだったようだ
といっても、それはこの通り沿いにかぎった話で「のとや酒店」のところで、通りを直角に曲がった先に町並みは続く……が、しかしツマラナイ風景だったので撮影しなかったから
ストリートビューからキャプチャするとこんな感じ
左側は広大な更地、そして通りは一見、どこにでもある平凡な郊外風景であるが、更地の先には
こんな魅力的な町並みがはじまっていた
右手前側の看板建築と出桁造り商家に挟まれて厨子二階建ての商家と思われる建物が残っているが、なんか様子がおかしいので近くまで行ってみると……
ものの見事にガランドウ。店があった場所は見事に空っぽにされてゴミひとつ落ちていなかった
あまりの空っぽぶりに、みぽぽんさんも思わずシャッターを切っていた
それにしても、廃業したあと放置されている店には、たいていガラクタやゴミが散乱しているものだが、ここまでチリひとつないのは、おそらく現在も手入れしているひとがいるのだろう
ここにどのような店舗があったのか気になったので、例によってストリートビューのアーカイブを見ると
いちばん古い2012年のものに「新作商店」という雑貨屋らしい店が写りこんでいた
ところが同じ2012年のビューを反対側から見ると店舗だった場所には、車が頭から突っ込まれているではないか!
撮影した日付には2012年8月とあったので、おそらくその時期に廃業してしまったものと考えられる
ということで、次回はこの素敵な町並みを先にすすむ
続く
†PIAS†
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