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👜 ③中野五叉路に残された昭和の風景
今回の散策は、地下鉄丸ノ内線の新中野駅から、中野通りを中野駅に向かう……というだけの“ひねりも何もない”単純極まる内容である
急げば15分程度で駆け抜けられそうなそんな短い距離をブログ記事にして、しかも連載するという、そんな無謀な企画が、果たして成立するのか?
--という、疑問もあろうが、そんな短距離なのに、これでもう3回目の記事である
中野は終電を逃しても新宿から鼻歌混じりで歩いて帰れるような、まさに都心部から至近距離にあるため、昭和の古い町並みが残っていたこと自体が奇跡的であった
しかしその奇跡的な町並みは、開発という名目の暴力ため、今や終焉の時を迎えているようだ
わすかに残っていた出桁造り商家は壊滅し、僕の好きだった看板建築は、もはや跡形もない……が、中野駅前の商店街の外れにある中野五叉路には、そんな奇跡的な物件が、まだ1棟残っている
ところで中野五叉路のすぐ手前を、桃園川が横切っている
もちろん川などは、とっくの昔に埋められて暗渠にされてしまっており、川辺の風景などはどこにもないが、川跡はよくある遊歩道にされているため、かろうじて川だった面影が残っている
と、思ったら、どうやら緑道をリニューアルするようで、フェンスで封鎖され立入禁止になっていた
せっかく残っている欄干を撮影しようと思ったのに、これでは撮影することができないので、4年ほど前に撮影した写真を載せておく
上は今回撮影した封鎖地点の少し先に残る欄干、下の写真は、完全に痕跡を消されてしまった桃園川の支流に架かっていた「かう志ん橋」である
桃園川は緑道として、ハッキリと川跡が残っているので、昔の姿が想像しやすい遺構であるが、かう志ん橋は、川跡も見当たらない住宅街に唐突に出現するので、かなりシュールな風景だ
中野五叉路までやって来ると、そこから先は中野駅前南口の商店街なので、それまでも決して少なくなかった通行人の数が、飛躍的な増加を見せ都会の風景に変わる
そのまま「南口本通り商店街」をゆくと丸井の本店の先は、すぐに中野駅で、上の写真の奥には中央線のホームが見えている
この交差点の角には、老舗と思われるカバン屋さんがあるが、ここを通るたびに気になっているのが
その横にある急角度の階段と、「コロンビヤビル」という名称である
以前は麻薬カルテルが牛耳っていた南米にある国の名前もコーヒーの種類も、アウトドアアパレルの会社の名前も、日本のレコード会社も、全部「コロンビア」なのに、なぜ「コロンビヤ」なのか?
もし許されるならば、このビルのオーナーをとっ捕まえて、何故コロンビアではなくコロンビヤなのか、小一時間ぐらい問い詰めたい気分だ
という、どうでもいい話はともかく、中野五叉路は五叉路という建前だか、地図を見ると
五叉路の5本の道のほかに、すぐ近くを細い路地がニアミスしていたり、桃園川跡の緑道が横切っていたりと、一筋縄ではゆかない複雑な地形をしている
五叉路の表記の下を桃園川が通っているため、中野駅前通りは緩やかな上り坂、「アヤベビル」の表記があるところの左に逸れる道は、けっこう急な坂になっており、桃園川が作り出した河岸段丘だということがわかる
先ほどのカバン屋は、地図の「川原ビル」という表記のすぐ隣にあるが、そこから視線を左のほうに向けると
このあたりでは絶滅危惧種の戦前型看板建築が残っている
画面の中央にある濃いベージュのモルタル外壁の「小林サイクル」という看板建築だ
ほんの十年前までは、この小林サイクルと五叉路を挟んだ向かい側にも
このようにズラリと看板建築が並んでいた。僕の中野の町並みのイメージは、こんな感じの風景なのだが……
ここ十年のあいだに恐るべき勢いで町並みは破壊されてしまい、この場所には、おもしろくもなんともないビルが並んでいる
この小林サイクル、ここ数年は家系ラーメンの「武蔵家」の本店とか、五叉路の駅寄りにある武蔵家から分派した「武道家」に、夕食を摂りに行くついでに、チラリと見かけるだけであった
ところが久しぶりに明るい時間にまじまじと眺めると、いつの間にか完全に無住の建物になってしまったようで、モルタルの一部は剥落し、全体的に薄汚れて荒廃した気配が濃厚に漂っていた
この様子を見ると残念ながら、中野五叉路のランドマークと言えた小林サイクルの解体も、時間の問題のようである
冒頭でいきなり更地にされていた「淀橋屋」に続いて、この風景は、もう見納めのようだ
「南口本通り」を行ってもビルばかりで何も楽しくないから、先ほど説明した「アヤベビル」のある左に逸れる急な坂のある道を使って中野駅前に向かうことにする
というのは、この逸れてゆく通りに、今回の散策のクライマックスとも言える物件が残って……いるのだろうか?
続く
†PIAS†
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