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📪 final かつての繁華街はシャッター街 

 

 

 

 

 

 

「ほんちょう商店街」そして「仲通り勉強会」は、だいたい見終えたし目当ての物件も撮影したので、鶴見駅に戻って夕食にしようと考えていると右手の路地に土蔵の薬局が目に入った

 

なんとなくその路地の雰囲気が気になったので、鶴見駅とは方向が90°ズレているのに、なんとなく路地をすすんでいたら「潮田銀座」という看板を見つけ、その先の交差点を商店街が横切っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調べてみるとこの潮田銀座は、浅野造船所や旭硝子に勤務する人びとの通勤路からはじまり、やがて横浜でも十指に入る繁華街に発展し、3百軒を越える商家が軒を連ねたそうだ

 

現在も仲通りよりは商店街としての体裁は保っているが、あちこち歯抜けになり住宅やマンションに侵食されつつあった

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、これが横浜で十指に入った商店街とは思えない寂れっぷりで、ほんちょう商店街や仲通り勉強会と同様に活気というものが感じられなかった

 

などと思っていたら、またしても現役で営業している洋品店を見つけた。寂れた町にジジババ向けの洋品店というのは、僕のなかではもはや定番の設定になっている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潮田銀座の衰退は企業の縮小、撤退などが主たる原因だとは思うが、それ以上に米軍の爆撃により、町が灰塵に帰してしまったことも要因であろう

 

戦災がなければ3百軒もの店がある規模なら、戦前型の出桁造り商家や看板建築が残っていたはずだ

 

 

それでも僕の好みにどストライクな平屋建て凸型看板建築や、スクラッチタイル的なマテリアルで縁取りされたファサードの看板建築など、よい雰囲気の古い建物が残っていた

 

しかし、そのどれもが屋号を記した文字や看板がなく、どう見ても廃業して放置されているような廃物件であることが、この商店街の置かれた現状を無言で物語っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

ほとんど歯抜けになってはいるが、鶴見の商店街の特徴である片側アーケード、僕の名付けるところの「鶴見式雁木」が、あちこちに残っている

 

そのアーケードは、駅から離れるほどにプリミティブな造りのものになり、ここではもはや、ちょっと歩道に張り出した庇といった佇まいを見せていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「大河内ガラス」と記された看板建築の店先には、なぜか大量の段ボールが積まれていた。ゴミ屋敷とは思えないし、これはいったい何?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その先にも廃物件と思われる戦後型の渋い看板建築が散見され、僕としてはかなり楽しい眺めであるが、その反面、なんともやるせない気持ちにさせる光景だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの鶴見式雁木は、まるで昔の物干し台を彷彿とさせる雰囲気で思わず見とれてしまった

 

シャッターの前に置かれたプランターの植物は枯れており、ステンレス製の郵便受けはガムテープで封印されていることから、すでに廃屋化しているようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすすむと潮田銀座商店街は、ゴム通りという広い道路にぶつかって終わる

 

ゴム通りとの交差点の手前に、1階部分が店舗になった公団住宅風の鉄筋アパートという、昔の東京ではよく見かけた絶滅危惧種の物件があった

 

 

テナントには、廃れた町でも生き残りる確率の高い床屋が入っている。先ほども床屋を見たし、やはりこの業種はサバイバル率トップの物件であろう

 

この手の公団住宅的な物件は、たいてい店舗部分が廃業して荒んだ雰囲気のものが多く、同じ鶴見の上末吉にある同様の物件や、環八の井荻駅付近にある都営住宅なども荒廃した気配を漂わせているが、このように店舗が残っていると、なんとも言えないよい雰囲気である

 

 

ところで、ゴム通りとはまたフザケタ名称であるが、もちろん路面がゴムなわけではなく、多くのひとが想像するように、その通り沿いに「横浜護謨」の工場があったからだ

 

しかし、横浜護謨は横浜大空襲で焼失してしまい、その後もこの場所には再建されずゴムという名称だけ、通りの名前として残った

 

 

という、もはや大学は郊外に移転してしまったのに、駅名だけに都立大学とか学芸大学などの名称が残っているのと似たような経緯で、ゴム通りというヘンテコな名称が定着したようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴム通りから先は、完全に住宅街になってしまうので、そろそろ鶴見駅に引き返そう……と、思ったが、想定外の潮田銀座を端まで歩いてしまったため、駅からは軽く1キロ以上離れてしまった

 

くそ暑いし、今さら来た道を引き返す気分にはならず向かいにあったコンビニで飲み物を買って、駐車場でひと息ついていたらバス停が目に入った

 

 

ダイヤを調べると10分後には川崎駅行きが、そして15分後には鶴見駅行きが来るので、鶴見駅行きを待つことにした

 

鶴見駅までは、なんとバス停7つ。やはり到底歩いて戻る気にはならず、バス停のベンチに座ってバスを待っていたら、短パンからはみだした脛を2か所も蚊に食われてしまったファッキン!

 

 

 

《鶴見深掘り散策》おしまい。次のシリーズは、まだ飽き足らず鶴見のさらに深部、末吉地区を散策する予定である

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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