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☕ ⑩横浜市最後の本格カフェー建築  

 

 

 

 

 

いよいよ鶴見の最深部に君臨する、かつての二業地のボスキャラに向かう……

 

が、その前に、前回の記事の最後に掲載したこちらの店舗部分が無理やり増築されている、木造モルタル外壁なのに、入母屋屋根まで備わった典型的なカフェー建築

 

 

こちらの店舗部分は、以前はスナックだったという情報があり、したがって、カフェー建築や連れ込み系の物件ではない

 

との説をネットで見かけ、しつこく調べたところ、なんと子どもの頃、この建物に入ったという内容のブログ記事を見つけた

 

 

それによると、当時(1970年代)には同級生がそこの住民だったそうだから、アパートに転用されたものと考えられる

 

特徴的な入り口を入ると小部屋があり、そのすぐ脇は風呂場で、驚いたことに、そのすぐ先にも風呂場があった。との記述から、やはり連れ込み系の物件であったことは間違いないだろう

 

 

ところで、じつは今回の取材において、この建物はわずか2枚しか撮影していない

 

というのも、この写真では見切れるように撮影しているが、物件のすぐ横で近所の住民が、子どもを空気で膨らませるプールで遊ばせており、それを多くのひとが笑顔で見守る

 

 

--といった、ごく普通の日常的で平和な光景が繰り広げられていたため、カメラを向ける、というか出すことすら出来ず、やむを得ずカバンで隠しながら通過するときに腰だめにして、勘でシャッターを切らざるを得なかったからだ

 

それでもちゃんとフレームのど真ん中に収まっているあたり、ストリートスナップで鍛えた技の冴えが、我ながら素晴らしいと自己満足

 

 

なので、過去のストリートビューから別アングルをピックアップしてみた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらも前回の物件と同様に、やけに狭い部屋の間隔、左側に付けられた無駄な段々の装飾、そして微妙にむくった屋根付きの門構え……数々の状況証拠や証言から、やはり往時は「それ系」の物件だったと見て間違いなかろう

 

そして、この建物からワンブロックもゆかないところに、鶴見入船カフェー街のボスキャラ、もう、一目見ただけでカフェーだとわかるファンタジスタな物件が残っているのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

それがこちらのカフェー建築である。ピンク色の壁に円柱状の装飾には豆タイル。どこからどう見ても典型的なカフェー建築である

 

まさか横浜市内に、こんな見事なカフェー建築が残されていたなどとは驚くしかない

 

 

向かって左側の店舗部分は、ガランドウなのでガレージにされてしまっているようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右側の部分には飲み屋系の店舗だった痕跡が認められるが、とっくの昔に廃業してしまっているようで、ベニヤ板で封印された姿は、2009年のストリートビューを見ても現状とほとんど変わらなかった

 

左側だけ新しく化粧直しされているのは、このような2軒長屋ではよくあるパターンで、左右で所有者が違っているからではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

薄いピンク色の壁面に浮き出た、びっしりと貼られた豆タイルが貼られた円柱は、典型的な当時のカフェー建築の造りであるが……

 

店舗の部分は、煉瓦と板張りの渋い造りに改装されていることから、転業後はスナックなどではなく、バーだったのではないかと思われる

 

 

プランターはきちんと手入れされている様子だし、向かいにある飲み屋長屋の荒廃した雰囲気とは対象的で、おそらく左側の住民の「こっちはまだワシが住んでんねん。ゴミ捨てたら耳から指突っ込んで奥歯ガタガタいわしたるぞ!」

 

という、無言の主張であるかのようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん、素晴らしい。ため息をつきながら、建物の隠微な魅力と周囲の風景のあまりの違和感に、しばし呆然と見とれてしまった

 

というのも、こんな時代がかった建物があるその周辺は

 

 

 

 

 

 

 

 

ものの見事にカフェー街だったような痕跡が消し去られ、無味乾燥として少しも楽しくない平凡な住宅街に、完全に上書きされてしまっているからだ

 

したがって、周りに見るべき物件などは見当たらず、その先にすすむと、こんな物件が

 

 

 

 

 

 

 

 

これには一瞬、ギョッとして立ち止まってしまった

 

なんと、先ほどのカフェー建築とまったく同じ薄いエメラルドグリーンとピンクのツートーンカラーのプレハブ小屋のようなものが!

 

 

まさかこの外観で飲み屋とかはあり得ないだろう。でもなんでこんな色にしたんだ? と、頭のなかを素朴な疑問がぐるぐると渦を巻き、正面と思われる方向を確認してみると

 

 

 

 

 

 

 

 

なんのことはない「東海工業株式会社」という町工場の事務所棟に過ぎなかった

 

正体には納得したけれど、何故並びにあるカフェー建築と同じカラーリングにしたのか、その疑問点はまったく解消せずモヤモヤした気持ちのまま、なんとなくその先の角を左に曲がり、次の路地に入った

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、その路地にも町工場があり、どうやらかつてはこのような町工場と飲み屋街が入り交じるような町、労働者、つまりその手の店の潜在的客層が豊かな地域であったことが類推できる

 

ストリートビューを見ると少し以前までは、この町工場の3軒ぐらい先にも

 

 

 

 

 

 

 

 

このような元カフェー建築だと思われる物件があり、過去の画像ではなく現在のストリートビューにも姿が残されており「スナック チビ」の記載もあるが、少なくとも僕がとおったときには、見かけた覚えがない

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから少し歩くと、やや幅の広い道路に出た

 

その通りは、ほとんど営業していそうな店が見当たらない商店街の残骸のような雰囲気で、なんだこの場所は?

 

 

--と、疑問に感じてGoogleマップを開いてみると、そこには「本町通り」という記載があった。つまり、この寂れたというか終わった雰囲気の商店街の残骸は、「ほんちょう商店街」の続きだったわけだ

 

 

これでボスキャラも見てしまったし、あとは盛り下がって終わるだけか……

 

と、優勝が決まったあとの消化試合のような気分になっていたが、鶴見には、まだリトル沖縄という素晴らしいスポットが残されているのだ

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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