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👿 ②除菌されつつある商店街の風景
葛飾区の名前を全国区にしたのは前回の記事でも触れた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」であることは間違いないだろう
それ以前にフーテンの寅さんも葛飾区柴又出身となっているが、それはあくまでも東京都にある柴又という町で、葛飾区というくだりを覚えているのは、寅さんマニアだけだろう
しかし、そういったメジャーなフィールドではなく、昭和レトロ好きにとっての葛飾区といえば、まず上がるのは「呑んべ横丁」(必要性があるとは全く思えない再開発で消えるが)がある立石だろうか
だが個人的に、かつての葛飾の姿をよく残しているのは、亀有でも柴又でも立石でもなく、前回訪れた堀切菖蒲園、そして今回の取材のスタート地点である四ツ木ではないか
--というのが、僕が葛飾区に対しての印象だが、これはあくまでも個人的な感想である
しかし、今回の取材で4年ぶりに四ツ木を訪ねてみると、以前この町に感じたなんとも言えない懐かしいような、以前訪れたことがあるような親近感が、やけに薄れているように感じられた
それは、まるで感染予防のためアルコールで消毒されて除菌されてしまい、本来なら必要なはずの常在菌まで除菌してしまったような、むしろ身体に悪いんじゃないの?
と、思ってしまうような居心地の悪さを感じさせる
言い換えれば四ツ木の町を、どこぞのニュータウンのように整った町にしたがために、そこに備わっていたはずの個性まで除菌してしまったのではないか?
とはいえ、この用水路に由来するものと思われるグネグネと曲がった道筋や、昭和中期を彷彿とさせる建物は、そこかしこに残ってはいるのだが
それにしても、この「杉本工務店」は、以前訪ねたときには、現役感があったのだが、2階の窓はブリキの雨戸で閉ざされなんとなく荒廃した気配が漂っていた
下町方面--というか、ここはもう下町ではないので東京アッパーイーストと言い直そう--は、日曜日が店の休みというパターンが多いのか、あるいは、廃業した店舗が多いのか、閉まっている店がやけに目についた
軒先テントに「中川不動産」という屋号が記された、こちらの看板建築は荒廃した雰囲気が漂い、どう見ても廃業してしまったようにしか見えなかった
中川不動産の隣は青果店だったはずだが、軒先テントはビリビリに破れ、もはや廃屋の気配すら感じさせる
前回の訪問で感銘を受けた屋号が剥落しているクリーニング店は、きれいに手入れされているので、まだ現役感たっぷりで少し安心する
それにしてもこの店、以前の渋いブリキの看板建築様式の看板を残しているところが偉い。これを残しているおかげで単なるクリーニング店ではなく、老舗の貫禄までもが備わっていた
「よつぎ針灸整骨院」という袖看板の横には、都内各地で時おり見かける「お宝自販機」が設置されていた
お宝というのは掘り出すことに意義があり、こうしたサブカル的なアイテムを求める層は、それを楽しんでいると思うのだが、このような自販機に需要はあるのだろうか?
いや、これは、古着ガチャと同じで最初からペテンとわかっているのに、敢えてそれを購入して、アホみたいな失敗を自虐的に楽しむという遊びなのだろうか。謎である
前回の訪問のときも絶賛営業中だった「ベル・フラワー」という花屋は、この日も絶賛営業中であった
男子はあまり花屋には用事がないが、ロマンチックな成分が多い女性は、老若を問わず花を飾る傾向にあるから、根強い需要があり商売が成り立つと想像した
除菌されてツマラナイ町並みにされつつある渋江商店街の周囲には、まだこのような錆び錆びブリキ波板物件が残っているようで、少しホッとする
--が、よく見るとイビツな建物はこれだけで、その周囲は無味乾燥とした建物に取って代わられてしまっていた
帰宅してから前回の散策のときのアーカイブを見ていると、印象的なこの2つの物件を見ていないことに気が付いた
これだけインパクトがあれぱ間違いなく撮影しているはずなので、おそらくこの4年のあいだに解体されてしまったのだろう
商店街は立石方面に向かうほど、つまり駅から離れるほどに店舗の数が少なくなり、寂れた気配が濃厚になってゆく
道のグネグネ具合を撮影した写真だが、昨日出来たばかりのように見える左側の新築の建物が目立つ。おそらくここにも、なにかしら古い建物があったのではなかろうか?
この先にも特選物件がいくつか残っていたはずだが果たして……
続く
†PIAS†
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