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👽 ⑨電波な家からトンガリ廃墟へ
だだっ広い国道に上書きされていた房総往還が再び姿をあらわしたけれど、それはかなり密集した住宅街の路地ような道で、正直、街道風情は皆無に近い
街道らしい雰囲気は狭い道幅と、ぐねぐねと曲がっているところぐらいで、言われなければこれが旧道だと気が付くひとはいないだろう
往還はドブ川のような三面護岸の風情の欠片もない川を越えて続いていた
なんという名前の川なのか気になりGoogleマップを開くが記載はなく、ヒントはないかと上流端を探ってみると、川は二又に分岐しており片方は高速道路のジャンクションの下で唐突に消えていた
ならば、と、もう片方を追跡したが、こちらは住宅街でいきなり姿を消しており、まったく正体不明のまま消化不良な気分にになってしまった
あまり川に関わっている時間はないので、マップでの追跡はさっさと切り上げて橋をわたると、その先はもう街道だったとは思えないようなごく普通の住宅街になってしまった
--が、その一見、平和な住宅街に入ったとたんに、ある家の前を通りかかると「ピーピーピーッ」っと、警報が鳴り出してギョッとする
「ええっ、なんじゃこりゃ」と、その家を見ると、やけに塀だけが高い、とくに特徴のない普通の家で、怪しむべきところは見当たらない
しかし、警報器は1ヶ所だけでなく、何ヵ所も設置されており、とにかくその家の前を何かが通過すると、威嚇するように警報音が鳴り響くのだ
それは明らかに空き巣や強盗を警戒するためのものではなく、どうやら家に近づく人間はすべて信用の置けない敵と認識しているようで、うすら寒い気分を味わった
おそらくその家の住人は、宇宙から謎の電波を受信しているか、頭のなかにだけ存在する神の啓示でも受けているようで、気味が悪いので足早にとおりすぎた
ごく普通の住宅街のように見えて、房総スタイルの建物や路地の奥には豪華入母屋物件などが見受けられ、若干街道風情があらわれてきたな……
と、思っていたら、こんな建物が目に入ってきた
なんと房総スタイルの平屋に看板建築がくっついた精米店である
周囲は前述したとおりごく普通の住宅街なので、いきなり店が出現したので、かなり驚いた
この「萬平商店」という渋い精米店のすぐ先で房総往還は、直角に左に曲がっていたが、右側に気になる建物が見えたのでちょっと寄り道してみた
ブリキ波板で構成された看板建築の廃墟である
店舗の右側の部分を見るとちょっと洒落た窓があるので、美容室、あるいは昭和な喫茶店を想起させるが、ヒントとなる文字などは一切なく、もはや朽ち果てる寸前といったあんばいだ
隣の土地はすでに更地にされており、そこには定番の建設計画のお知らせ的な看板が掲示されており、こちらの廃墟が更地にされるのは、そんな遠い将来のことではないだろう
軌道修正して、今度こそ左に曲がる房総往還に戻ると
思わず変な声が出そうになるような、見事な房総スタイルの平屋があった
建物の屋根の向かって右側の部分が、すっぱりと切り落とされたような形状になっているから、房総スタイル的なバラックといった表現が正しいかもしれない
この2枚の写真は、さらっと撮影したように見えるが、じつは房総往還のこのあたりの部分は、稲毛駅方面から国道357に抜ける裏道になっているようで、とにかく車の波が一瞬たりとも途切れない
この2枚の写真を撮影するのに、かなりの時間を費やしてしまった。左側から見たアングルは、結局、画面から車を排除した写真は諦めて、キリのいいところで移動してしまった
房総スタイルのバラックの先には、今どき打ち直しや、洗い張りをしている寝具店があった
隣は大きな神社で、建物もそこそこ古いから、おそらくかなり老舗の寝具店なのだろう
寝具店の先で房総往還に合流している細い道があり、交わる地点には大好物のトンガリ物件があった
しかし、こちらは見事に錆びついており、さらに廃屋の定番「政党のポスター」がベタベタ貼られていることから、まず間違いなく廃屋であろう
玄関に回ってみると、ドアのベニヤ板は捲れ上がり壁は煤けて荒廃感が濃厚に漂っていた
房総往還は、このすぐ先で京成千葉線の踏切を横切っているから、余計に車が渋滞しているものと思われる
これが都内だったら、とっくの昔に高架線にされている状況であるが、京成千葉線には、そこまでする予算がないものと考えられる
そして、この先にはゴールに設定した稲毛駅が待っている
続く
†PIAS†
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