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♨️ ①閑散とした路地裏から飲み屋街へ
東京のイーストサイドの散策が多い当ブログでも、あまり散策していない地域がある。それは墨田区東部そして江東区とその周辺である
それは、当ブログには「古民家を見る」というテーマがあることが大きな理由のひとつだ。江東区とそれに隣接する墨田区の一部は、戦災に遇っているせいなのか、ほとんど古民家がないので対象から外れる
同じ墨田区でも京島あたりは戦前物件の宝庫なのに、だんだん東に向かい、小村井、東あづま、亀戸方面に近づくほどあからさまに古民家を見かけなくなってしまうため、あまり散策する気が起きなくなってしまうのだ
しかし、それはあくまでも僕の印象であって、実際に戦災があったかどうかは調べていないため、もしかしたら良物件があるかもしれず、ものはためしで歩いてみることにした
今回も下調べなしの完全ノープラン。どちらに向かって歩くのかすら決めていない
亀戸駅を降りて、何度か行ったことがある亀戸天神とは反対側の江東区方面を見に行った
駅前をだだっ広い道路が通っているため、その周囲はすっかり再開発されてしまっており、古い建物などは皆無だったが、歩道橋の右手に「七福セールズ」という古そうなネオン看板があった
肝心の店は撮影し損ねたので、ストリートビューからキャプチャしてみると
どうやら単なる洋品店ではなく釣具からスポーツ用品、家電や宝石からペットまで扱う「ドン・キホーテ」、もしくは御徒町の「多慶屋」のような店らしい
ルイヴィトンのマークがあることから、ブランド品まで扱っているようで、ちょっと興味深い。マップに記載はあるが、キャプチャ画像では閉まっていた
うーん、果たして現役で営業しているのだろうか?
怪訝に思って調べてみると……公式ラインアカウントは現役でセール情報なども記載されているのだが、どう見ても廃業しているようにしか見えない
さらに調べると、かの「東京DEEP」という有名なサイトに、毒々しい看板の建物として紹介されていたが、ストリートビューを見ると、毒々しい看板などは見当たらない
さらに検索結果を見ていると、こんなサイトがヒットした
これは海外観光客向けの日本案内的なものだろうか? ということは免税店なのか? あっ、こちらの写真には、まだ毒々しい看板が健在ではないか!
うーん、調べれば調べるほど、謎が深まるばかりである
七福の裏手の路地に入ると東京のどこにでもありそうな古い雑居ビルが並ぶ、あまり面白味のない風景が続いていた
商業地区ともオフィス街とも受け取れる無個性な町並みに、潰れた雀荘があるあたり、ある意味都会的ではあるが、そこに漂うのは強烈な場末感であった
その先もかつては準商業地区だったものが、すっかり寂れてしまったような印象の町並みが続いていた
やはり僕の直感は間違っておらず、古い建物などは皆無といった雰囲気である
「女性サウナ」「サウナ国際」と、大きな看板の出ているビルがあった。女性サウナというのは、かなり珍しいのではないだろうか
シャッターは閉ざされており、なんとなく廃業、もしくは休業しているように見えるのは、例のくそクダラナイ緊急なんちゃらの影響だろうか?
そう思って調べると、どうやらかなり以前に廃業しているようだ
前述の「東京DEEP」によると、このあたりは一見客を寄せ付けないような閉鎖的な雰囲気が漂うスナック街だったようだが、先ほどの雀荘を残して、ほとんどが撤去されてしまっているようで、そのような名残は見られなかった
サウナ国際の前には、なぜか配達用の原チャリが並んでいた
このサウナのあたりはスナック街が消えたおかげで、飲食街でもなくオフィス街でもない、寂れてひと通りもない雰囲気が漂い、なんとなく蒲田や赤羽の路地裏を連想させる
町というものには、それぞれ属性があり、たとえば下北沢と吉祥寺は、同一カテゴリ的な位置付けだが、自由が丘とは違っているように感じる
その伝でゆくと、これはあくまでも個人的な感想であるが、亀戸の町の属性は、錦糸町、赤羽、蒲田あたりのライン上にあるような印象を強く受けた
窓もないのに、壁面に軒先テントがついているという、トマソン的な建物の向かい側は、ほとんどワンブロック丸々更地にされて、ビルを建設中であった
どうやら、この戦後的な町並みもそろそろ寿命が尽きて、建て替え時期に入っているようだ
おそらく近い将来、大通り沿いに建っているようなビルだらけの味気ない風景になってしまうのだろう
などと悲観的になっていたら、目の覚めるようなおもむき深い建物があった
ツートーンのグリーンストライプが洒落た軒先テントがあり、凝った造りの入り口から見て、かつては洒落たレストラン的な店だったのではないだろうか?
薄い破風と軒下にモルタルが塗られているのは戦後型の特徴だから、昭和30年代以降の物件と思われる
--が、建物の土台の部分には煉瓦が積まれ、建物本体にはスクラッチタイルと思われるマテリアルが使用されていて驚いた
何度も書いているがスクラッチタイルは、昭和初期頃に流行した建築部材で、これが使われている建物は、ほぼ戦前物件と見て間違いないという、いわば年代判別の指標になっている
これが揺らいでしまうのは困りものだが、興味深いことにはかわりない
どうやらすでに廃業しているだけではなく、誰も住んでいないような気配が濃厚なので、これは近い将来なくなってしまう風景であろう
その建物の先には小名木川関係なのか、川跡とおぼしき細長い公園があった
墨東のこのあたりで自然河川というのは考えにくく、おそらく運河系の水路だったものと思われるが、ただでさえ潤いに欠けるこの地域で、水辺をなくしてしまうのだから、この国の土建優先的な政策が、いかに人間的な生活の観点から欠け離れたものなのかがよくわかる
まあ、景勝地というより地域の誇りと言っても過言ではなかった日本橋に、高速道路をおっ被せてしまうような蛮行が罷り通ってしまうのだから、文化程度がどれほど低劣なのか察しがつくけどな
お隣の韓国ですら、そのように台無しにしてしまった水辺の風景を元通りにしているのに、この国のやることには呆れるしかない
と、愚痴をこぼしたところで、だだっ広い京葉道路(国道14号線)をわたると、その大通りの一本裏をこのような道が平行していた
次回はこのなんとも魅力的な通りを見てみよう
†PIAS†
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