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🍶 ⑤火の見櫓と錆びたトタンの土蔵
前回の記事ではかつて市が開かれた広庭について書いた
その広庭に、後年になってから新しい店舗を増築したらしき物件が多いことから、原市の町並みは独特の雰囲気を持っていた
クリーニング店は店舗だけ見ると、どこにでもありそうな戦後型の看板建築であるが、その後ろには鬼瓦のある立派な土蔵があり、さらに奥には平屋の住居部分がつながっている
こちらのクリーニング店は、敷地いっぱいに建物が建てられているが、その隣の家は、かつての広庭の部分に何も建てずに空き地として残していることから、不自然なかたちで歩道か終わってしまっていた
ファサードには、なにも記されていないノッペラボウの看板建築は、小さな窓がひとつしかない特徴的な造りのため、まるで妖怪ヌリカベのようだ
ファサードに「野本化成」と記された倉庫とおぼしき大きな建物は、土蔵を模したデザインのところが興味深い。かつての町並みへのリスペクト、あるいはノスタルジーだろうか?
こちらは個人的に妙に惹かれた建物である
出桁造りではないし決して豪華な建物ではなく、むしろ簡素な造りだが、玄関の部分を見るとかなり不自然な造りになっている
この造りからして、おそらくかつては店舗だったのだろう
横から見たら、何故僕が妙に惹き付けられたのか、その理由に思い当たった。店舗部分の横は薄いブルーのブリキの波板、そして建物本体の横の波板は、真っ赤に錆びついたラスティーカラー……
どうやら僕は、この建物に台東区や墨田区で見かけた東京の下町風景を連想して、なんとも言いがたい親しみとノスタルジーを感じたようだ
少し先に、原市の人びとの信仰を集めた氷川神社があった
誰もいない参道は、きれに掃き清められており、塵ひとつなく整備されていることから、今も氏子たちから大切にされていることかうかがわれる
氷川神社の参道の入り口には、懐かしい雰囲気の火の見櫓があった
火の見櫓は近ごろ、埼玉県の宿場町でもめっきり少なくなってしまったアイテムであるが、都心部から近いところには意外と残っていて、下北沢や日吉本町などで見たことがある
その先も見るからに旧道沿いといった風情の町並みが続いていたが、なにやらやけに目につく建物が目に入ってきた
建物の全体がトタン板のようなもので覆われた土蔵である
どういうわけなのか、土蔵の東と北側だけが見事に錆びついているのに、南側のトタンは、ほとんど錆びが見られないところが不可解だが、陽当たりの関係だろうか?
土蔵も素晴らしいが、それに連なる……
店舗の部分もなかなか立派な建物で、しかも現役で営業していた
こちらは安政年間に創業された「田中屋酒店」である。次回はこの物件の詳細を見てみよう
続く
†PIAS†
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