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🍢 ①いきなり魅せてくれる駅前商店街   

 

 

 

 

当ブログの看板企画である《埼玉県の宿場町》シリーズ、今回訪れたのは、春日部である

 

この町は、わりと古くから都市化されてしまっており、街道歩きや町の探訪ブログを見ると、街道沿いはビルが建ち並び古い建物などは数えるほどしかなく、風情はきわめて希薄……

 

 

という評判だし、十数年前に一度、この駅前で知人の車に拾ってもらったときも同じような印象であった

 

しかし、桶川や幸手がそうであったように、そうしたブロガーと僕の見ている視点は、かなりズレておりネットの評判は、まったくあてにならないことを、身に染みて知っている

 

 

したがって、この春日部も街道歩きでは見落としてしまうであろう、路地裏や脇道を含めて、別の観点から散策してみたいと考えている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春日部駅に降りて周囲を観察してみると西口は、LaLaガーデンや、イトーヨーカドーなどがあり、碁盤の目のようにキッチリ区画整理されており、いかにも新興住宅街の最寄り駅といった雰囲気であった

 

旧日光街道は、反対側の東口を横切っていて、駅のこちら側に降り立つと、いきなりローカルで垢抜けない、いかにも埼玉県の場末といった雰囲気の町が目に入る

 

 

どちらが好ましい風景なのかは言うまでもない。東口で降りて、そのまま真っ直ぐ日光街道に向かうのはおもしろくないので、左手に見える昭和な雰囲気の商店街に向かった

 

またしても定休日攻撃なのか、もしくは、やはり寂れているのか、商店街の体裁は整っているけれど、開いている店はわずかしかなく、通行人もまばらで、どう見ても終わっているような商店街に入ったとたんに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなり出桁造りの商家があって驚く。このシリーズを長く続けていると桶川のように、駅前から昭和初期のような風景。という町もあるが、駅を出て5分以内に、出桁造り商家に出くわすのは珍しい

 

 

入り口のドアを見ると、どうやら現役の工務店らしいので、店舗の改装などはお手のもの。すっかり外板が新建材にされてしまっており、風情のカケラもなかった

 

おそらくオリジナルの下見板張りなどでは、冷暖房などが効率的に使用できないからであろうが、もう少し昔の雰囲気を残してもバチは当たらないと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

出桁造り商家の数軒隣には、入り口が閉ざされた「粕壁うまいもの横丁」という飲み屋街らしきものがあった

 

どうやら寂れているのは、このあたりが飲み屋街だから、まだ陽が高い時間なので、営業時間外というのが大きいのかもしれない

 

 

ちなみに、粕壁というのは春日部の古い表記で、江戸時代の文献には、もれなくそう記されている。おそらく漢字のイメージが悪いので、近年になって字面のよい春日部に変更したのではないだろうか(僕は正直、粕壁のほうが好きだ)

 

ところで、この粕壁うまいもの横丁の奥に、ちょっと気になる建物が見えるが、入り口が閉まっていたから、横から撮影する

 

 

 

 

 

 

 

 

おおっ、ショボい入り口からは想像もつかない、かなり立派な入母屋屋根の建物が!

 

看板には大きく「下や」と記されており高級な料理屋のように見えた。よく見ると、この建物の屋根も「微むくり屋根」になっている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのすぐ先、向かい側にも出桁造り商家を、戦後になって無理やり看板建築にしたような物件を見つけた

 

 

こちらの建物は、通りに面している部分は平入の造りで、それとは90度ズレたかたちで平屋の主屋が連結されている

 

この主屋が連結した造りは、主屋が平屋の平入の場合は、片流れの様式になるが、互い違いのものは少ない。どちらも埼玉県では主流とも言ってよい構造だ

 

 

それにしても気になるのが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せっかく立派な主屋なのに、あまりにも手抜きな看板建築部分で、もう少しなんとかならなかったのかよ!

 

と、脳内でツッコミを入れてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もつやき やきとり」と記されたテキトーな造りの出桁造り看板建築の裏手にも、こんな戦前物件と思われる古民家があったが、その周囲は、ほとんどすべてが更地にされていた

 

ということは、この春日部の古い町も例によって、あまりやる意味のない無駄な区画整理によって、近い将来、消滅する運命にあるのだろう

 

 

はっきり言うが、こよような古くからの町の成り立ちを無視して、デベロッパーと称するハゲ鷹どもが行う再開発が、真に住民のためになった例を見たことがない

 

たしかに大型ショッピングモールなどが出来て便利にはなるが、それは後から町に移転してきたもののための利便性であり、古くから町に根付いていた者にとっては、“生活を破壊されるだけ”という結果になることは、はじめから明らかであろう

 

もちろん、地主以外の地元民に落ちる金などはなく、大型ショッピングモールに吸い込まれてしまうだけで、商店街は消滅するというオチがつく

 

 

――などと憤っていると、何者かの視線を感じたから振り向いてみると

 

 

 

 

 

 

 


おや、君だったのか。「遊びましょう」と、誘いをかけたけれど「知らんわ」と、冷たい態度で逃走されてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

その先で駅前から続く商店街は、別の商店街と丁字に交わってたが、左側を見ると、どうやったらこんなにドアがズタズタになるのか理解に苦しむような「タカラビル」という廃墟があった

 

そしてタカラビルの先で交わっていた商店街に入ると、その商店街こそ“春日部の核心部”と言っても過言ではない濃厚な町だとは、このときの僕は、まだ知るよしもなかったのである

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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