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🍞 ①消えゆく駅前風景に寸前で間に合う

 

 

 

 

久しぶりに《埼玉県の宿場町》シリーズである

 

このシリーズでは、普段馴染みがある埼玉県の西側の宿場町は、ほぼ網羅(秩父という大物は残っているが)してしまったので、あまり馴染みのない中山道や日光街道が通っている東部の取材がメインになっている

 

 

今回訪れたのも、そんな東部の町である桶川だ。越谷とか杉戸(東武動物公園)のときも書いたが、普段は西武池袋、新宿線、東武東上線沿線がベースなので、埼玉県のこちら側を訪れることはほとんどない

 

しかし、この桶川は何度か訪れている。といっても駅付近にはまったく近づいてはおらず、訪ねたのは河川敷にある「桶川サーキット」だ。ここで知り合いが主催するジムカーナの走行会や、桶川サーキットで練習走行をする友人に付き合ったからだ

 

 

サーキットの走行会では、友人の漫画家えのあきらと、その友人たちが走ったのであるが、そのとき初心者の友人Mが、ヤマハのRZR(4L3)で走行中、第一コーナーにオーバースピードで突っ込んでクラッシュした

 

大丈夫か? と、みんなで心配するが、当人は「あんまり痛くないからベンチで休んでるよ」と、呑気に構えていたが、20~30分もすると、真っ青な顔で「やっぱり、ちょっと痛いかも」

 

 

などと言いだした。事故直後は大量のアドレナリンが出ていたから痛みを感じなかったが、落ち着いたので急に痛みだしたのだ

 

結局、僕らだけ走行会を中座。携帯で検索して、いちばん近くで受け入れてくれる病院を探したが休日のため、ようやく見つけたのは所沢に近い、埼玉県の反対側に近い病院しかなかった

 

 

待合室で病室から出てきたMに「で、どんな様子なんだ?」と、聞いたら、呆れたことに鎖骨が二ヶ所ポキッと折れて3つになっていたそうだ

 

「お前なー、鎖骨がバラバラになったら気づけよ!」と、みんなでツッコミを入れたことは言うまでもない

 

 

という思い出が桶川にはあるが、もちろん内容とは一切関係がない

 

 

 

 

 

 

 

 

旧中山道が通る桶川宿は、駅の地味な側にある。ちなみに駅の反対側は、再開発されており、駅に直結したショッピングモールがあり、無個性でツマラナイ風景だ

 

しかし中山道側の駅前が、じつに懐かしい味わい深い風景で、激しいノスタルジーがこみあげる

 

 

駅前なのに、やけに狭い道。そして昔からの商店が並んでいるこんな雰囲気の町並みは、かつて西武池袋線や、東武東上線の駅前ではよく見られた風景であったが、今では再開発がすすんで、ほとんど壊滅してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにしろ改札を出て階段を降りると、いきなり目に飛び込んでくるのは、こんなローカルなタクシー会社と燃料などを扱う「宮彦商店」という見るからに老舗なのだ

 

そして、その先には、ホームから見て愕然としたこんな物件が!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなりこれが桶川駅のホームから見えた最初の建物なのだから、これは期待するなというのが無理だろう

 

1階の店舗というか事務所のような部分は、洋館のような下見板張りの、洋風の凝った造りなのに、住居部分と思われる2階は、見事な和風建築である

 

 

どうやら木材店のようで、板塀やすべて閉ざされた雨戸の木目が瞠目するほど美しい。おそらく商品の見本も兼ねているのだろう。それにしても素晴らしい建物で、感動のあまり、しばらくまじまじと眺めてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物と広い搬入路を挟んだ大きな倉庫も戦前の建物だと思われる

 

このように、出だしから素晴らしい建物と出合い、嫌がおうにも期待が高まるが、ひとつ心配なのが空模様だ。写真を見てもらえばわかるように、この日は朝から雨が降ったりやんだりしているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

角地にあるタクシー会社からはじまる駅前通りは、まるで昭和30年代に迷いこんだような町並みが続いていた

 

タクシー会社、タバコ屋ときて、その先、最初の交差点にある「モンテ ヤマザキ」というパン屋は、店内がカラッポになっており、江の電の江の島駅前にあった廃業商家と同様に私設駐輪場になっていた

 

 

どうやら腰越散策の記事で述べたように、寂れた郊外の町では駅前の廃業商家は駐輪場になる。という法則は、この桶川にも当てはまるようだ

 

それにしても気になったのが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほとんど更地ばかりになってしまった駅前の風景である

 

これはただ事ではないと思って調べると、思ったとおり昭和の雰囲気を濃厚に残した駅前の商店街を根こそぎとっ払って、駅前広場と広い駅前通りを造るため大規模な再開発が進行中であった

 

 

はたして本当に必要なのか、甚だ怪しい再開発というのは、このシリーズ全般に共通している

 

やはり埼玉県というのは、田中角栄の亡霊を引きずった土建政治が罷りとおる未開の土地のようだ

 

 

しかし広大な更地になったおかげで、本来なら見えないはずの古い建物の裏側が見られるのが興味深い

 

タクシー会社の向かいの看板建築は、戦前型の寄棟造りの古民家を改装したもののようだし、緑色のトタン屋根の平屋商家は、寄棟の凝った造りからして、戦後の安直なバラックではなく、こちらも戦前物件のようだ

 

 

それにしても、なかなか本題にたどり着かないのは当ブログの特徴であるが、この桶川も中山道までゆくまで、まだ時間がかかりそうな予感をひしひしと感じる

 

 

ということで桶川散策は、いきなり濃厚な物件が犇めく好調なスタートを切った。次回は、さらに濃厚な駅前周辺を……

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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