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🍆 ③旧中山道に残る古民家を見にゆく
茄子にとくに意味はない
(写真は再掲載)
前回の記事の最後に写真を掲載したこの「八百市」
ここから江戸方面に向かって中山道を歩いてみる。すると2分も歩かないうちに、こんな見事な古民家が目に入った
「ようこそ蕨宿へ!」という幟が出ているこちらの建物は、現在は民族資料館のようになっているが、この散策も例によって夕方なので、当然閉まっていた
まあ、仮に早い時間だったとしても、今はコロナ騒ぎで開いている資料館などは、日本のどこにもあるまい。この取材は4月の頭だったので、騒ぎが大袈裟になる前ぐらいのことで、僕のブログにしては、あまりタイムラグがないほうだ
取材したネタがもっともストックされていたころは、その月のうちに記事にするなどは夢のまた夢。3ヶ月も前の出来事を記事にしていた。あまりにもストックがたまってしまったので、2ヶ月ほど取材を中止したおかげで、現在未発表の取材は、あと4編ほどである
しかし緊急事態宣言の延期などにより、ストックを使いきってしまう可能性すら出てきて、いい加減ウンザリだ
もっともこのシリーズの取材は、誰とも接触しないし、どこにも立ち寄らないので、こんな時機でも取材可能だが……
ちなみにこのときは、例外的にラーメン屋に入ったが、通常は店に立ち寄ることはなく人間と接触することは一度もない。見事に三密を避けたプログラムである
というか、取材するのは、そもそも寂れた町が多いから、あまりひともいない
民族資料館のすぐ先に、もう1棟、見事な古民家が残っていた
出桁造りの典型的な商家のスタイルだが、店舗としてはすでに役目を終えているようで、看板などは出ていなかった
それにしてもマンションだらけの背景がシュールだ
僕が撮影しているとガラッと玄関が開いて、ホウキを持ったおじさんが出てきて店の前を掃除していた。おそらく商売をしていた頃からの習慣なのだろう
古民家の向かい側には、高札場を模した宿場町の案内図が掲示されていた
そういえば蕨宿は旧中山道では珍しく歩道を整備したり、凝った剪定をした並木があったりして「宿場町」ということを売りにしている
たしかに浦和や大宮よりも古民家は残っているが、わざわざ観光客を呼べるほどではないところが苦しい
蕨中央商店街から旧中山道に出て、江戸方面に向かったが目にした古民家は資料館と先ほどの元商家だけでは、やはり観光客は呼べまい……
などと考えながら歩いていると、ようやく次の物件を見つけた
こちらは武州では珍しい妻入の古民家で、看板を見ると現在は「北村画廊」という店のようだが、なんとなく廃業している雰囲気だった
旧中山道は、その先で大きく湾曲しており、いかにも街道といった風情を見せる。新しい建物は、脳内フィルタリングで見なかったことにする
そのカーブの曲がり口に、やけに大きな屋根の建物が見える。構造上、こんな建物は神社仏閣か古民家だけなので、ちょっと期待して近くまでゆくと
銅板葺きの屋根を持つ堂々たる商家の造り。しかし、往時の店舗部分は、ものの見事に高級住宅街にある現在の邸宅のように改装されてしまっていた
こちらの物件は、改装のセンスが悪くない(よくもないが)ので、魔改造ではなくまさにリフォームといった感じに仕上がっているが、惜しむらくは現代的すぎる
これほどの建物になると、現在では入手不可能の大黒柱や梁が使われているため、今の建物などの数倍は強度が高いので、取り壊してしまうより、こうして活かすのが正解であろう
豪邸化した出桁造り商家の裏手には、安普請の物置か町工場のような建物があった。こちらもたまらん風情である
しかし、出桁造り商家のすぐに先で……
旧中山道は、新しい中山道に合流してしまうので、見所はなさそうだし引き返して、今度は京方面の町並みを見にゆくことにした
この写真の右側に見えるクリーニング店が蕨中央商店街、まっすぐすすむと浦和、大宮つまり京方面である
そちらに向かって足をすすめると
「鯨井商店」という漬け物屋があったけれど、こちらも定休日のようだ。この頃の散策は土日は避けていたはずなのに、やはり定休日を引いてしまうのはなぜだろう
こちらの建物も2階の部分が低く造られた街道筋にはよくある様式だが、八百市よりも重厚な感じの造りである
鯨井商店の先には、さして見るべきほどの物件はなく旧中山道は、すぐに広い道路に分断されていた
その交差点に、古民家のうどん屋があり、一瞬テンションが上がるけれど、よく見ると古民家風に造られた新しい建物のようた
交差点をわたると、それまでかろうじて保っていた商店街的な空気が、いきなり寂れた雰囲気にかわった
交差点のすぐ先には「松村ネクタイ店」という、おそろしく専門的な店があったが、すでに営業はしていないような気配が濃厚である。それにしても蕨という土地で、ネクタイ専門店をやっても需要があるのかどうか疑問だ
しかし、この写真ですでにネタバレになっているが、蕨宿の本領は、この寂れたあたりからはじまるのだ!
続く
†PIAS†
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