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🚇 昭和が残る荻窪の夜を散策した・前編

 

 

 

 

 

荻窪は隣の西荻窪、さらに隣の吉祥寺と並んで学生時代からお世話になっている町である

 

その当時、この町に出向く用向きは古書店であった。荻窪は井伏鱒二や、弁士の徳川夢声が住んでいた

 

 

そのことから、本郷や馬込などと並ぶ文士村だったせいなのか、中央線沿線のなかでも古書店がかなりあった、とりわけ文化的な匂いがする町と言えよう(太宰が住んだ三鷹は、そうでもないのが不思議である)

 

 

そのような町には、たいてい古書店や喫茶店(昔ながらのちょっと凝った)などがあり、なんとなく文化的な雰囲気が漂う。今はなくなってしまったが、昔は馬込界隈にもよい古書店があり、よく通った

 

荻窪にはまだ古書店は残っており、そのうちの1軒「岩森書店」に、以前から集めていた徳川夢声の代表的な作品(対談集)の「問答有用」の効き目(古書業界用語で、シリーズ最重要アイテム)である私家版の11巻、12巻が入荷したときは興奮した

 

 

そのとき入荷したのは50年も前の本なのに、一度も読まれた形跡がなく、しかも20冊以上が同時に入荷したので、おそらく荻窪に居を構えていた夢声の遺族が処分したものと思われる

 

そのおかげで、学生時代から10年以上集めていた問答有用が、ようやくコンプリートできた

 

 

岩森書店の美くしい娘さんが、少し先に開いたカフェのシフォンケーキは絶品で、それ目当てによく通ったものである

 

 

という余談からはじめたが、この散策を行ったのはこの前まで連載していた「高崎を縦横無尽に歩く」記事よりもさらに前のことだから、もう40日以上前の話だ

 

なぜ荻窪に出掛けたかというと……

 

 

 

 

 

 

 

(写真は再掲載)

 

 

井荻の修理店に預けていた旧旧チャーチのグラフトンの修理が終わったので、それをとりに行ったついでである

 

とりに行ったのは、夜勤明けでひと眠りしてあとだったから、あたりはすでに真っ暗。せっかくの半休なので、どこかで遊びたかったが、井荻がある西武新宿線沿線には、とくに行きたいところがなく、どうしようかと迷っていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど荻窪行きのバスが来たので、それに飛び乗った

 

写真は環八から井荻駅方面を撮影したもので、画面右上の明るいところが井荻駅前で、修理店は駅の目の前、バス停はその向かいにある。写真には、ちょうど荻窪行きのバスが写っていた

 

 

10分ほど待って次のバスで荻窪へ

 

 

 

 

 

 

 

 

荻窪に行ったら何を差し置いても見にゆかねばならない物件があるので、それを見るためブックオフの先の教会通りという、狭い路地の商店街に入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刻も早く有形文化財に指定して保護すべき、昭和初期のまま時を止めたクリーニング店である

 

 

 

 

 

 

 

 

洒落た薄いブルーに塗装された下見板張りの2階の壁には、出てもどこにも行けないトマソンなドアがついている

 

屋根の上に急ごしらえの物干し場があることから、昔はこの位置にあったものを、屋上に移してしまったため、トマソン化したものだと思われる

 

 

教会通りは、この先で屈曲したあと左に直角に曲がると終わってしまう短い商店街なので、どうせ暇だし今まで曲がったことのなかった路地裏に入ってみた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとそんな路地裏にも古い建物が残っていた。こちらはさすがに戦前物件ではなく戦後型であろう

 

 

なかでもギョッとしたのは、この生け垣に囲まれた廃屋である

 

こちらの建物の周囲の生け垣……だと思っていたのは、よく見るとじつは生け垣ではなく、単に周囲に巡らせた金属製の柵に、傍若無人にヘクソカズラが絡みつき、それが枯れたものだったのだ

 

恐るべしヘクソカズラ!

 

 

ちなみに、肉眼で確認できなかった真っ暗な路地裏も、最新テクノロジーを駆使したソニーRX 100だと平気で写るからスゴい。帰宅してデータを見たら、ISO感度は2500~5000だった 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘクソカズラ廃屋の路地を抜けると教会通りからかなり離れた路地に出た

 

こちらの通りは、ついこないだの荻窪の記事で紹介したからはしょって、青梅街道の手前の右側にある細い路地を抜ける

 

 

 

 

 

 

 

 

路地の途中にある謎の人形。ほとんど誰も通らない暗い夜道なので、かなり不気味である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

路地を抜けて青梅街道に出た。正面に見えているのは、闇市あがりの有名な商店街だ

 

下北沢駅前マーケットが更地にされ、立石呑んべ横丁も解体された今、隣の吉祥寺にあるハモニカ横丁と並ぶ都内では貴重な戦後の遺産である

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらの片側アーケードは、春木屋を筆頭に荻窪ラーメンで知られているが、僕は学生時代に一度食べただけで、どんな味だったのかほとんど記憶にない

 

そのころは、第二次家系マイブームだったので、この手の東京あっさりラーメンに、あまり関心がなかったからだ

 

 

その後、第二次博多豚骨マイブーム、ダブルスープ濃厚ラーメン、つけ麺、まぜそばマイブームを経て、第三次家系マイブームが。そしてここ最近は、第三次東京あっさりラーメンがマイブームなので、今食べたらまた違う印象であろう

 

などというクダラナイ話はどうでもよく、この商店街の本領は青梅街道に面したこのようなメジャー物件ではなく、奥に入ったところにある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有名なラーメン屋の少し先から商店街の奥に足を踏み入れると、新しく化粧直しをしたような表側とは、ガラッと印象が一変して、立石呑んべ横丁や、三軒茶屋のディープ飲み屋街のような、見るからに闇市から続いていそうなコアな雰囲気にかわる

 

 

なにげなく横を見たら驚いたことに現役で使用されている井戸があった

 

ここは荻窪駅前から百メートルも離れていない場所なのに、よく手入れされた井戸の脇には、掃除用のモップまで置かれ大切にされているようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで、次回はこの荻窪駅の真ん前にある昭和、それも戦後間もなくの都市遺産を見てみよう

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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