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🐘 ①東武動物公園駅に降り立つ   

 

 

 

 

 

さて久しぶりに「埼玉県の宿場町」シリーズである

 

今回は、前々回のシリーズにて取り上げた越谷から日光道中(街道)を北上した宿場町の「杉戸宿」を訪ねた

 

 

日光道中は、江戸と日光を結んだ街道で、千住、草加、越谷、粕壁(春日部)、杉戸……と、続くが、なぜ春日部を飛ばしたかというと、春日部は大きな町なので都市化が激しく、あまり見るべき古民家が残っていないからだ(ないわけではないが、ほかの宿場と比較して)

 

 

大都会になってしまった春日部の次の宿場町である杉戸宿の最寄駅、東武動物公園駅の東口を降りると、近代的なビルが連なる隣の春日部とは一転、いきなり場末の雰囲気が濃厚に漂う

 

 

それにしても、伝統ある杉戸宿があるのに、東武動物公園という駅名に、なんとなく胡散臭さを感じたので調べてみると、案の定かつては「杉戸駅」という名称だったのを、1981年に東武鉄道が、自前の遊戯施設の名称である東武動物公園に変えてしまったからだ

 

たとえるならば、これは浦安駅を東京ディズニー○ンド駅にしてしまうようなもので、けしからん話である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがメインの東口駅前だ。駅の改札口の真ん前にある看板建築の店が廃業して、店舗があった部分が、そっくりなくなり自転車置き場にされている

 

――と、これを見ただけで、この駅の“終わってる”具合がわかってもらえると思う。駅前にはドトールはあるが、マックもなければ牛丼屋もないし、ドラッグストアすらなく駅前にあるコンビニは、山崎デイリーストアである

 

 

これは逆に言うと、昔からの商店街が残っている可能性がある……という期待が持てるので、個人的にはよい傾向だ

 

ピンク色の看板建築「リカーショップ新川」は、駅前にあるのに、建物本体を見ると戦前物件か?

 

 

 

 

 

 

 

 

メインストリートの一本横の通りは、アーシーな雰囲気漂うこんな素敵な飲食街であった

 

なんだろうこの強烈な場末感は。まるで北関東の温泉の歓楽街のような寂れかた。「居酒屋 夢語り」、「グルメ&リカー ざくろ」など、気になる店が目白押しだ。夜になると酔客で賑わうのだろう

 

 

この素敵なアーチの突き当たりには、看板に出ているパチンコ屋の「杉戸会館」が鎮座していたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

あらら、これ、どう見ても廃墟だよね。パチンコ屋がこの有り様とは、すこいな東武動物公園駅

 

駅に到着するとき線路沿いにも蠱惑的な木造家屋が目に入ったので、そちらも見に行ってみた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると明らかに戦前物件の商家が並んでいたが、どの建物にも看板などは見当たらず営業している気配はなかった

 

 

そのとき、ふと街灯を見上げると、丸い傘に裸電球という首都圏では絶滅したものと思われるヴィンテージなアイテムが目に入った

 

近ごろは下町のラスボスみたいな墨田区京島ですら、LED電球の街灯なのに、この杉戸では昭和の風景が残っており、またしても期待が高まる

 

 

日光道中の杉戸宿は、駅の東口を降りて元荒川を越えてかなり歩いた場所にある。したがって駅のメインの商店街は、必然的に東武動物公園駅と日光道中を結ぶ道沿いにある

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで直接目的地に行ってしまうのはシロウトだ。散策のプロは、こうした場合、念のためその周囲も見るのがセオリーなので、東武動物公園がある駅の反対側に向かう

 

すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

踏み切りをわたったとたんに、こんな魅力的な戦前物件が。シャッターは閉まっているが、積み上げられたビールケースから酒屋で間違いないだろう

 

店舗は新しくなっているが、倉庫と思われる寄棟造りの木造家屋は、よく見ると雨樋が緑青を吹いた銅製だ

 

 

この通りは、百間通りという商店街のようだが、予想どおりほとんどの店が廃業してしまっているようで、Googleマップを見ると残っている店舗、この酒屋を含めてクリーニング店や美容室、マーケットなど十軒に満たないようだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明らかに廃業した商家を住居仕様に改装した看板建築があった

 

造りからすると居酒屋か小料理屋だったような雰囲気で、建造されたのは昭和30~40年代といった感じである

 

 

 

 

 

 

 

 

その先には小川町タイプの古い日本家屋に、平屋の看板建築をくっつけた物件があったが、こちらも営業はやめてしまっているように見える

 

建物の横を見ると下見板張りの外壁が見えるので、出桁造り商家である可能性があるが、屋根の造りを見ると微妙な気が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから5分も行かないうちに、こんな廃屋があった。かすれた文字から「ピノキオ玩具店」というオモチャ屋だったと思われる

 

 

看板部分のブリキの波板の錆びっぷりや、色褪せて破れたストライプの軒先テントが、なんとも枯れた風情を醸していた

 

可愛く描かれたはずのピノキオは、すっかり退色してしまい、悪夢を誘うような不気味なキャラに変貌していた。これを見たからには、今晩あなたの枕元に立つかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピノキオ玩具店の並びは平屋の住宅だが、こちらも絵に描いたような廃屋で、植物に覆いつくされて自然に還ろうとしていた

 

この先は、店もなさそうだったので、ようやく日光道中に向かうことにした

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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