****
当ブログでは何度も大田区の散策記事を掲載しているが、田園調布界隈と池上、洗足流れと呼ばれる23区内では珍しい開渠を紹介したことを例外に、ほとんどが大森から蒲田、森ヶ崎付近と沿岸地域ばかりであった
これには、れっきとした理由がある。というのも大田区の内陸部は、田園調布駅前に出桁造りの酒屋があるぐらいで、建物的には、あまり
見所がないのだ
しかし、昔住んでいたとはいえ、上記の場所以外の大田区のすべてを知っているわけではなく、たまに利用している池上線でも、降りたことがない駅があったりするので、これは僕の偏見の可能性が高い
で、つい最近、そんな雪が谷大塚付近を記事にしたが、今回訪れたのは……
東急池上線・雪が谷大塚駅の隣、石川台駅の商店街「希望ヶ丘商店街」だ
しかし、このあたりに「希望が丘」という丘があるという話は聞いたことがない。おそらく夕陽ヶ丘とかユーカリヶ丘のように、漠然としたイメージで、なんとなく名付けたのに違いない
希望が丘商店街は、シャッター街にはなっていないが、かといって、戸越銀座や砂町銀座のように、大にぎわいというわけでもない。どこの私鉄沿線にも見られる地元のひとが利用するごく当たり前の商店街であった
並んでいる建物を見ると、昭和30~50年代ごろに造られた戦後型看板建築ばかりで、予想したとおり産業道路から森ヶ崎界隈のような、戦前物件は皆無であった
調べてみると、こちらの商店街が組織化されたのは昭和30年代の後半のようで、やはり古い物件は期待できない
上の写真の建物は、下がレモンイエローなところが素敵だが、店舗名が外されており廃業しているようだ。路地裏にあった美容室は、紅白の軒先テントがいい感じ
よく見るとレモンイエローの一部にトマソンらしきものが!
おそらく塗装したとき、この場所に自販機があったので、ここだけレモンイエローにできなかったのではないだろうか? つまり人為的不可抗力型トマソンとでも言うべきか?
この商店街は、最寄りの駅は東急池上線の石川台であるが、住所は隣駅の駅名にもなっている雪ヶ谷(正確には東雪谷)のようで、軒先テントの文字のフォントがかわいい「アンデス」は、東雪ヶ谷店になっていた
このあたりに希望が丘という丘はないはずだが、少なくとも地名に「丘」がついていることは、間違ってはいない
というのも、石川台駅方面からこの商店街を南東に向かって歩くと、常に左側に……
このような、けっこうキツイ坂道があるのだ
この坂道は、商店街のすぐ横を平行して流れているこちらの……
呑川のつくり出した河岸段丘であろう
かつて暴れ川として知られた呑川は、コンクリート三面護岸の直線化された人工的な排水路にされたあげく、ほとんど水が枯れてしまい、現在は、高度処理水が流されている
つまり、川のように見える川のレプリカなのだ
それを清流復活などと標榜するのは、詐欺とまでは言わないが、欺瞞に満ちた行為と言えるが、水が流れていなければ、あまりにも殺伐とした風景になってしまうだろう
しかし、呑川をこんな姿にしたのは、我が国の土建行政だということを忘れてはなるまい
ちょっと古そうな鮮魚店があったが希望が丘商店街は、300メートルも行かないうちに、住宅街にフェードアウトしてゆく
ここでも床屋は、しぶとく生き残っていた。やはりブロ友さんのご指摘どおり、オヤジたちの社交場になっているのだろうか
こちらもサバイバル組の常連、クリーニング店を最後に、希望が丘商店街は完全に住宅街に飲み込まれてしまった
商店街が終わって、しばらく歩いてゆくと、唐突に老舗っぽい鮮魚店があった。周囲にほかの店はなく、かなりの違和感を感じるが、この店も老舗っぽいので、上等な魚を仕入れて常連の心をつかんでいるに違いない
その後、希望が丘商店街から続く道を、なんとなく歩いていたら、しばらくすると……
見覚えのある道祖神に出くわした
これは洗足池から流れ出した「洗足流れ」の暗渠部分ではないか。トラ柄のカーブミラーの後ろに見えている、細い遊歩道のようなものが、洗足流れの流路だ
今回は、暗渠の追求ではないので、以前から気になっていた洗足流れの奥からはじまる上池上商店街を散策してみる
この商店街は、近くに駅もなければ門前町を形成するような有名な神社仏閣もなく、おまけに街道筋でもない、なぜ成立したのか、いまひとつ謎の商店街である
ということで……続く。今回はマニアックかつ地味だなあ。誰もついてこないかもしれん
†PIAS†
****