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いよいよ今回の築地散策のメインである築地6丁目、7丁目界隈に足を踏み入れる

 

このあたりは、まだ学生のころ築地に遊びにゆくついでに散策したことがある

 

当時は現在ほど古民家に興味がなかった(といっても下町残照、昭和20年東京地図などは、しっかり買っている)ので、写真を撮影していなかったが、銅板葺き看板建築がズラリと並んだ風景は、今でも目に焼き付いている

 

 

しかし、そんな典型的な東京の下町風景は、今、まさに危機に瀕していた

 

 

 

 

 

 

 

 

凝ったファサードのデザインの戦前型の看板建築の隣の建物は、すでに解体されて、台東区でもさんざん見てきた、建物の横が丸見えの無惨な風景がここにも

 

再開発が激しい東京では、すっかりお馴染みの光景である

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは、すっかり開発が終わり、マンションだらけの味気ない風景に変わった通りだが、少し先の十字路に、古い看板建築が見えているので、そちらのほうに向かうと

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと1軒だけ古い建物が残っていた

 

いろいろ検索して、このあたりの昔の姿を探していたら「ぼくの近代建築」というブログを見つけた。ブログ主さんは、東京の昔の姿を詳細に写真におさめていて、それを見ると、かつてはこのあたりにも、いかにも下町らしい風景が続いていたことがわかる

 

 

それらの写真は、僕がうろついていた時代に近い時期に撮影されたものが多く、記憶のなかにある風景そのものであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシーな薄いグリーンに塗装された錆びついたブリキの波板が渋い

 

こちらも廃業してしまっているようで、下町方面ではお馴染みの選挙ポスターだらけにされていた。あっ、あと犬の探偵のポスターね

 

 

以前、気になって、こういう浮気や信用調査の探偵って、どんだけ取るんだろう、と調べてみたら最低価格でも1日5万以上、相場で10万ぐらいであることがわかった

 

うーん、ボロい商売だなあ。と、ちょっと感心したが、調査員の人件費が高いのだろう。ちなみに、必要経費は、もちろん別途請求だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再開発されてマンションなどに侵食されたが、まだわずかに古い建物が残る通りは、台東区の小島や鳥越あたりの風景を想起させる

 

古民家の密度に関しては、さすがに都心部に近いこちらは、かなり薄く、小島や鳥越、墨田区の京島には、はるかに及ばない。が、その先には、こんなアメージングな物件が!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おおおっ! っと、思わず声が出るような素晴らしい銅板葺き看板建築である

 

よく見ると、ファサードには違い羽根のような模様があり、戸袋は菱形というか、交差する斜線の凝った造りになっている

 

 

 

 

 

 

 

 

つながっている表通りに近い部分の戸袋は、さらに凝ったデザインで、当時の職人の見事な仕事ぶりが伝わる

 

しかし、不可解なのは、2階部分が見事に緑青を吹いた銅板なのに、1階の店舗の横の部分が、なぜか錆び錆びなことだろう。1階部分だけブリキで造られているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ササヤ」がどんな商売をしていたのか知らないが、どうやら廃業してしまっているようで、なんとなく澱んだ空気が漂っていた

 

前記の「ぼくの近代建築」というブログを見たら、驚いたことに、まだ営業してるころの写真(平成2年)の写真が掲載されていた。それを見ると「ササヤ」は化粧品店、駐車禁止と書いてあるシャッターのあたりは、魚秀という鮮魚店だったようだ

 

 

この看板建築の隣には、出桁造り商家が残っていたが、魔改造されていて古い建物には見えず、その隣にあった東京の古い商家では珍しい妻入りの古民家は、跡形もなくなっていた

 

 

しかし、並びには、まだ少し古い建物が残っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらも銅板葺きの看板建築、そして、出桁造りの店舗に、無理やり看板建築をくっつけたようにしか見えない不思議な構造の建物が

 

この写真の左側には、ほんの数年前までモルタル3階建ての見事な看板建築が残っていたようだが、マンションに変わっていた

 

 

しかし本命は、この向かい側にあるこの物件だろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これには思わず絶句した。文字通りあまりの見事さに言葉を失う

 

なんという素晴らしい建物だろう。さらに素晴らしいのは、この出桁造りの商家から路地裏沿いに、ワンブロック丸々町並みが残っていることで、再開発ラッシュの都内では、きわめて貴重な一角である

 

 

このまま放置しておけば、いずれくだらない再開発で失われてしまう恐れがあるので、早急な文化財指定と保護が望まれる

 

 

というところで、続く。次回はさらにDEEPな築地にダイブする

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

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