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ちょっと用事があって南武線と京王線が交差する分倍河原に行ってきた

 

帰りも同じ駅から電車に乗るのは、面白味に欠けるので、たいした距離ではないし、隣の府中本町まで歩くことにしたが、分倍河原から甲州街道を使ってしまうと、ついこないだの「府中郷土の森」の記事と内容がかぶってしまう

 

 

そこで、甲州街道を使わず、今まで通ったことのない道を使って、府中まで行ってみることにした

 

なにもチベットの奥地や、南米のパタゴニアに行けば、それすなわち冒険というわけではない。いくら世界の果てのウィルダネスに行っても、ガイドがついたり、ツアーが組まれていたりしたら、それは単なる予定調和の観光旅行である

 

 

したがって、自宅から20キロも離れていない府中でも、なにがあるのか予備知識がまったくなく、一度も通ったことのない道をゆくことのほうが、より本来の意味の冒険に近いと言えよう

 

という屁理屈はともかく、とりあえず話をすすめよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分倍河原には、府中用水の新田川跡地の緑道に、新田義貞の分倍河原の戦いの記念碑が建っている。見に行ってみたが、さしておもしろいものではなく「ふーん」と、シャッターも切らず、その場をあとにした

 

このあたりは、縦横無尽に府中用水関係の水路が通っていたので、いたるところに、緑道や暗渠がある

 

 

市街地から離れると、いまだに農業用水として現役の支流もたくさんあるが、このあたりでは見かけない、と、思っていたら

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな空堀があった。この場所で、ふたつの分水が合流していたようだ

 

季節的に農閑期だから通水されていないのか、それともこの近辺には農地が残っていないからなのかは、わからないが、なんとなくテンションが上がる光景である

 

 

帰宅してからネットで新田川を検索したら、水が流れている写真を見つけたので、春になれば、ちゃんと流れているかもしれない

 

 

一時期、真面目に府中用水を歩こうかと思って、国立市の郷土資料館で調べてみたが、真面目に追求したら、ライフワークのレベルであることがわかり、あっさり諦めた

 

 

分水の近くには、見るからに昔からの農家があったが、周りはすべて住宅街で、畑はどこにも見当たらなかった

 

分倍河原の駅は、この農家の先の交差点を右に曲がったらすぐの場所である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分倍河原駅から甲州街道に出ると、こんなレトロな酒屋があった

 

最初にこの建物の看板を見たときは「SAKAYA」なんて、やけに直球な店名だなぁ、と思ったが、よく見ると「SAKAYA」の前に赤い○がついているではないか

 

 

この○は丸ではなくもしかして「O」つまりローマ字のオー。ということは、サカヤではなく、オーサカヤというのが正解であろう

 

 

分倍河原駅のすぐ北側を甲州街道が通っており、このままオーサカヤの前を右にゆけば、高札場と中久本店のある交差点に出るが……

 

前おきで述べたとおり、甲州街道は使わない予定なので、この次の路地で左に曲がり、甲州街道の一本裏道にゆくことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

細い路地のわりには、立派な看板建築の精米店があった

 

 

府中方面を目指し、精米店の先を右に曲がる。数え切れないぐらい府中は訪れているが、この道を通るのは初めてなので、ちょっとわくわくするぞ

 

やっと冒険らしくなってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

今度はパンと食料品「清水屋」という老舗っぽい店があった

 

 

せっかく冒険気分を満喫できると思ったら……

 

知らない道てはあるが、はるか前方に、府中の繁華街のビル群が見えてしまい、これでは道に迷うことも叶わない。都内で冒険するのは、かなり難易度の高いミッションのようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

その先に、大谷石の土蔵を構えた民家があった。住所表示版によると、このあたりは宮西町というらしい

 

よく見ると、塀の右側部分だけやたらとカッコいい

 

 

 

 

 

 

 

 

などと言っているうちに、前回取材した鮮魚店に出てしまった。これで知らない町を……というコンセプトは、根底から崩れ、、、、

 

たら困るので、交差点をわたって、一度も曲がったことがない路地裏に入った。冒険続行である

 

 

 

 

 

 

 

 

周りがほとんどビルのなか、かなり古そうな平屋の民家があった

 

 

よくぞ今まで残っていたものだと感心する。このあたりはバブル期に地上げがあったはずだが、よほど強固な意思の持ち主なのであろう

 

ところでこのタブレットの変換「じあげ」と打つと「字上げ」になりやがる。ちなみに、より正確に「ぢあげ」と打った場合は「痔上げ」と出た。まったく意味不明である。プログラムしたやつは、大馬鹿だな

 

 

民家の先を右に。大國魂神社の参道方面である

 

すると、すぐに突き当たりになったので、目的地の府中本町とは、まったくの反対方向であるが、しかたなく左に曲がった

 

このとき、なぜ目的地のほうに行かなかったかといえば……

 

 

 

 

 

 

 

この小料理「ひさの屋」という看板(あと洗濯物)と……

 

 

 

 

 

 

 

この古民家の風情に、心を奪われたからだ

 

ひらがなで「たたみ」ってのがナイス。この一角だけ再開発から取り残されたような雰囲気で、低層の建物が並んでいた。先ほどの写真の奥に空間が広がっているのは、寺があるせいである

 

 

考えてみたら、府中に行くときは、府中本町から甲州街道、もしくは大國魂神社の参道を通って京王府中駅か図書館……というコース以外は、ほとんど歩いたことがない

 

まさか、こんな一角があるとは思ってもいなかっただけに、再びわくわくモードに突入した

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに「宮西国際通り」という商店街に出た。見るからに古そうな建物が目に入る。この商店街も初めて訪れる場所だ

 

国際通りの「国際」が、なにをもって国際なのかがよくわからないところがミステリアスだが、もしかして戦後間もないころは、進駐軍向けの特飲街だったのか?

 

 

周囲はビルに取り囲まれてしまっているが、この商店街は、昭和な空気が流れていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やきとり「としま」という渋い焼き鳥屋があった

 

一瞬、頭のなかで「年増」と変換するが、おそらく「豊島」に違いないと修正するが、一度「年増」と変換してしまうと「年増」としか思えなくなるから不思議である

 

 

どうでもいいけど、その隣にある「セピア」というスナックのような店の軒先テントが、陽に焼けて変色して本当にセピア色になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

反対側まで通り抜けできる飲食店に特化したビルごあった

 

 

そのピルの窓に、向かい側の景色が映って「だまし絵」のようになっており、一瞬、マーケットかと勘違いしてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「としま」と飲食店ビルの並びには「珈琲館シャガァル」という純喫茶があった

 

こちらも「シャガール」ではなく「シャガァル」という表記なのが、なんとも言えないまったり感を漂わせている。どうやら府中には、ちょっとしたニュアンスにうるさいひとが多いようだ

 

 

この先は、写真を見てもわかるように、府中の繁華街に出てしまう、つまり、知っている場所に出てしまうので、残念ながら冒険は終了である

 

分倍河原から1時間足らずの小さな冒険であったが、これで府中本町周辺における未開の地は、かなり少なくなったはずだ

 

 

ということで、今回は、わずか1時間の散歩を、無理やり冒険旅行に見立てて進行してみた

 

 

 

 

《分倍河原から府中までの冒険旅行》おしまい

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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