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昨日は久しぶりに、熱帯夜の寝苦しさを味わうことなく、さわやかな1日だったが、これはイラっとするぐらい暑かった日のことである

 

 

 

本田覚庵邸から甲州街道わたり脇道を百メートルもゆくと、青柳崖線の斜面が迫ってきた。今はあちこち新築の住宅に侵食されているが、昔は畑しかなかったことが、風景から容易に想像できる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

擁壁が崩れたところに、キバナコスモスが咲いていた。誰かが植えたのではなく勝手に生えてきたような風情が、むしろ好ましい

 

 

坂を下ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崖下には清らかな湧水が流れ、その先には目を瞠るような一面の田圃がひろがっていた

 

予定通り谷保天満宮に向かっていたら、この景色を見ることはなかったにちがいない。あの妖精からのプレゼントかもしれない

 

 

 

崖下を流れる湧水に誘われるように先へすすむと、数軒だけ並んだ住宅の先には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またしても田圃があり、その先にはビニールハウスがあった。水路はそのまま真っすぐすすむかと思いきや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれっ、空堀になっちゃった

 

水路は左側から流れてきていた。そしてその先にはこんなものがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

角落しで仕切られた堰である

 

この水路は、おそらく府中用水の谷保分水だろう。本流は角落しを取り払った水路を真っすぐすすみ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕がたどってきた水路は、半分だけ落とされた角落しで、水量が調整されているようだ

 

先ほどの空堀の横の坂道を登ると、谷保天満宮の方向に向かっているはずだ。谷保天満宮の下側には湧水が流れていたが、おそらくその水は、別の場所で府中用水に合流しているものと思われる

 

 

このあたりは、府中用水の水路が複雑に交錯していて、水路がどうなっているのかよくわからないが、今回は水路の探索ではなく、タイトルにあるとおり“納涼”が目的なので、深く追求せず、そのまま道なりにすすんだ

 

この日はけっこう強烈な真夏日だったが、気分的な理由だけではなく、実際に涼しくなってきたのは、明らかに豊かな樹木と水のおかげだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水路沿いを歩けなくなったので、農家のあいだの細い路地をゆく。生垣がじつにいい感じである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生垣の路地は、少し広い道路にぶつかり、その先には水門があった

 

 

府中用水には、赤い橋が架かっていた。欄干を見ると天神橋という名前の橋のようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

本流は、このように私有地の真ん中をすすむため追跡不能だったので、少し先を流れる細い支流沿いを歩く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでも新しい住宅が侵食していたが、田園地帯も続いている

 

 

細い支流にも清らかな水が流れていた

 

都内ではほとんど滅びてしまった昔の武蔵野の風景が、谷保にはまだ残っている。この先には、中世の城跡を公園にした城山公園という場所があり、細い支流は、そちらのほうに向かっているようだ

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

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