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荒川区のイメージは、きわめて悪い。インターネットで検索してみると、頼まれても住みたくない、在日と同和部落、斎場と町工場……
などなど、とにかくネガティブなページばかりがヒットする
かくいう僕も日暮里に親戚が住んでいなければ、おそらく好んで出掛けることは決してない地域だったにちがいない。そもそも魅力的なスポットは皆無だし、買い物をしたくなるような古着屋や古書店もない
わざわざ出掛けたのは、ずいぶん昔に、大田区にある「月ノ輪書林」という古書店の店主に紹介されて、三河島にある江戸文化が得意な古書店を一度訪ねたきりだ
ーーが、食わず嫌いはよくない。じっくり歩いたこともないくせに、イメージだけから嫌いだ、などというのは不遜な態度である
そこで、我が目で荒川区の真実の姿を見極めるため、都電荒川線と京成線、地下鉄千代田線が集まる町屋という駅を訪ねてみた
と、その前に……
今回のタイトルバックの画像は、間違って昨日のHDR風写真の特集に使ってしまったので、急遽(ブログ公開3時間前)でっち上げねばと、SDカードの画像からあらたに作成した
町屋なので、やっぱり都電じゃないとね
そういえば、ブログの内容をマニアックにしてからは、アクセス数激減。かつてはMAX3000PVあったというのに、平均400~500、多くて700程度だったのが、久しぶりに1000を越えた
ということは、世間一般においてHDR写真というものが、それほど関心を持たれているのだろうか?
まったくの謎である
日暮里でJRから東武鉄道に乗り換える。この急な階段の左手に東武鉄道の改札口があった。あまりにも地味な入り口で、気づかずに一度通りすぎてしまった
ところで、なぜ町屋かといえば、なんとなく町屋という名前の響きがよい。というだけで、深い意味はない
ここにも駅前には、タワーマンションがぶっ建っていた
まあ、ノスタルジックな都電との対比で(ありがちだが)、現在の東京を象徴するようなベタなカットを撮影するには、まさにうってつけと、言えないこともない
と、町屋に到着したのはよいが、例によって事前情報ゼロ。どこにこの町の中心街があるのかすら調べていない。なんとなく前を歩いていたひとのあとに続いて歩きだすと……
ありゃりゃ、これはまちがいなく失敗だな
すぐに住宅しかない場所に出てしまったので、振り返って京成のガードと古い商店をリノベーションした飲み屋を撮影した
方向転換してしばらく歩くと巨大な斎場があった。葬式に参列するのか黒服の団体とすれ違いながら、にぎやかそうな方向に向かう
斎場の斜め向かいに、懐かしい雰囲気の風呂屋があった。風呂に入るのにはまだ時間が早いのだろうか。入り口を見ると、まだ営業していなかった
斎場の前なのに、めでたい紅白のカラーコーディネートなのが、どこか象徴的である
街灯に惹き付けられる蛾のように、にぎやかな場所に向かって歩くと、だんだん商店街らしくなってきた
こんにゃく、しらたき、ちくわぶ、ところてん……練りもの専門店があった。そのわりには「くず餅」の幟が立っていた。あっ、一応くず餅も練りものの一種か
この「ちくわぶ」という食べ物は、関東ローカルらしく、九州や関西のひとに聞いたら、知らないというこたえが返ってくる場合が多い。ちなみに僕は子どものころ大好物だった
五右衛門も 植木にまでは 手をださず
どうやらこのあたりには、花泥棒が出没するらしい。やはりイメージどおり民度が低いのだろうか?
あてどなくぶらぶらしていたら、おばちゃんが犬を散歩させているのを見かけ、目指す方向が同じなので、そのあとをついてゆくと……
このワンコは、近所の人気者だった
なんとなくなごやかな気持ちになりながら、前方に見えているにぎやかそうな場所を目指す
あっ、最近注目してる鋭角に交わってる道シリーズを発見!
それにしても、やけに広い商店街だと思い、ここにいたって、初めてGoogleマップで現在位置をたしかめると、どうやらこの道は尾竹橋通りのようだ
上野あたりではビルばかりの無味乾燥とした尾竹橋通りが、町屋ではメインの商店街らしい
とはいえ、町が成立したのが比較的新しいので、御徒町や上野界隈のように、戦前からの建物は皆無で、さかのぼってせいぜい昭和30年代以降な雰囲気である
そういえばwikiによると、この町屋が「巨人の星」の舞台だそうだ。日本一の日雇い人夫のお父ちゃん星一徹は、このあたりの貧乏長屋に居を構え、明子お姉ちゃんと3人で暮らしていたわけだ
しかし、ライバル花形満は明子お姉ちゃんを射止めたわけで、星一徹は、花形自動車の御曹子の義理の父親になったということで、巨人の星は、逆玉物語と解釈することができる
それにしても、貧乏の象徴に選ばれるとは町屋恐るべし
などと、どうでもいいことを考えていたら
またしても鋭角シリーズを発見。このトンガリ交差点は、どうやら町屋のお家芸のようだ
そのまま尾竹橋通りをしばらくゆくと……
またまた鋭角シリーズがあった
そして、この角のトンガリ建物は、今までのものとは明らかにオーラが違っていた
これは古い。町屋の駅を降りて初めて見た古民家と呼べる建物だ
写真からもわかるように、この一角には看板建築がやけに集中していた
うーん、これは素晴らしい
赤なんだか小豆色なんだか、風格がありすぎよくてわからない
「土地」「建物」の文字から不動産屋なのはまちがいないが、看板の○○不動産という文字が「産」以外すべて消え失せてしまっており、屋号がまったくわからなくなっていた
僕にとってそれまで、ネガティブなイメージだけだった荒川区と町屋の印象が、これをきっかけに、ポジティブ側にシフトするのを感じた
続く
†PIAS†
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