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八王子市内に残っている長屋門で、まだ見ていない長屋門は残り1棟


今回は、その残った1棟を見るため、またしても八王子に向かった。八王子といっても、長屋門があるのは「犬目」という町である



犬目? たしか甲州街道に、そういう名前の宿場があったが、何か関係があるのだろうか?





犬目の由来は、別に昔その場所に、たくさん犬の目玉が落ちていたり、犬の目玉の幽霊が出たわけではない



犬目は「井の目」が訛化したもので「井」は、井戸と同じ意味で、水が湧くところ。つまり水が湧いている地面の切れ目があったことに由来する。という話である





その由来にちなんで、清水公園という公園があるが、現在湧水は枯れている



とりあえず地図アプリで確認すると、犬目は、八王子駅から4キロ以上離れていることがわかり、駅から徒歩で行くのはあきらめ、バスで向かうことにした

 

 

 

 

 

 

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この日は、久しぶりの絵に描いたような秋晴れ



日射しがまぶしく、気分的には最高だが、撮影には向いていない、強烈なコントラストという状況である

 

 

 

 

 

 

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抜けるような青空は久しぶりだったので、意味もなく八王子の町を撮影する



画面右に見える高層ビルが、八王子のひとの流れを変えた、東急スクエアである





東急電鉄の電車とは、まったく関わりのない八王子駅前に進出するとは、なんと無謀な……と、思っていたら、完成したら、すっかり八王子駅前の顔になってしまった





ところで犬目には、工学院大学があるせいか、バスには学生らしい乗客が目についた



事前に地図アプリで確認したところ、八王子千人同心・斎藤家の長屋門は、陶鎔(とうよう)小学校というバス停の真ん前にあることがわかった





したがって……

まったく迷ったり、探したりするいとまもなく

 

 

 

 

 

 

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バスに揺られること約25分、いきなり長屋門のど真ん前に着いてしまった。こんな呆気ない展開は、初めてかもしれない



あまりの呆気なさに拍子抜けもはなはだしい。少しわかりにくい場所にあって、迷ったりしながら発見しないと、ブログの展開的に困るんですけど……





上りのバス停では、女子高生がスマホをいじりながら暇を潰していた





女子高生と長屋門……

絵になるんだか、ならないんだか微妙な光景である



あまり撮影していて、変質者と間違われるといけないので「僕は、あなたではなく、長屋門を撮影してるんですよ~」





――と、さりげなくアピールしながら長屋門を撮影する

 

 

 

 

 

 

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この前見たのが熊谷の冑山にある、根岸友山の巨大な長屋門だったせいか、やけにこじんまりして見えるが、それは錯覚で、停めてある軽トラックを見ると、住宅の門としては、規格外な大きさなのは間違いない





熊谷で見た2棟の長屋門が、普通の住宅を完全に凌駕する高さだったのに対して、こちらは背が低く、威圧感は感じない

 

 

 

 

 

 

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女子高生に、さりげなくアピールするため、同じようなアングルを2枚撮影してしまった



モデルになってもらおうと、声をかけようか迷うが、なにやら、一心不乱にスマホをいじっていたのであきらめる





それにしても、近頃は小学生も、のべつスマホをいじっているが、変な動画とかダウンロードしてないだろうな、って、それは俺か

 

 

 

 

 

 

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こちらが長屋門の平面図と家の配置図

こじんまりして見えて、長屋門は主家に負けない大きさで、根岸友山の長屋門が、いかに規格外の巨大さだったかがわかる



斎藤家は元禄時代には、千人同心として、この地に門を構えていたようだが、この長屋門は、様式からして化政期から幕末期のものだろう





この平面図が掲載されていた、八王子市文化財調査報告書でも、使用されている部材から、19世紀なかばの建造と類推している

 

 

 

 

 

 

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長屋門は、武家らしく出桁造りの厳めしい雰囲気であるが、これは昭和30年頃、門の屋根を茅葺きから、瓦葺きに改装したときに付け加えられたようだ



東室は、昭和40年頃、主家の建て替えのさい、仮住居として使用するため居室にしたため、大幅に改装されている





しかし、基本的な構造に対する改装は行われておらず、よく昔の姿をとどめていて、とても美しいバランスだ

 

 

 

 

 

 

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長屋門は、細い道(なのにバス通り)に面しているが、田舎の常で、非常に車の交通量が多く、撮影するタイミングを見計らうのが難しい



門前は、そこだけ道路が拡げてあり、広場のようになっており、植え込みも美しく見えるように計算されて植栽され、斎藤家の高い美意識がうかがわれた

 

 

 

 

 

敷地の角に、道祖神のようなものが3体あったのが、いかにも旧家らしい雰囲気である

 

 

 

 

 

 


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と、長屋門を紹介したので、周辺をうろうろしてみよう







――続く







†PIAS†







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