本気でチケット戦争に挑み
有給休暇を使って観に行った。
前から言ってるけど、私が寄席へ
足を運ぶようになったキッカケは
落語心中のアニメだった。
最初に行った寄席も、落語心中が
ドラマ化するにあたって行われた
記念寄席だった。
で、今回はミュージカルの記念寄席。
ネタ出しで、トリは「死神」だった。
最近よく一緒に落語へ行ってくれる
会社の人を誘って
彼女も半休を取ってくれて、2人で行った。
ちなみに、ミュージカル落語心中は
気付いたらチケットが完売しており
行くことができなかった。
浅草演芸ホールで落語を観るのは2度目。
前から7列目、ドセンター。
目の前が大柄な男性だったので
若干見えづらかったけど
演者の顔がしっかり見えるくらいの距離。
会場内は満員。なんと立ち見もかなりいる。
ミュージカルの影響もあり女性が多かった。
開演前の影アナは
ミュージカル落語心中で
助六を演じた山崎育三郎さんだった。
ドラマ版でも助六を演じてるので
ドラマを観てた私もちょっと嬉しい。
1人目の林家つる子さんは初めて観た。
開口一番に影アナを褒めちぎり
ミュージカルを褒めちぎり
オタクのようなはしゃぎっぷりだったのは
ミュージカルのお客さんの心を掴んだと思う。
うまいなぁ。
古典のようで新作落語だという「箱入り」
今度良いとこへ嫁ぐお嬢さんが
あまりに家事手伝いができないので
嫁ぐ前に花嫁修行をさせよう、という内容。
お嬢さんは素直な良い子なのだが
とにかくやることが破天荒というか
「言われた通りに」しっかりやるので
大変なことになる。
「大根の葉を叩く」という作業は
包丁を使って葉を叩くことだと教わったあと
「干した布団を叩いておいて」
と頼まれたお嬢さんは教わったとおりに
包丁を持ち出して布団を叩く。
「風呂に火をつけといて」
と頼まれたお嬢さんは言われた通りに
風呂場を大炎上させる。
そのやり取りがとにかくおかしくって。
めっちゃ笑った。
2人目、隅田川馬石さん。
この人は私が最初に観た落語心中寄席にも
出ていた人だったので感慨深い。
あの時は「野ざらし」をやってたと思う。
今回は「夢金」だった。
どちらも落語心中に出てくる噺だ。
「夢金」はそんなに笑う噺じゃない。
言葉も侍口調だったりして
ちょっと難しいような気がする。
私の隣にいたおじさんと目の前のおじさんは
完全に寝ていた。
だけど、船頭が船を漕ぐときの仕草
すごい良かったなぁ。
ちゃんと水の重さを感じる。
侍を中洲に置き去りにする一連の流れの
テンポの良さも好き。
からの、サゲのしんみり感も良かった。
馬石さんは3回連続くらいで
「元犬」を聞いてたので
久しぶりに違う噺が聞けて嬉しかった。
「夢金」が終わったあと、馬石さんが
そのまま襷掛けをしてねじり鉢巻で
カッポレを踊った。
そのあと、最初に出てきたつる子さんも
続けて舞った。
踊りについては知識がないから
よく分からないけど、珍しいものが観れた。
3人目、仲入前に喬太郎師匠。
やるのは「品川心中」
5年前に一度だけ聞いたことがある。
寄席初心者なお客さんが多いこともあり
配慮して、自分だけ台を置いてることを
丁寧に説明をされていた。
それにしてもすごいのは
枕で話していたこの3日間のスケジュール。
一昨日は秋田で地方公演。
昨日は青森で地方公演。
今朝東京へ戻って日中に池袋演芸場。
そしてこの浅草演芸ホール。
そのあと鈴本で一門会のトリという
3本掛け持ち。めちゃ売れっ子だ…。
「この後も控えてるので
今ここで全力を出すわけにいかない」
と言いながらも、枕から大爆笑だった。
秋田の立ち食い蕎麦屋で食べたという
「のり弁丼」の話が最高だった。
「品川心中」はというと、これまたすごくて
ずっと面白かった。
私、喬太郎師匠の「品川心中」しか
聞いたことがないんだけど
あらすじ的にはこんな笑う噺じゃないのでは?
心中相手を選ぶときに
「この人にしようかしら!
あ、でもこの人船頭だったわね…
夢の中で金を掴んだとかなんとか」
と、「夢金」の話も引っ張り出す。
そのあとも、とにかく笑ったなぁ。
喬太郎師匠がやる、あの、なんともいえない
女性の雰囲気、なんなんだろ。
すげぇ好き。ちょっとした視線の動きとか
口元に当てた指先とか、すっごい良い…。
仲入後、林家彦いちさん。
羽織もなしにドタバタと出てきて枕で
「風呂敷を開けたら着物が2枚入ってた」
と羽織を忘れたことを白状したのは笑った。
そのあとも色々、枕で笑わせた後に
「今日やるネタがまだ決まってません」
ときた。
2つに絞ってるけど、どちらにするかは
まだ決まってないという。
パラレルワールドの噺か、もしくは
落語には登場しないような人物の噺、と
簡単に説明しながらお客さんの反応を見て
後者に決まった。
新作落語の「掛け声指南」
これがまた面白くて、主人公はカタコトの
タイ出身の外国人。
ボクシングのセコンドとして
選手にスポットライトを当てる仕事をしたいが
「頑張れ!」しか言えないので
セコンドとしての仕事をまっとうできない。
悩みながら新宿を彷徨って
いろんな経験を積んでいくんだけど…
っていう内容。
こういう、途中で覚えた言葉が
最後に全く違う場面で活かされる構成が
大好きなので、ずっと笑いっぱなしだった。
よく考えつくなぁ、こんな言葉遊び!
紙切りは林家二楽さん。
前回観た後、入院されたので心配だったけど
また観られて嬉しい。
一緒に行った会社の人のご贔屓は楽一さんで
紙切りといえば楽一さんしか観たことがない。
なので、二楽さんのように話しながら
身体を動かしながら切る紙切りさんが
逆に新鮮だったらしい。
最後に八楽さんも呼んで2人で
落語心中の登場人物である
八雲師匠と助六を切ってくれた。
これだけでも来て良かったー…っ!!
今日ならではの紙切りだった。
トリは桃月庵白酒さん。
最初にも書いたとおり、やるのは「死神」
白酒さんも枕からガンガン客席を
笑わせてくれた。その中で
「こんな体格の良い私が
死神をやって良いのか」
みたいな自虐ネタをされていた。
確かに、死神は噺の中では
8〜90歳で痩せて目も窪んでいる
というような描写があるので全然違う。
だけど体格の良さで言ったら
喬太郎師匠もそうだけどなぁ。
本編が始まって驚いたのは
死神がめっちゃコミカル。
地の底から響くような声で
「教ぇてやろうか……」
なんて現れない。
「死んじゃダメだー!」とか言いながら
主人公が川に飛び込もうとするのを止める。
なるほどそうきたか。
その後もずっとコミカルだった。
死神を消す呪文も
「アジャラカモクレン 落語心中
今は大阪フェスティバルホール」
と言って拍手2回。
(ミュージカルは現在大阪公演中)
流石に最後の蝋燭のシーンは
シリアスになるんだろうと思っていたら
あっさり燃えさしに火を移して
良かった良かった、というところで
溶けた蝋が手に垂れて
熱さから蝋燭(寿命)を後ろに
「ブン!」と投げて、終わった。マジか。
白酒さんのキャラクターを考えると
これが正解なんだろう、と思う。
本人が仰る通り、死神の風貌はしてないし
自分の武器を最大限に発揮できるように
ちゃんとアレンジされていた。
私は「死神」が1番好きな噺だけれど
八雲師匠(落語心中のキャラ)と
喬太郎師匠のしか聞いたことがない。
で、2人とも不気味にやる。
だからコミカルなのがすごく新鮮というか
こういう「死神」もあるのか
同じ噺なのにこんなに違うのか、と
新しい発見があり、これはこれで楽しかった。
一方、今回の寄席でこの「死神」は
正解だったんだろうか?という疑問もある。
落語心中の八雲師匠がやる「死神」は
不気味で、緊張感があって
最後は蝋燭に火を移すことができずに
座布団のうえでバタリと倒れるタイプなので
白酒さんの「死神」とは正反対だから。
ミュージカル落語心中における「死神」が
どんな感じなのかは分からないけど
少なくとも落語心中が好きで
足を運んだお客さんが期待してたのって
八雲師匠の「死神」だったんじゃないかなぁ
と、少し心配になった。
実際、終演後に周りの若いお客さんが
「八雲師匠とは全然違ったね」
と話していたのもチラホラ聞こえた。
繰り返しになるけど
白酒さんの「死神」は、すごく良かった。
寄席に初めてくるお客さんにとっては
分かりやすく面白くて楽しめたに違いない。
けど、せっかく落語心中寄席だしなぁ。
企画者がそこまで考えてなかったんだろな。
楽しかったから良いんだけど。
ま、私が初めて行った落語心中寄席は
馬石さんの「野ざらし」以外
落語心中全く関係ない噺だったからね。
その時と比べたら今回はかなり
原作リスペクトな寄席だった。
それに、関係ない寄席だったけど
落語って面白い!って思って
以降、私はこうやって足を運んでるのだから
きっと、今日のお客さんも
落語の面白さは分かってくれたはずだ。
めっちゃ神回だったもん。
全員、すごく良かった。行けて良かった。
