大学の友人 | ペッターの話

ペッターの話

延々と1人でブツブツやってる

大学の友人Aちゃんは

私が出会った全ての人の中で

1番の善人だと思う。


大学で行動を共にしていたのは3人。

そのうち1人は埼玉に住んでいて

一浪したから歳が1つ上だった。

1人は新潟から上京しており

卒業と共に故郷へ戻った。

そして最後の1人がAちゃん。


正直なところ、この3人と

仲が良かったかと言われると微妙だ。

たまたまゼミが一緒だっただけの付き合い。

授業が一緒だったら並んで受講するし

昼ご飯も一緒に食べるが

放課後に遊んだりは殆ど無かった。

1人1人とならまだしも

4人共通の趣味というものはなく

話していてもイマイチ盛り上がりに欠けた。

加えて私は3年頃から頻繁に

大学を休むようになったので

余計に関係が薄くなった。


大学を休んでノートが真っ白な私に

「ノートコピーする?貸すよ!」

と自ら声を掛けてくれたのがAちゃんだった。

普通はサボってるのだから

自業自得と見放すだろうし

こちらから「ごめん見せて」と

頼み込むものだが

彼女は嫌な顔1つせず自分から見せてくれた。

私が大学を卒業できたのは

彼女のおかげと言っても過言ではない。


だから、私は今まで出会った人の中で

Aちゃんが1番善人だと思う。

彼女を一言で説明するなら

「良い子」

という言葉が1番しっくりくる。


Aちゃんとは比較的共通の趣味も多く

家も近かったので

大学以外でもたまに遊ぶことはあった。

ニコニコ超会議に第1回から

毎年一緒に行ってくれているのも彼女。

逆にいうと、卒業してから数年は年に1回

ニコニコ超会議で会うだけの付き合いだった。


それがある年、突然誕生日に

「お祝いしたいから

食べたいものとか行きたいとこ教えて!」

と連絡をくれた。

以来、毎年誕生日を祝ってくれるようになった。

ある年には、好きなマンガが

花やしきとコラボしてるからそれに行きたい

と提案して、一緒に浅草へ行った。

入場料はもちろん、中でかかるお金は

全て彼女が出した。一切払わせてくれない。

それを分かってるからこっちも遠慮して

希望を言わないでおくと

「あれ食べない?」「あれ乗らない?」

と彼女から提案してくれる。

で、断れないままご馳走になる。


受けた恩は返すのがモットーなので

私も負けじと誕生日にはお祝いをした。

野球のチケットを取って観に行ったり

好きなマンガの展示会で

グッズ代を払ったり。


で、去年も好きなマンガのコラボカフェで

彼女の誕生日を祝うハズだった。

しかし予約開始の前日に弟が亡くなり

予定自体をキャンセルせざるを得なくなった。

理由を説明しないわけにもいかないので

実は…と連絡をしたら

わざわざ家に線香をあげにきてくれた。

Aちゃんは弟とも1回だけ会ったことがある。


お祝いできないまま身内がバタバタ死んで

年が明けて私の誕生日がきてしまった。

彼女からまたお祝いの申し出があった。

「むしろお祝いできてなくてごめん!」

と謝ったら

「それは本当に謝らないで欲しい」

と言われた。


お祝いじゃなくて良いから

2人とも好きなマンガの実写映画を

一緒に観に行って欲しい、と頼んだ。

映画を観終わって喫茶店でお茶してる時

「毎年誕生日お祝いするの迷惑じゃない?

迷惑だったら全然言ってね!」

と言われた。

正直なところ、逆に気を遣わせてるだろう

と思っていたので、この発言には驚いた。

「とんでもない。

こうして毎年お互いの誕生日に

確定で遊んでくれるから有り難いよ」

「なら良かった。この年齢になると

段々友達と遊ばなくなってくるからさ。

でも迷惑になったらいつでも言ってね!」


どこまで良い子なんだろう。


そんな彼女が、同じ日に初めて

職場の話をしてくれたのだが

「実は職場の人、全員大嫌いなんだよね!」

と笑顔で言ったので大笑いした。

他人のこと言えないけど、変な子!