2023/07/02 | ペッターの話

ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる


※こちらの注意書きを読んでから

読んだ方が良いです





親に、あの日のことを

詳しく聞くことができないが

自分からいくつか

話してくれたことがある。


亡くなる3時間ほど前。

不穏なLINEを受け取った親友や

LINEが消えて心配した友人たちが

あの手この手で母に連絡を取ってきた。

その時、弟は部屋で寝ていた。

弟の部屋の扉を開けると

ネコの毛と臭いがひどいので

母はベランダに周り

窓から弟の部屋を覗いたらしい。

弟のベッドは窓際にあった。

横たわる足を見た瞬間、母は一瞬

死んでしまっているのではないか

とドキッとしたらしい。

窓を開けて、肩を大きく揺さぶると

弟が起きたので安心したそうだ。


深夜2時半過ぎ。

警察が安否確認しにきて

同じく弟の部屋をベランダから覗いて

いないと分かった時。

母は真っ先にベランダから

下を覗いたそうだ。

もちろん、そこに弟はいなかった。

弟が落ちたのは別の場所だ。


弟を探すのにトイレを開けたら

とても臭かったらしい。

弟はどうやら亡くなる直前に

排便をしていたようだ。

「これから死のうとしてる人が

うんこするはずがないから

死ぬつもりはなかったんじゃないか」

と母は推測している。


弟が家にいない、と分かって

警察が周りを見に行き、すぐに戻ってきた。

「飛び降りちゃったよ!」

という報告と共に。

その時の詳しい状況は流石に聞けてない。

弟じゃない人であって欲しい、と

祈っていたんだろうか。

それとも状況からして

もう弟だって疑いようもなかったかな。


寝る前にひと騒動あったので

母たちはなかなか寝付けなかったらしい。

母がウトウトとしていると、突然

ヒュッと身体が持っていかれる感覚と

電気を流されたような痺れが出て

起きようとしても身体が動かなかったそうだ。

その直後、一緒に寝ている

母の彼氏から肩を叩かれて

「電話鳴ってる」

と起こされた。警察からだった。


後で聞いたら母の彼氏も

警察から電話が鳴る直前まで

珍しく夢を見ていたそうだ。

その夢に弟が出てきていたらしい。


弟は亡くなった木曜日に

病院の予約をしていたそうだ。

そのため仕事のシフトを変わって欲しい、と

2日前の火曜日に依頼されたと

同僚の子が教えてくれた。

火曜日、弟はその子と一緒に働いていたが

勤務中にも関わらず

長電話をしていたそうだ。

普段は駅まで一緒に帰るのに、その日は

「電話しなきゃならないから」

と断られたため

何かトラブルに巻き込まれているのでは

と心配していたらしい。

誰に電話していたのか、今のところ

知る術はなにもない。


弟の遺品で

最後まで見つからなかったものがある。

何年も愛用してボロボロになった

タバコの缶ケース。

黄色で、ポケモンのフリーザーの

シールがついていた。

亡くなる直前にも台所で

タバコを吸っていたことを

母たちが見ている。

普段、家にいる時は台所に置かれているが

亡くなった時には無かった。

てっきり部屋にあるのかと思ったが

特殊清掃で見当たらなかった。

衣服のポケットの中身を全て確認しても

見つけられなかった。

警察からは亡くなった時の所持品は

何もなかったと報告を受けている。

タバコケースは何処へいったのだろう。


現実的に考えると

ポケットに入れたまま落ちて

落下中や落ちた時の衝撃で遠くへ吹き飛び

誰かに処分されてしまった

というのが自然だが

もしかしたら唯一、弟が

あの世に持ってったのかもしれない

なんて思ったりもする。