高校の友人T氏は
私の憧れの人の1人である。
当時、私は彼女が大好きで大好きで
少しでも彼女から冷たくされると
この世の終わりのように落ち込み
数日間何も手に着かない程だった。
T氏からしてみたら
さぞかしウザかっただろうな。
今、当時を思い出すと
よく彼女は3年間も私と
友達付き合いをしてくれたなと思う。
彼女との出会いは
非常に印象に残っている。
高校へ入学して初日。
1年2組に振り分けられた私は
教室の黒板に貼ってある
座席表を眺めて自席を探した。
出席番号順に並べられた席順を
一通り眺めながら
同じ中学の知り合いが
1人もいないことに気付き
途端に心細くなった。
名前を眺めている最中に
中学で仲が良かった子と
同じ苗字の子がいることに気付いた。
それがT氏。
まぁ、珍しい苗字でもないが
なにか縁を感じて彼女の席を見ると
まだ来ていなかった。
入学式の翌日。
出席番号順で1人ずつ自己紹介をした。
私は後ろから数えた方が早いので
ずっとドキドキしながら
他の人の自己紹介を聞いた。
1人、女の子で
「中学の時に吹奏楽部だった」
と話す子がいた。
この子と話が合うかもしれない
と一瞬期待したが、彼女は
「高校ではダンス部に入りたいです」
と続けたので肩を落とした。
そのあと、もう1人
「中学では吹奏楽部でした」
と話した子がいた。
T氏だった。
彼女には失礼だが
入学当時のT氏は
長い髪の毛と大きな眼鏡で
地味で陰キャな印象だった。
私も地味で陰キャだから
同じ世界の人間なのでは
と友達になれる予感がした。
T氏は続けて
「高校でも吹奏楽部に
入ろうと思っています」
と話した。
やった!部活も一緒だぞ!
自己紹介が終わったあと
話しかけに行こうと思い
勇気を出してT氏の席を振り返ると
彼女は必死に課題をやっていた。
入学前に出されていた課題が
終わっていなかったらしい。
邪魔するのも悪いので諦めた。
お昼休み。
今度こそT氏に話しかけよう!
と席を見ると
全く知らない女の子と一緒に
仲良くご飯を食べていた。
後で知ったことだが
T氏と中学が一緒の
別クラスの子だった。
仕方なく1人で昼ご飯を食べた。
先生が校内を
案内してくれる時間があった。
クラス全員でぞろぞろと
先生のあとをついて校内をまわる。
周りは早速友達同士で
ペチャクチャと喋りながら歩いている。
T氏は1人で歩いていた。
課題も無い。別クラスの子もいない。
話しかけるチャンスだ!
しかし、なんて話しかけたらいいんだ。
一緒に回ろう?
いや、遠足じゃあるまいし。
初めまして?
また自己紹介でもするのか?
グルグルと頭の中で言葉が巡り
結局話しかけられず
彼女をストーカーしたまま
校内案内の時間が終わってしまった。
そんなことが続いて
話しかけることができないまま
ひとりぼっちで3日ほど過ごした。
母から
「友達はできた?」
と聞かれた。
「いや、まだ・・・」
「え、じゃぁお昼とかどうしてるの」
「1人で食べてる」
「なにやってんの!!
友達と食べなきゃダメでしょ!
1人で食べてる子とか他にいないの」
「いる・・・けど・・・」
「じゃぁ明日はその子に
『一緒に食べよう』
って声かけて絶対一緒に食べな!
いいね!?」
怒られてしまった。
翌日お昼休み。
T氏はやっぱり別のクラスの
中学の同級生と食べていた。
そこに行く勇気は無いので
いつも1人でご飯を食べていた
陸上部の女の子に話しかけて
一緒にご飯を食べることにした。
彼女も、運動部ではあったものの
引っ込み思案な大人しい子で
漫画とかも好きで
それなりに話してて楽しかった。
数日経った頃。
陸上部の子と2人でご飯を食べていると
「私も一緒にご飯食べてもいい?」
とお弁当箱を持って
声をかけてきた人がいた。
顔をあげると、T氏だった。
私としては願ってもない話だ。
断る理由なんて無いので歓迎し
その日から3人で過ごすようになった。
つまり私は最初っから
T氏に片思いをしていたということで。
彼女のことを何も知らない時から
彼女のことが気になって仕方なかった。
生涯の友達になるかもしれない、という
運命的なものすら予感させたが
現在彼女との関りは殆ど無い。