先日、保育ピアノ相談会に持ち込まれたご相談の話です。
教育大受験希望、小学校の先生を目指している高３（当時）の方と保護者様がいらっしゃいました。志望校の出願時期という差し迫った時のご相談に、私に何がお手伝いできるのだろうと悩み、先輩先生方で同じ学校を受験した生徒さんのいる方からあらかじめいくつか情報をいただいて相談会をさせていただきました。
お話を伺ってみて驚くばかり・・・。
志望校が地元の愛知教育大学と伺ったので、入試の内容をHPから確認してみると、ピアノ以外に声楽があります。
ピアノは経験者で、どうやら以前はコンクールなどにも出て賞ももらっておられた様子。
そのため、専攻楽器はピアノでというお話でした。
ただ、高校受験などもあってレッスンを中断されていたそうで、受験を決めるまではピアノを弾いていらっしゃらなかったという話に心配になりました。
願書には受験曲を記す必要があります。指定の課題曲ではないようですので、何を持っていくつもりかと尋ねたところ、入学試験の実技としては評価が難しくなるだろうと思われる曲を持っていく、と伺い驚きました。理由は、以前仕上げたことがあるから大丈夫、弾けると確信してのことだとか。
愛知教育大学の実技レベルは高く、併願に音大を選ぶ方、また後期日程では愛知県立芸術大学の前期日程で涙を飲み、併願で受けてくる人もいるという話をすでに先輩先生から伺っていたので、その話と、「受験曲は古典のソナタなどを持っていくのが無難です」とお伝えすると、学生さんは
「へ？」
と固まっておられました。
小学校教員の免許をとるのが第一目標であれば別の教科で受ける方法もあるし、音楽専科のできる先生を目指すにしても、私立で教員採用に実績を出している「入試に実技を課さない大学」を受けて合格し、入学後にピアノや歌も頑張るという方法もお伝えしました。（これも先輩先生方からのアドバイスです）
「愛教大 音楽選修にこだわる」のであれば、茨の道なのではないかと感じました。
とはいえ、受験されるのはご本人です。ご希望があるようなら、入試までの一ヶ月のみご協力いたしましょうというお話になり、その日はお帰りになりました。
その翌日、ご本人から
「考えてみましたがやはり、受験はしないことにしました。ご相談に乗ってくださったのに、レッスンも引き受けていただいたのにすみません」
とご連絡がありました。
お母様の必死な様子と、ご本人が迷いながら私の質問に受けごたえされていた様子を思い出したら、結論はそうなのだろうなと感じました。
実技試験の内容はインターネットにも出ていますが、周りで受験した先輩などがいない場合は話を聞くこともできないので、「ピアノが割と弾けるから」と思って受験される方もいるのかなぁと思いました。私も自分が受験を一瞬考えたのはかなり昔のことで、国公立の受験生指導の経験がありませんでしたので、先輩先生方に助言を仰いでおいてよかった、と思いました。
国公立の教育学部の場合は、実技が必須の場合もあります。課題の指定が特に決まっておらず「任意の曲」となっている学校もありますが、音楽大学の音楽教育科に準ずる演奏・理論の知識がなければ入学後に苦労されるかもしれません。
高校の先生に進路相談をされることが多いかと思いますが、実技の必要な学科については学校の先生でもレベルを把握していないこともある、というお話も付け加えておきます。
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